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43.ソウルイーターの洞窟暮らし4

遅くなりましたが、11/23は祝日なのでお休みさせていただきます。次回の更新は24日木曜日の夜になります。

 私は馬の前を移動しながら日課になっている『精神支配』を掛けなおして馬を解散させる。馬は思い思いの場所に移動していった。

 私は水のみ場の水を掘ってある溝に捨てると近くに設置してある井戸から今度は手作業で水を汲み水のみ場に水を満たしていく。井戸から水をくみ上げるのはなれないと中々に重労働だ。水道とは贅沢を言わないのでやはりポンプ式の井戸がほしい。


 水をくみ上げると今度は飼料を餌場に並べていく。飼料は保存の利く干し草ばかりだ。神官たちは基本的に馬を洞窟の外に出さなかったためここの馬はこればかりを食べさせられている。例外は外に買出しに行くときだけだ。そのためなのかなんなのか知らないがどうも馬たちは外で青葉を食べたがっているようだ。これは『精神支配』のラインから伝わるだけでなくソウルイーターの聴覚でも感じている。馬に言語は無いのではっきりと読み取れる訳ではないのだがそれでも馬達が飼い主に訴えたいと感じているほどの欲求なので、早急に受け入れておかないとストレスで体調を崩すかもしれない。

 私たちは未だに洞窟の外へは出たことが無い。洞窟外の安全か判断している途中なので、安全性が確保できたら一度外へ出してあげないといけないだろう。


 寝藁をフォークでつついて『観察・考察』で状態を確認していく。通常なら馬は寝床で排泄をするので寝藁が汚れて毎日取り替えたりをするらしいのだが『精神支配』した馬たちは排泄場所を決めさせているので寝藁は馬に押しつぶされて潰れていたりするぐらいで特に目立った汚れは無かった。どの状態になったら取り替えればいいのか、加減が分からないが『精神支配』のラインから馬達の不満の声は感じないのでまだ大丈夫だと思っておこう。

 寝藁の確認が終われば後はフォークをシャベルに取り替えて馬の排泄物を掘った穴に埋めていく。そして最後に使った道具を井戸の水で洗って、壁に立てかけておしまいだ。


 時計が無いので正確には不明だが結構時間がかかった。まだこの作業を始めて一週間もたっていないので手際が悪いのは仕方が無いがそのうち慣れてくればもっと手早く終わらせる事もできるだろう。洞窟の外が完全に安全で馬の食べるものや水もあるのなら完全に放逐してしまってもいいかもしれない。

 一応念のため毎日『精神支配』を掛けなおしてはいるが今までの感じであるなら数日間掛けっぱなしにしておいても問題はなさそうな気がする。


 そこらへんは追々考えていくとして、まだ今日はやっておきたいことが残っているのだ。私はやりのこしが無いか厩を確認するとセラの方を振り向いた。セラはいつの間にか戻ってきたのか一頭の小柄な馬の側にしゃがみこみ、同じく体を低くさせている馬の体をブラシで梳いていた。セラの表情が何時もより柔らかいは気のせいではないだろう。

 なんとなく察していたがセラはあまり人間が好きではないのだろう。セラの行動を見ていれば奴隷だったことも含めて今まで、あまりよい人生を歩んで来たとは思えない。

 いくら私がフィオレから彼女を託されたとしてもひょっとしたらセラ自身は(ミコト)と一緒に生活するのも苦痛なのかもしれないなと思った。

 だからと言って彼女をこんな場所に一人ほっぱりだせる訳も無く、私はセラに声を掛ける。私の声にセラはパっとこちらに顔を向けた。こちらに向けた彼女の顔は馬に向けていた時とは違い、何時もの彼女の顔に戻っていた。



 室内に入ると私はセラからランタンを受け取り呪文を唱えランタンに魔法の明かりを点す。このランタンは上級神官の部屋にあったもので本来火を着ける部分に宝石が入れられている。こういった魔力の篭った宝石―魔石というらしい―が設置されているものは魔道具といい。宝石の中の魔力で決められた魔法を発動させるため使用者は魔石を起動させる少しの魔力だけで魔法を発動させる事が出来る便利アイテムだ。

 このランタンは中級神官たちが魔法で短剣を光らせていたように光を長時間作り出す魔法なのだがこの魔法は光を放つ間魔力を使用者自身が操っておかなければいけないので使うのに意外とめんどくさい魔法なのだそうだ。

 セラの腰にランタン下げさせると彼女はこちらに視線を向ける。


 「セラはここをお願いね」

 私が手前にある部屋を指差すとセラはこくんと一つうなづくとソウルイーターから手を離し壁伝いに歩いていく。

 

 セラに初めてソウルイーターの体を見せた時にソウルイーターは私の魔道具だから私の意志で飛んだり光ったりするのだと説明したのでセラは私がいないところではソウルイーターが使えないと思っているようだ。私としてもいつまでもソウルイーターを歩行器代わりにされたくないので訂正はしていない。

 私はセラの手から離れたソウルイーターを頭上に移動させゆっくりと光らせていく。明かり一つ無い廊下が白い光に照らせれていく。やはり40型円形蛍光灯はこういう使い方をしなければ。

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