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11.全裸待機

 3人の中で恐らく一番リーダーなのだろう男の首を吊り上げると緑のローブを起こそうとしていた下級神官がこちらに気づく。

 

 「なっなんだあれは!?」


 ぎょっとした顔でリーダーの首を吊るものを指差すが中級神官に気を取られているうちにその瞬間通路の先に隠れていた人物に背後を取られ火のついていないたいまつで頭を殴られてそのまま倒れる。

 傍らの下級神官もあわてて距離とろうとするも緑のローブの中から伸びてきた手が神官の足をつかみ、神官はあっさりとしりもちを付いた。あわてて立ち上がろうと片手を地面についたその時振りかぶったたいまつにあごを殴打されて更に反動で頭を壁に打ち付けたのだった。


 「死んでないかな?」

 私は緑のローブの中から顔を出し嫌な音とともに頭を壁にぶつけた神官の生死を確認する。特に問題ないならそのまま『精神支配』もしすぐ死にそうなら『魂狩り』を試してみよう。

 頭を打ち付けた神官がまだ生きていることを確認した私は後ろを振り返と『精神支配』した下級神官が最初に殴ったほうの神官に馬乗りになって逆エビ固めを決めている所だった。

 「そのまま絞め落としなさい」

 下級神官はぐいぐい腕に力をこめるがなかなか意識を落とすことは出来ないようで絞められた男はしきにりギブアップをしている。下級神官はたいまつのスイングはなかなか良かったが肉弾戦はいまいちであるらしい。

 そのまま二人の力比べを眺めるのも無意味なので絞められてる男の前に回って『精神支配』をかける事にする。

 体を起こして、ぐったりと地面に倒れているリーダーの所まで来るとその首かかっていたソウルイーターの体を外す。魂をソウルイーターの体に移しながら、首絞められ男の目をふさぐような形で40型円形蛍光灯を頭に通した。ソウルイーターの体には、はっきりとした目の器官が無いので外だろうと40型円形蛍光灯の内側だろうと好きな所を視界に移すことができる。これなら視線をそらされても問題が無いし頭を振っても頭からすっぽ抜けなければ視界から逃すことが無い。それにやはり技能は本来の体で使うほうが効果が高いようで、下級神官もここまで来る間に一度『精神支配』が解けそうになったのであわててかけなおしたのだ。

 やがて『精神支配』が聞いてきたのか首絞められ男も大人しくなってきた。下級神官に手を離させるとそのまま自らの意思でえびぞり体型を保ったままこっちを見返している。濁ったような瞳で不自然な体勢のままこちらを見返してくる男の姿ははっきり言って怖かった。すぐに立たせると二人がかりで今度はリーダーを羽交い絞めにして同じように『精神支配』をかける。今までの二人のように脳震盪を起こしていたわけでも酸欠でも無かったので『精神支配』には若干時間がかかった。もしくは中級神官のようだから魔力が高い人間には『精神支配』は聞きにくいのかもしれない。特に理由の無い推測だがそれの答えはもう一人の下級神官に同じ条件で『精神支配』をかければ、その違いですぐに分かるだろう。




 下級神官が3人もいると呼び名に困るので一時的に『精神支配』した下級神官に呼び名をつけることにした、『精神支配』した順に神官A,B,Cちなみに中級神官はDだ。別に適当な名前でもかまいはしない、どうせ全て終わったら魂を食べてしまうのだから。


 プール祭壇室まで戻ってくるとまた泥だらけになった服を洗い、中級神官Dには私が着れる物をとりに一旦居住区へ戻らせる。死体(暫定)がいなくなってから12時間以上たっているのでそろそろいい加減神官Aのように探索をさぼったり、諦めたりして居住区に戻ってくる神官もいると思うので彼らの動向を探らせるのと何かあったとしても下級神官に絡まれる事が少ないだろう中級神官だけに行かせる。残りの神官ABCはやることも無いので暗闇の中祭壇室の前に立たせている。

 たいまつも持たせていないので監視にはならないが誰か人が来れば私が分かるので、その時々にこちらで支持を出せば暗闇の中いきなり襲い掛かる人力罠の出来上がりである。


私と『精神支配』した魂は一時的にラインが通るようで声をかけなくとも大体の指示を出すことが出来る、ただこれは有効範囲が決まっているようで私が他人の魂を感知できるより距離が離れるとライン自体が切れてしまうようだ、お使いに行かせた中級神官はもちろんこのラインが切れているので今中級神官が何処にいて何をしているのか私には分からない。


神官たちには『精神支配』で私の言葉を最上位命令として聞くように『支配』しているのでラインが切れても直前にした命令は実行されるはずだが、『精神支配』が切れればそのしだいではない。『精神支配』が切れたかどうか分かるのは私が魂感知できる距離に中級神官が戻ってきてラインが復活するまで不明なので、一定の時間を過ぎて中級神官が戻ってこなければ私達はここから移動することになっている。


 私は中級神官を待つ間、祭壇室の右奥にぽつんとある石の台―禊などをする場合はそこに服等を置くらしい―に洗って絞った服を広げて乾かす。ここは湿っているので乾きづらいと思うのだがほかに乾かせる場所が無いので仕方が無い。下級神官を捕らえて死体(暫定)を元の世界に返す算段が付くまでに着れるようになればいいのだが。


 神官Aから借りた―神官BCDを罠に嵌めるためではなく濡れた服でうろうろしていたら寒さで体ががちがち言い始めたために借りたのだ―ローブ一枚に全裸という変質者のような格好で待っていると私の不安をよそに程なくして中級神官Dが戻ってきた。魂のラインも復活しているので『精神支配』も特に問題無いようだ。持ってきてもらった中級神官Dの服は繊維が荒いのか少し肌にちくちくするが濡れた肌にローブ一枚よりずっとましで、それを着込みようやっと私は一心地付くことが出来た。中級神官Dは死体(暫定)より少し背が低かったので持ってきて貰ったズボンを穿いてもすそが地面に付くことはなかったが、横幅が死体(暫定)よりも若干ぽっちゃりしていたのでズボンのベルト部分は腰紐で絞らなければいけなかった。


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