バレンタインの逆転劇-リア充-
今日も俺は、PCの前から一歩も動くことはないだろう。妹はデート、母はパート、俺ニート、って
今日は、新しいオンラインゲームでもやってみるか、フリゲーでもいいか。なんか、腹減ったな…。時計を見ると昼2時過ぎだった。食べるものないかな。台所を漁るが何も無い。はぁ、仕方ないから買いに行くか。
ジャージからジーパンTシャツに着替えて外に出た。うぅ、日差しが眩しい。
冬なのに日が出るとこんなに暖かいのか。全く、冬は冬らしく寒くていいのに。スーパーに入ると『バレンタインデー』と書かれた桃色の旗が至る所に掲げられていた。ん、今日って14日か・・・。まぁ、俺には関係ないけどチョコレートを買うのはなんだが気恥ずかしいな。とりあえず、飲み物を先にカゴに入れるとしよう。
というか14日にチョコを買う女子ってどうなんだ?
14日に板チョコを買う俺がいうことじゃないな。あれ、さっきもあの女の人いたな…いつまであそこに居るつもりだ?どっちのチョコにするか悩んでるのか?全く呑気なものだ。ちょっと横入りして…っと。
ブラックチョコでいいや。ふっ、女の人は鼻で笑いながらレジの方へ消えていった。
うっ、何だあの女。俺のことを哀れな目で見ていたような…別にどーでもいいけど。
スーパーを出るとカップルが多く歩いている気がした。ん、あの人何処かで見たような…。
「あーっ、久しぶり!私、同じ中学だったん覚えてる…かな?」
「あっ、生徒会長さんですよね。」
「おぉ、わかったぁ?高校の面接練習一緒にやったよねぇ~。」
「覚えてますよ、もうあれから7年ぐらいは経ちますね。」
俺が中2の時に生徒会長だった人だ。ほんわりとした抜けた話し方がかわいいとファンクラブもあったぐらいだ。
「僕の名前、知ってたんですか。」
「だってぇ~、何回も練習してたじゃなぁい。」
あっ、あれは、先生に言われたからやっただけで、俺もあんなにやるとは思わなかったし。
「いまぁ、何やってたのぉ?」
「ちょっと、買い物です。あっ、良かったらチョコ食べます?」
「おぉ~。チョコくれるのぉ~ありがとう。」
先輩は、嬉しそうに受け取った。
「も、もしよかったら、これから、お茶でもどうですか?」