第八章 『夜の海岸で』
夏休みは今頃どこへいるのでしょうか。そう考えるとなんだか寂しいものですよね。新たな季節への変化。夏という幻から抜け出せていない僕にとってはとても厳しい時期です。
そんな時に有一支えてくれるものそれが
『小説』なんですね。小説がある限り多分乗り越えて行けると思うんで引き続き応援の方よろしくお願いします。
飲み屋での出来事は一夜にして終わり、元の自分に戻った気がする。だが何か足りない。あの時から彼女を思い続けてきたのは何故だろう。本当にこれで良いのか。そう思っていた時だった。
俺の携帯が鳴った。誰だろうと思いながら携帯を手に取った。電話をしてきた相手は女の声。これはもしかして、あの時の女性かもしれない。
『もしかして君って、あの時の』
『この間はごめんなさい。』
『良いよ良いよ。 てかさ、今から会えないかな?』
『私も、丁度同じこと思ってたんです。」
彼女とはやはり気が合うのだろうか。お互いに思い合う気持ちに迷いは無い。彼女に会いたいただそれだけを思いながら車を走らせる。会うために待ち合わせしたのは『沙神塚海岸にある店』だという。
店へ着くと、そこにはすでに彼女の姿があった。彼女はあの時と同じように手を振る。そして俺もまた彼女の元へ行き、話しかけるのだった。
『やあ、君やっぱりあの時の』
『この間は本当に申し訳ない』
『良いんだって。 それよりさ、海でも行かない?』
『良いんですか? こんな私でもw』
『いや、君が良いのさ』
レストランで食事を済ませた後、目の前の『沙神塚海岸』へ行った。六時をまわっていたので辺りは暗く、海岸には俺達だけしかいない。
『海、好き?』
『結構好きですよ』
『だよな! 俺も小さい頃から好きでさ』
『私、前から海の近くに住んでるんです』
『てことは、夏とか最高だよね』
『それ、分かります』
彼女が海好きだということは今この場で知った。まあ俺にとっては好都合なことかもしれない。何故なら俺自身、海好きでこれから海に遊びに来れると思ったからだ。
『あのさ、別に敬語じゃなくても良いよw』
『ええ! でもなんか』
『良いって良いって! 仲良くしようぜ』
『てかさ、名前聞いてなかったねw』
『私ですか? 私は由比と言います』
『俺の名前は村里昂喜、よろしくね』
なかなか敬語から抜け出せずにいる彼女に俺はこう声をかけた。
『なっなあ、君のこと由比って呼んで良い?w』
『ならそう呼んで!』
やっと友達みたいな関係になれた。前の様な微妙な関係はあまり好きではない。そして由比は俺の方に身を寄せた。そして俺も由比の方を抱き寄せた。
自分は遠い幻でも見ているのだろうか。幻でも良い。この夢がいつまでも続いてくれれば良いのに。
酒屋での恋に別れを告げた昂喜。しかしその恋は終わることのないものだった。あの出来事の後、相手側の女性『由比』から一本の電話が入る。
由比と夜の海岸を二人歩く昂喜。その中で二人の距離は少しずつではあるが近づいて行くのだった。




