灰色の世界と虹色の画家
ボクの世界は白と黒の二色で出来ていた。
灰色の世界。
みんなとは違って見える世界、それはとても孤独で、とても寂しい。
誰かに手を差し伸べられることのないその世界は、酷く退屈だった。
そんな時、彼女は現れた。
白黒の世界にも関わらず、彼女はたくさんの色を持って現れた。
たくさんの色を載せたパレットに筆を着け、彼女はボクの世界に色を付け始めた。
長い間色を失っていたボクにとって、彼女の着色した世界はとても眩しかった。
孤独で退屈な世界は一変した。
人はこんなにも変われる物なのかとさえ思った。
頬を絵の具で汚し、ベレー帽を被った彼女は「虹色の画家」と呼ぶできなのだろう。