WOLD GAME ~召喚された?創造主?~
突発的に思いついた第二弾目~
このシリーズ、他にもいろいろと考えてたりします。
ちなみにこれの続きも一応はかんがえていますが打ち込みするかは未定です・・・
「しかし、ここまできちんと再現されると面白いよな~」
いろいろなオンラインゲームや様々なRPGを片っ端からやってきていた。
何しろしがない社会人。
これくらいの骨休みは許されるとおもう。
実際にゲームグラフィクを担当している身としてはいろいろ勉強しないといけないわけで……
ふとあるときにみつけたネットでの募集。
テストプレイヤー予告。
面白そうなのですぐさまに募集した。
先着順、とかかれていたがみごとにゲット!
・・・・もっとも、これを手にいれたときの驚愕はわすれない。
というか、今まで俺達が必死でやってきた意味はなんだったんだぁぁっ!?
というほどの精密さ。
インストールしたプログラムをあえて吸い出し確認してみてもどうしてここまでリアルに再現できるのか理解不能。
…ちなみに、指輪のほうはどうやっても仕組みがわからない。
だけど自分としては本当はストーリー作成にもかかわりたかったのもあり、
おもいっきりこれにははまってしまった。
何しろどれだけ自分の好きな世界をつくっても終わりがないっ!
いろいろな星を別に設定するだけでそこそこの世界のできあがり!
ちなみに、今では常に専門ゲームサイトでは創りだしたゲームのうちのいくつかがランク上位になっている。
これを元にして叩き出したゲームも会社にかなり貢献している今現在。
これのおかげで資金面などにも困ることなく、また会社からもかなり重宝されている。
…もっとも、同僚達もこれにはまっていたりするのはお約束な結果ともいえるけど。
しかしこれは、何よりも空想力が世界をきめる、という問題がある。
ゆえに空想力がとぼしく、それでいて世界感設定などが組めないやつらにはかなりきつい。
そういうやつらは人の世界の中で遊んでいるらしいが、俺としてはそれだけでは気がすまない。
「よっし。今日は新しい世界をつくって・・・次に発売する予定のストーリーをインストしてから、
その主人公の形として中にはいりこんでみようっ!」
すでにもう慣れたもの。
よっし。
今日の休日は異世界?旅行だ!
ゲームの中、というなかれ!
あれはどうみても異世界だ!うんっ!
同じストーリーの中でも異なる視点で時間を巻き戻れる、というのは…ゲームのダイゴミ。
しかし、ほんとうに仕組みはどうなってるんだろうか?ナゾだ……
WOLD GAME ~召喚された?創造主?~
まぶしい。
体の下がほんわかと温かい。
電気毛布の温度設定をちょぅど中くらいにしているくらいの温かさ。
あまりのまぶしさにゆっくりと目をあける。
目にはいってきたのは、真っ白い空間。
お~……
おもわず感心してしまうけど、それを口にはださない。
というかここは驚いている様子をとったほうがいいだろう。
「う…ここ…は?」
わかっているけど一応確認。
ゆっくりと起き上がるとそこには一人の少女がたたずんでいたりする。
白い髪に金の瞳。
身長のほどは約百二十センチ。
年齢のほどは小学三年か四年、といった程度。
…見た目、は。
朱色の巫女装束のような服を着込んだ少女はこちらをむけて祈るような形で座り込んでいる。
「ああ。願いをききとどけていただけたのですね。ありがとうございます。我らが神よ!」
少女が自分が気づいたのをうけ感激にふるわせた声を発してくる。
「……」
少女の姿をしばし確認。
その長すぎる髪と服装が少女が普通の子どもではない、と物語っている。
足元にはいまだにぼんやりと光を放つ魔方陣。
ちなみにこの魔方陣、今まで本来ならばみたこともないような文字列で刻まれていたりする。
「?ああ、すいません。こちらの声は判断できかねないのですね。お待ちください」
こちらが黙っていると言葉が通じない、と判断したらしく、
「(我 神に仕える巫女 神の僕に加護をあたえたまわん)」
この世界の言葉らしきものでその言葉を紡ぎだす。
それと同時、きらきらと体の周囲に光が満ち、やがてその光の粒ははじけるようにとかき消える。
「さて。これで会話が通じるようになったかとおもいます。ようこそ、いらっしゃいませ。神の御子様。
我らをお救いすべくこの地に降臨されてきたことを心から歓迎、そしてお喜びいたします」
ふかぶか。
言葉とともにそのままの姿勢でほぼ土下座。
う~ん…かわいい子が土下座しているのを直接みる、といのはちょっと心がとがめるところがある…
「…?ここは、いったい?君は何もの?というか、家にかえって俺は……」
「はい。ここは我が大陸、ディーネ。
世界を脅かす存在に対抗すべく神に願い、そしてあなたさまが遣わされたのです」
こちらの話しをきいているのかいないのか。
否、絶対にきいていない。
完全に自分の世界によっている。
「いやいや。ちょっとまて。ディーネ?何だ?それ?というかここ、日本じゃないのか?」
まあ、こんな場所、日本にあるはずもいけども。
ちらり、と自分自身の格好を確認したところ首にはネックレスが服の下に隠れており、腕には時計もどき。
そして中指には銀色の指輪。
服装は先ほどまで着ていた服とほぼ同一。
つまりシャツにジーパンそれに上着、というありふれたもの。
周囲を見渡せば、白い空間、とおもったそれは周囲がすべて水に囲まれているからだ、とみてとれる。
水が流れている方向が下から上、というのが印象深い。
「ニホン?それは神の国の名前ですか?ともあれ、ようこそおこしくださいました。
ここでは体が冷えます。あなた様のお部屋をご用意しておりますのでご案内させていただきます」
「・・・とりあえず、状況説明をお願いしたいんだが・・・・・」
こちらからいわなければ無理やりにどうやら話しをすすめる気満載、である。
まあそれは当たり前、といえば当たり前、なのだが……
「あなた様は神の御子様です。すぐに何もかも御理解なされるかとおもいます」
「いや、それ説明になってないから」
おもわずそんな言葉に突っ込みをいれてしまう。
しかしそんな俺の言葉にただ首をかしげただけで、
「それではご案内させていただきますね」
…もののみごとにスルー、ですか……
さてさて、現状を新たに確認してみよう。
おもいっきり定番中の定番の異世界召喚。
それが今回のテーマというか王道ものがないのならばつくってみよう!
というほぼのりの企画がとおってしまった今回の件。
その結果、自分にブログラムなどすべてがまわってきたのはいいとして。
考えたストーリーを「WOLO GM」に読み込んだ。
オンラインゲームを目指しているので突っ込みどころなどの要素はいくつかつくった。
まさに遊びのための王道のためのゲーム。
それでも最後のほうでのどんでん返しはわすれない。
舞台は、神が創ったとされている惑星、ディーネ。
そしてその惑星を狙う侵略者、たち。
彼らがすんでいるのは、この惑星より北側。
つまり一つの惑星が二つの勢力に別れてずっと戦っている、というような形である。
そしてその侵略者の主導者を倒してもらうべく、神に願い、神の力をやどした御子を召喚することにきまった。
しかし、彼女達に伝わる召喚の術は神に願うものではない。
ゆえに異なる世界から誰か不特定なものを呼び出す、という術になっていたりするのだが、
それを神に使える存在達は古文書をきちんと解読していないがゆえに把握していない。
…そんな不安定な術をつかいそれでも御子を呼び出すことにしたのは、最近情勢が悪いがため。
「うっし。ここまではきちんと予定通りになってるな」
ヴッン。
片手をあげて、左手の中指につけている指輪から空中映像を呼び出し内容確認。
周囲にはひとまず不可視の結界を張っているのでこちらの行動がばれることはない。
「しかし…さくっとスルーのあれは…おやくそくすぎるかなぁ?」
もうすこしあのあたりはかえる必要があるかもしれない。
「遊び心を追求して、突っ込みをいれてみるか…いちおう、遊び心の選択し、として入れておこう」
うん。
そうときまればさっそく実行。
首にかけているネックレスにそっと今きめた新たな仕組みを念じておく。
これであのときのやり取りを行う場合に変化がおきるようになったはず。
「さて…と。そろそろ設定時間的に来客がくるな」
よっ、と。
ヴッン……
とりあえず今までだしていた空中映像によるシステム設定のウィンド窓を閉じてしまう。
そしてそれまでただ何か考えていたかのようにベットに腰かけて少しばかりうつむいておく。
と。
コンコン。
それと同時に扉をノックする音。
「…はい?」
「お初におめにかかります。私はこの国のをしております宰相ゲイル、と申します」
先ほどの巫女さんらしき人物とは異なり、見た目ほんわかした雰囲気をもっている年配の男性が部屋にとはいってくる。
「宰相?」
国を補佐する立場の人物。
たしか神官長か宰相かのどちらかがランダムでくるように設定していたが、どうやら宰相のほうがやってきたらしい。
「はぁ……。あの。まったく何が何だかわからないんですけど?説明していただけますか?」
とりあえずここは何もわからないことにして物事をすすめるに限る。
「いまだ混乱しておられるのですね。ここはディーネの中心地、ディーヴァ城でございます。
わが国は今はディラクという侵略者に狙われており、我々はゆえに神に願ったのであります。
そして願いが通じて貴方様がこうして我らのもとにつかわされ……」
「いや。御期待にそえなくてすいませんけど。俺は普通の一般人ですから。
というか、ディーネ?ディーヴァにディラク?きいたことのない言葉なんですけど……」
実際に日本にそんな名前の場所はない。
そんな俺の問いかけに対し、
「何をおっしゃいます。巫女姫さま」
・・・・・・・・って、おいっ!
「お…俺は男だあっ!」
おもわず、叫んでしまうのは仕方がない。
絶対っ!
俺の言葉に相手さんはびっくりしたような顔をして、
「何をまたそんな冗談を」
などと完全に冗談、とおもっているようだ。
しかも丁寧に手をひらひらさせながらいってくるしっ!
わかってた。
わかってたさっ!
これは自分が設定してなくても別世界に入り込んだような具合になる、ということはっ!
だけど、これはかなりきつい。
自分の容姿のままここにきたことも否めないが。
そりゃ、たしかに母親ゆずりのそっくりさん、といわれてますよっ!ええ!
小さいころは母親が男の子の服をきせるよりも女の子の服のほうがかわいい!
とかいって下着とかもすべて女の子ものでしたよっ!
父親が哀れにおもってか剣道を習うのを承認してくれなかったら今の俺はなかったとおもう。
いやまじで。
母親ゆずりの大きな二重の瞳に長すぎるほどのまつ毛。
薄い眉毛にちょっとした高さの鼻。
…じ、じぶんだってどうみても女の子だ、とかおもうさ!
だけど、今の今まで人生二十○年。
付き合ったり、好きになったりした女の子すべてに、
『私よりもきれいだなんてゆるせない!』
といって振られつづけてきた俺の立場は!?
「と・に・か・く!俺は、男ですからっ!」
「…ま…まあ、そういうことにしておきましょう」
…信じてない。
「しかし話しをきくと、まったく俺に関係ない、とおもうのですけど?そもそも、俺なんもしりませんよ?」
とりあえずこのままでは自分が悲しくなってしまう!
ゆえにひとまず話しの続きをすることに。
「ですが、あなた様は神界からつかわされた巫女姫、でございましょう?」
「…これでも、女、とおもいますか?」
ぺたり。
とりあえず説明しても納得してもらえそうになさそうである。
ゆえに、ぺたり、と問答無用で相手の手をとり触らしてみる。
「…え…え…えええええ~~~!?」
いくらなんでも女と男の胸の違いくらいはわかるだろう。
なんか宰相が驚愕の声をあげているけど気にしない。
そもそも、これはその世界にあった性格になるようになぜか仕様されているらしい。
今までの経験上も設定もしていないのに相手がかってに様々な性格などをもっていた。
ゆえに、この「WOLD GM」は作成者でもより楽しめる仕組みとなっている。
「そんな…そんな、では我々をだましたのですか?!」
「俺はそもそも、一度もだましてなんかない!勝手に呼び出したのはあんたらだろうがぁっ~!」
…そう思わず叫ぶ俺は間違っていない。
…うん。
「は~……んで、こうなる…と」
俺が御子姫でない、とわかった召喚した彼らはというと、ならば勇者として世界を救ってくれ、ときたもんだ。
そもそもまったく関係ない場所に呼び出しておいて何をいう、というのが通常おこる本音といえる。
関係ないのでもどせ、といえば相手を倒さなければ戻すことなどできはしない。
勇者として行動する気持ちになるまで力も判らない以上閉じ込めさせていただきます。
とあるいみ強制的。
まあ、そのパターンを選んだのはあくまでも自分だからどうでもいいといえばどうでもいいが。
ちなみに、その選択パターンは三通り。
そのまま素直に勇者の任につく、とまどう、断る、の三通り。
ちなみに俺が選んだのは断る、の選択。
んでお約束のごとくにとある塔の地下室の一室に閉じ込められているのが今の現状。
「さて…と。行動開始…としますかね」
この選択を選んだのには意味がある。
というかやはり、こういう世界に入り込んだ以上、お約束は必要だしっ!
「さって。俺のパートナーはどのこになるのかな~」
選ばれる相手もランダム。
ゆえに誰がいるのかいってみてのお楽しみ。
先がわかっていてもやはり楽しめる、というのはけっこういいものである。
ちなみにこの世界にはいるとき、完全に危険とみなされるレベルでない以上、
多少の怪我などは追うように設定していたりする。
それでもかなり身体的強化はかけているが。
テストプレイですぐに死んでは意味がない。
まあそこそこ一般プレイヤーと同じ平均レベルに仮に設定して行動することにしてはいる。
といってもあくまでも仮。
当然、リミッターをつけている状態とし、リミッターをはずせばこの世界での最高レベル値に設定してある。
余談だがとある裏イベントを経由することにより最高レベルよりもさらにレベルを上げることが可能。ちなみにこの世界での最高レベルは二千値、となっている。
それ以上の場合、二千五百値にまで上り詰めることが可能。
ちなみに、これはこのゲームの売値、でもある。
まあそれはおいとくしとて、
最弱と最強の利便性などを調べるのもこのたびの目的の一つ。
しかし、仕事でこんなのんびりできる、というのはあくまで役得。
休日がもらえたのもこれを考えるためにもらえたわけで完全な休日でないにしろ。
…なにしろこの一カ月以上、おやすみなんてなかったからな~……
なんか今の会社にはいって休みという休みがほとんどないような気がするのは気のせいではないはずだ。
まあ、好きだからいいけど。
そもそも不景気の中就職がきまったのはラッキー、といえるのだから。
趣味が功を奏した、ともいえる。
まあ、それはそれとして。
「…お、あった、あった」
よくよく壁を観察してみれば少しばかり色のかわっている部分がある。
ついでにいえば閉じ込められている部屋には様々なモノがランダムに置かれている部屋。
…どうでもいいが、囚人に近い輩をこういうモノがおいてある部屋に閉じ込めるのはどうか、とはおもうが。
まあそれもお約束の一つ。
今、俺が押し込まれている部屋にはちょっとした両手で抱えられる程度の木箱が無造作に置かれていたりする。
ちなみにその木箱はかなりこの場におかれているらしく、木が朽ちてその中身が床に散らばっていたりする。
「しかし、身体検査もせずにそのまま押し込む、とはほんと何か抜けてるよな~」
もっとも、初期の段階なので装備品などはなきに等しい。
ゆえにそのままの様子で閉じ込めるように設定したのは他ならない自分。
しかし脳内と紙面上で設定したことが目の前でリアルに実戦されているとなると話しはかわってくる。
「すでに使い物にならなくなった小さな爆弾と~」
ちなみに、この爆弾。
煙幕などに使われる品で、年月がたった、という理由でここにしまいこまれていたりする。
構造的なはいたって単純で少しばかり科学知識があれば分解は可能。
しかしこの世界ではこれをつくるだけでもかなりの知識を必要とし高価な品として位置している。
「そのあたりにころがっている筒をひろって~…と」
何に使っていたのかよくわからないような筒状の木の棒のようなものを手にとり、片方をしっかりと別の品で閉じておく。
ちなみに閉じた品に利用したのは、内ポケットの中にいれておいたライターと蝋燭。
なぜに蝋燭?
と思うであろうが、ここにくる前には一応、
プレイヤーはこの世界に持ち込む現実世界にある品のいくつかを選ぶことができるようにしていたりする。
より、リアルに近いように感じてもらうための処置。
ちなみに蝋燭をもっているのはいろいろ作業をするのに蝋で固めたりするのが一番手っとりはやい。
というのもあり常に持ち歩いている品であるからこそこれをここに持ち込んでいたりする。
他には普通に百円ライターとそしてハンカチとチリシ。
ついでに携帯電話も忘れてはならない。
こちらのほうは圏外、とでて使い物にはならないが、
プレイヤー側と運営側とをつなぐ唯一の通信手段として設置していたりする。
どういう理論で可能となっているのか、
自分がもっている携帯電話の形式がそのままこの世界に持ち込み品、として認識される。
本当、このゲームの仕組みはいまだに理解不能。
そもそも、ゲームのはずなのに感じる風などは自然そのもの。
しかも当然のように生き死にがある。
ゲームでお約束の死人生き返り、というような能力は神の奇跡、とされその代償が大きくまず一般に普及していない。
Bテストの段階からこれをやっていておもったことは、ほんとうにこのゲームは自分が創造主となって、
どこか別の次元にその世界そのものを創っているのでは?と本気でおもうこともしばしば。
…ちなみに、テストの段階から参加しているほとんどのメンバーがみんな同じ思いを抱いているらしい。
…まあ、それはそれでおいとくとして。
まずはこの現状を打破するのが先決。
この地下には見回り、といった兵士は各階の狭間にしか設置されていない。
なぜに必要がないのか。
それはこの牢屋の中には属にいう魔物達がうようよとしているからに他ならない。
牢屋の中にいればそれらは入り込んでくることはまずないが、
一歩外にでればそれらの魔物と戦うことになってしまう。
そしてやられた囚人達の魂は逆に捕らわれ自分の意思とは無関係に魔物として行動を強いられる。
この王国の闇の部分、といっても過言ではない。
このあたりの闇の部分を確認したいがゆえに、断る選択をとったわけだが……
誰に説明するわけでなく一人自分自身が確認するためにそんなことを思いつつ、
「よっし。作業完了・・・っと」
小さな筒に古い火薬をしきつめる。
それに導火線となるそのあたりにころがっていた紐をつけ、ぽしゅっと火をライターでつける。
他にも古くなった何かのたべものの粉などもあったりするが。
粉を箱に詰めて、粉じん爆発を起こすことも考えたがあまり威力が大きくなれば自分にとぱっちりがくる。
だからこそ小さな爆発ですむように、簡単なダイナマイトのようなものを作成した。
まあ、この威力はもろくなった壁などを壊す程度の効果しかないであろうが。
ドッン!
少し壊れたレンガの下。
そこにそれを押し込んで点火。
予測どおり、もろくなっていたレンガの壁の真下にて爆発が起こったことにり、
その上部にいちしていたもろくなっていたレンガの壁がもののみごとに崩れてくれる。
「お~。上出来、上出来。さって、にげますかね~」
空いた壁の穴から横にいくと、そこには鎖で繋がれたかつての人らしき躯があり、
すでにその躯は骨と化している。
その横にはおそらく当人が使っていたのであろう、鉄の棒がころがっている。
多少のさびなどはあるが、武器も何もない状態でこの鉄棒は当面の武器になる。
そしてその横にころがっている袋をつかみ腰のベルトにくくりつける。
こちらのほうの牢屋の鍵は壊れているのかすでに腐食しており、
力強くこづくとものの見事に鍵はこわれ、ぎぃ・・・ときしむ音をたてて牢屋を区切る柵が開く。
とりあえず上着の中に常にいれるようにしているバンダナを取り出し、髪を簡単にまとめておく。
そしてそのままその上からかるくバンダナをまく。
髪をとりまとめるのはいつも腕にゴムを三つかそこらまきつけているのでそれを利用。
ミツアミにして一つにまとめ、それをくるり、とひとまとめ。
その上からバンダナを巻くことによりいで立ちは完了。
長い髪は時として邪魔となる。
まあ、髪をきってもいいが、その場合、短くしたほうが逆に女の子、とおもわれるという欠点が……
まだ、髪をのばしてひとまとめにして頭を隠していたほうがまし、といえばまし。
「さて、いきますかっ!」
目標はこの塔からの脱出。
ちなみに、この牢屋はとある塔の中の地下に位置している。
国に反旗を翻したり、許し難い犯罪を起こしたものたちが収容されるいわば刑務所のような場所。
片手に鉄パイプのような棒を手にし、自分自身にはっぱをかけて牢屋の中から外にとでる。
ひんやり、とした石造りの建物。
じめじめした感じがより不快感を強くする。
ここにでてくる動物型の魔物はどうにか鉄パイブで撃退は可能であるが、
問題は幽霊タイプの魔物。
それらにははっきりいって鉄パイプもどきの攻撃はまったくもって通用しない。
通用するのは、動物タイプの魔物がときおり落とす、ちょっとした回復剤。
しかしそれは命をつなぐための薬、ともいえる。
ストッパーをはずして呪文を使えば楽は楽なのだがやはり初心者でも脱出可能。
というのを調べなければどうにもならない。
「ぐわあっ!」
「でたっ!?」
…実際に幾度みてもこれらは慣れない。
というか目の前にいるのはどうみても犬。
犬なのだがその目が腐りとけおち、肉も半ば腐り落ちている。
そして大きく口をひらいており、よだれのかわりに体液?らしきぬるぬるとしたものが口から垂れている。
生臭い匂いに思わず息をひそめつつ、
「でやっ!!」
そのまま手にした鉄パイプにてそれの頭にむかいおもいっきり振り下ろす。
躊躇していれば相手が噛みついてきて、その傷口から毒をうけてしまうことはわかっている。
ゆえに一撃必殺。
戸惑うこと、それはすなわち死を意味する。
「ぐぎゃっんっ!」
悲鳴とともにそのままその場に倒れ落ち、やがてその肉体は液体のように周囲にとけてゆく。
そのあとには犬もどきがもっていたであろう、麻袋にはいっている小さな袋が一つ石畳みの廊下におちている。
「らっき~。荷物もってるやつだったか」
中身は薬草か毒消しか。
この魔物、倒せばランダムでときどきどちらかの品をもっていることがある。
序盤の経験値稼ぎとアイテム稼ぎ用に考えた魔物の一つ。
しかし考えたのと実際に目にするのとではうける印象がまったく異なる。
殴りつけたときにとびちる肉の感触も、のめりこむぐちゃり、とした感覚もしっかり伝わってくる。
…普通に外側で操作するのには問題ないであろうが、実際に入り込んで行えば初心者はまずまちがいなく吐くな。
まあ、初心者がいきなり断る、という選択をする、とはあまり思えないからまあいっか。
自分にそう納得させつつ、
「お、経験値がはいってきた…と」
この世界においては魔物を倒すたびに、
それに応じた能力が倒した相手、すなわち自分にと流れ込んでくる仕組みとなっている。
それは自分と相手の実力差によって確率がかわってくるのだが。
この仕組みはこの世界に生きている普通の存在達にも適応されている。
この序盤で死んだ場合、プレイヤーは始めの牢屋からやり直すことになってしまう。
ちなみに経験値などは据え置きにしておいたのは、初心者にもやさしくあるように、との配慮から。
「ふむ…次のレベルまでこいつを倒すのは十匹…か……」
指輪からステータス状態を呼び出し状況をひとまず確認。
ちなみにこの指輪は強制的な装備であるがゆえに取り外しは不可能。
とりあえず始めに捉えられていた牢屋の中には簡易的なペットがあり、
そこで休むことにより体力などは回復できるようになっている。
それでも中に入り込んでいる場合、普通に生きているようにお腹もすく。
…さすがに一日、何もたべない、というのはかなりきつい。
念には念をいれてチョコレートを持参してはいるが、ここはやはりさくさくと進むのが得策といえる。
「本来ならばそのまま地上にむけていくんだけど、目的は地下、だしな~」
ここで探索するものと、そうでないもの、との落差が生まれるようになっている。
そのまま、幽霊もどきの魔物は牢屋の中にはいりつつ避け、
動物型や、ガイコツ型の魔物は倒してゆく。
牢屋には簡易的な結界がほどこされており、
魔物が入り込まないような仕組みとなっているゆえに一休みする場には最適。
今いる場所から地下に降りること数階。
そのうちに出てくる魔物などの数も増えてはくるが、ここにくるまで多少のレベルも上がっている。
鉄パイプを拾ったときに手にいれた袋は魔法の袋ともいって過言でなく、
その袋の中は亜空間収納となっている。
ゆえにどんなに品物をいれても袋があふれることはない。
本来ならば勇者になるかならないか、の選択のときになることを選択すれば国王から選別の一つして授けられる品。
こちらの収容所もどきのパターンでは骸骨さん達から手にいれる形式となっている。
魔法対処がほどこされており、しょうしょうのことがあってもこの袋は破けることも、燃え尽きることもない。
それは袋に刻まれている複雑な魔方陣の効能によるもの。
袋を手にいれた時点でステータス画面に袋、という項目が増え、その中にそれぞれ備品の区分けがなされている。
どうでもいいが、毎回おもうがよくこんな小さな袋の中に武器とかといった物がはいるよな~……
まあそれこそが魔法、のひとことですまされるんだろうけど。
取り出しするときには普通にステータス画面を呼び出し、取り出したいアイテムを選択する。
そうすることにより品物が袋から取り出せる仕組みとなっている。
「フレイムアロー!!」
すでにここにくるまでにレベルが上達しちょっとした魔法も所得している。
ちなみに魔法所得の方法は、敵が落とす魔法の書を閲覧することにより所得可能。
その他においては、それなりの施設で資金を支払い所得する方法となっている。
ここまでは満足のいく結果。
さって…ここからが本番の物語だっ!
「……誰?」
真っ暗な部屋の中、響き渡る声なき声。
ここにくるまでとある部屋にて手にいれた松明に火をつけると周囲がぽんやりと明るくなる。
塔の地下深く。
その一室。
一番最下層のその部屋はただただ広く、普通に見渡しただけでは何もない。
しかしその中央には巨大な魔方陣が描かれており、そしてその中に人影がぽつり、とみてとれる。
その手足には鎖がいたいたしくもまとわりつき、その場にすわりこむような形でその人影はそこにいる。
「大丈夫?……」
ばちっ。
声をかけつつ近づこうとすると視えない壁にと阻まれ、体中に電撃のようなものが走る。
ついでに多少体力が削られているのはお約束。
それと同時に見える四方からのびる青白い光の帯。
魔方陣に近づき壁のように触れればその帯はみえるが通常そんな帯はみえはしない。
「ここにいればあなたも危ない、あなたはにげて……」
よわよわしいそんな声がその人物から聞こえてくるが。
「そういうわけにはいかない、だろ?」
よっと。
周囲を見渡せば、これぞあやしい!とおもえる銅像が四つ。
初期のトラップであり判りやすいように設置したつもりであったがここまであからさま…というのはいいのだろうか?
そんなことをおもいつつも、その銅像にとちかづいていき、
「よっしゃっ!」
おもいっきりその銅像を動かし位置をずらす。
ここにくるまでこのモノを動かし仕掛けを排除する、という仕組みは何か所か設置してあるがゆえに、
このトラップ解除はここまできた挑戦者にとってはかなり楽だといえよう。
…問題は、このトラップ解除の後、だけど。
銅像を動かしたその瞬間、四つの銅像がもっている宝玉のようなものがちらっと光る。
それと同時。
ずずずっ……
地響きにもにた振動が部屋全体を覆い尽くす。
い…いそがないと!
ここからが勝負!
いまだに立っていられるのもやっと、というほどの揺れの中、急いで銅像のほうにと駆け寄り、
その銅像が手にしている宝玉のようなものをすばやく取り外す。
まずは、一つ!次っ!
目標は四つすべての宝玉を手にいれること。
…本来ならば戦いの最中にこの四つの宝玉を手にいれることも可能だが、
ここはさくっと済ましたい。
やはりこう、ふいをついて一撃必殺!
これにつきる。
ちなみにここでアイテム欄を確認するためにあえてウィンドウを開いた場合、
青、赤、白、茶、という謎の宝玉、というアイテム名が記される。
中に入り込んでいる場合には目の前に浮かぶようなウィンド形式で、
外から操作する場合は普通に画面の横のウィンド画面として。
まあわざわざウィンドを開くまでもないけども。
ちなみに、このウィンド、この世界にきたときに誰もが仕様できるようにオプション機能といて追加されている。
この世界に住まうものたちはこのウィンド機能を一応もっており、しかしそれをきちんと使いこなせていない。
使いこなせているものはそれなりの役職へとのぼりつめている。
さらに追加説明するならば、このウィンドを通じて相手のレベルを確認することも可能。
さらにとある特殊な方法をつかうことにより相手の弱点なども知ることが可能。
この世界ではそういう特殊技能をもっているのは神官などといった存在だけ、ではあるが。
プレイヤー側からすれば覚えようとおもえばその技能は簡単に覚えることは可能。
というか覚えないとかなりきつい。
ずずんっ。
やがて揺れがさらにひどくなり、四つの宝玉を手にした直後。
部屋全体がみしみしとひしめくように感じられる。
それと同時、先ほどまで目の前にあった魔方陣がかききえ、
そこにかわりといっては何だが巨大な物体がでんっと目の前に存在していたりする。
「…げ~。こいつかよ……」
ここででてくる敵はランダムに決められる。
ゆえに目の前にいるソレをめにして思わず本音がただ漏れになる。
…せめて、属性があるやつだったら楽なのに。
そう思うのは間違っていないとおもう。
絶対に。
目の前にいるのは黄金のドラゴン。
ちなみに西洋風のドラゴンの容姿をとっている。
その細長い顔の先に角のようなものが生えているのがみてとれる。
ぱっと見た目、これが弱点のような感じをうけるがところがそうではない。
弱点は別にある。
見た目にだまされて角に攻撃をしむければその攻撃は自分におもいっきり跳ね返ってきたりする。
ちなみに倍の威力で。
ここにくる直前に小さな部屋があり、そこにあったペットにて簡易的に休んでいるがゆえに体力的に問題はない。
基本、こういったダンジョン形式の場所では休める場所でのみ【保存】することが可能。
そのあたりのお約束は当然忘れてはいない。
初心者でも幾度も挑むことにより、いつかは勝てるかもしれない、という可能性を与えている。
もっとも、これを考え出した当事者としてさくっと負けたりするのは沽券にかかわる。
「【束縛されしドラゴンロード(竜王)】、いざ、勝負っ!」
俺の声に呼応するかのように、
「ぐおおっ!!!!」
目の前の竜が雄たけびをあげてくる。
バトル、開始の合図はそれで十分!
目の前にいるのは竜の王、竜王の一人。
ゆえにその威力や破壊力は半端ない。
しかし弱点は必ず存在している、否、そのように創られており、そのように設定した。
設定どおりに創られているかどうかは考えるまでもない。
今の今までこのシステムで異なる設定になっていたことは皆無。
ゆえに設定したままの位置にすかさず狙いを定め行動を開始する。
「まずは、土っ!」
口から吐き出される黒い炎をよけつつも、
足元を目指して先ほど銅像から取り外した茶色の宝玉をおもいっきり投げる。
それと同時に宝玉がハゼ割れ、そこから地面が突起しそのまま竜の足元をからめ捕る。
「がぁぁっ!!」
それをうけて竜が今度は炎をはいてくるが、それもこちらの想定内。
すばやく手にしていた青い宝玉を手ににぎり前にきっと突き出しておく。
炎が直撃するかとおもうと青い宝玉から青い光がほとばしり、炎と自分との間に水の壁を創りだす。
「おっしゃっ!」
属性がわかっているからこそできる技。
ちなみにこの利用方法は幾度つかっても消費されない。
すなわち永久利用が可能な水の盾。
しかしこれもただもっているだけでは発動しない。
装備、の欄にこの球を装備しなければ盾の効能は得られない。
炎が水にかき消され、その反動で周囲に水蒸気が満ち溢れる。
今がチャンス!
「でやっ!」
次にすかさず白き宝玉を今度は竜の体めがけて投げつける。
それと同時、ハゼ割れた白い宝玉から風が舞い起こり、それは風の戒めとなり竜の体をからめ捕る。
「ぐるぉぉぉっっっっ!!」
何か身動きできなくなって叫んでいるけど、しかしこれも一時しのぎでしかない。
「いくぞっ!!」
きっと手にしている銅の剣を握りしめる。
ちなみにこの剣、ここにくるまで倒した骸骨剣士がもっていたものを頂戴したもの。
ゆえに装備は鉄の棒から銅の剣へと変更していたりする。
本来ならば銅の剣くらいでは竜の鱗に傷一つつけられはしない。
「いっけぇぇっっっっっ!」
たっん、と床をけり竜のシッポと胴体の間にと飛び上がる。
それと同時、おもいっきり力をこめて竜の鱗の色違いの一点。
そこにむかっておもいっきり剣を振り下ろす。
「がぁぁぁっっっっっっっっっっ!!!!!!!」
その刹那。
竜から何ともいえない絶叫が響き渡り、そして。
ずずっん……
そのままその場に倒れ込む。
「よっしゃぁっ!」
うまくいったのをうけておもわずガッツポーズ。
それと同時、竜の周囲を淡い光の魔方陣らしきものが包み込みやがてその魔方陣がはじけるように書き消える。
そして先ほどまで消えていたはずの元々あったはずの魔方陣がその場に出現し、
竜の背後に捕らわれていた人影が再び出現する。
さてさて。
とりあえず次にすべきことはわかっている。
ぴくり、とも動かない竜の巨体。
さきほどおもいっきり突き立てた銅の剣はその衝撃でものの見事にハゼ割れている。
びっしりと覆われた鱗の一点。
色違いの鱗があるそこに小さな穴があいているのが見て取れる。
「この場合は……青、でいいかな?」
とりあえずその穴の中に残っている装備している青い宝玉をはめ込む。
それと同時、ぴくり、と竜の体が淡い青い光に包まれたとおもうとみじろぎする。
そしてその巨体は光に包まれ、ゆっくりとその形を小さくしてゆき、やがて一つの人影となる。
やがてその人影はぴくり、とみじろぎしてゆっくりと両手をついて起き上がり、
「…う…こ…ここは……」
いまだに頭がぼんやりしているのかそんなことをつぶやいていたりする。
服装はいたってラフな格好ともいえるがみようによればその服が普通のものではないとわかる。
きらきらと光るような金色に近い羽衣のようなものをきた人物が普通の人であるはずもない。
ぱっと見た目、一般的なひらひらふりるつきのワンピース。
…それがどうみても普通の布でできているように見えない、というのを除けば、であるが……
「あんたは?」
とりあえず目の前にいる人型のその人物にと問いかける。
長い金の髪に金色の瞳。
ちなみに女性。
「…え?…人…は!?わたしは、一体!?」
こちらに気づき自分の状態に茫然として何やらぱたぱたと体を触りだす。
「…わたしは、禁忌の術で……は。まさかあなたが助けてくれたんですか?」
禁忌の術、といわれても普通はわからない。
まあ話しの流れから何かの術で正気を疑っていた、と捕えるのが正しい。
実際にそうなのだが。
「助けた?俺はあんたが襲ってきたから攻撃しただけなんだけど?あんた、誰?」
とりあえず目の前の女性、見たところ歳のころは二十歳前後、といったところ。
しかしその見た目と年齢が一致していないことくらい判っている。
「申し遅れました。私をあの忌々しい術から解放してくださったのですね。
私はディース。光の竜王。かつて忌々しい術に捕らわれ意思とは関係なく使われていました。
助けてくださり、ありがとうございます」
ディース。
この世界では守護の女神、の意味をもつ。
「術?もしかして後ろの子と関係あるのか?」
とりあえず背後にいる薄くその姿すら保てない状態の人影を視線で示し問いかける。
薄く姿が透けているがその手足についている鎖は忌々しいほどに鈍い輝きを放っている。
「ソラス!…申し訳ありません。今、その束縛を解き放ちます」
そんな俺の言葉に背後の存在に気付いたかのように頭をさげつつ、鎖に手をかけるディース、となのった女性。
それと同時、
ぱきいっん。
ディースが手を触れただけで頑丈にみえた鎖が瞬く間にとハゼ割れる。
「ディース様……わたしのほうこそ申し訳ありません……
そこのあなた、ありがとうございます。ディース様を解放してくださって」
解放された姿すら薄く色彩すらも保っていないその人物はこちらにむかって頭をさげてくる。
「いや、というか何がどうなっているのか説明お願いしたいんだけど。
そもそも、何がどうなってるわけ?」
まず話しを聞かなければ先に進めない。
「私は、クラウソラス。かつて神々が使っていた武具の一人。
人は私たちのことを聖具、とよんでいます。この地に私が捕らわれてしまったせいで、
光の竜王であるディース様まで巻き込んでしまいまして……
助けられたお礼です。これから私はあなたのために力をおかしいたしましょう」
いって、そっと俺の手をにぎってくるクラウソラス、と名乗ったその人物。
その刹那。
手元に光が集い、次の瞬間、さきほどまでそこにいたはずの人影はなく、
俺の手に握られているのは一振りの剣。
この地において伝説となっている聖剣のひとつ、クラウソラス。
光の属性をもつその剣は隠れている敵まで見つけ出し、その力によってうち滅ぼす。
「私もあなたに助けられました。あなたと契約を結びましょう。何かこまったことがあればいつでも私を呼んでください」
いって、ふわり、とディースと名乗った女性の手の平に金色の小さな球が出現する。
「人の子よ。あなたはどうもこの地のものではないようですが、何があったのですか?
…まさか、まだ彼らは過ちを繰り返しているのですか?」
俺に光の球を手渡しつつも、少し眉をひそめてそんなことをきいてくる。
「いや、俺もよくわからなくて。なんか巫女姫とかいわれて、違うっていったら勇者になれっていわれて。
ことわったらここに閉じ込められて。逃げようとおもったけど他もきになったので探索していただけで」
とりあえず嘘をつく必要性もないので素直にこたえる。
「そうですか…ではまだ、召喚、など愚かなことをこの地のものたちはしているのですね……
あなたが元の世界に帰るためには、闇の地にて保管されているもう一つの宝玉を頼らなければなりません。
かつて、光と闇の宝玉は同じ神殿に安置されていたのですが……
自分達こそ世界の管理者にふさわしい、とあるとき管理していた一族が仲たがいをしまして……」
こちらがきいていないのに勝手に説明しはじめてくれるディース。
要点だけまとめれば、
かつてこの世界は一つの王国の元になりたっていた。
あるときその姉妹が互いの力を譲ることなくそれぞれが世界を管理するのにふさわしい、と喧嘩になり、
その喧嘩はやがて国を巻き込み、世界を二分することになってしまう。
そしてその喧嘩はやがて戦争、という引き金をひきおこし、数千年にわたりその状態がつづいている。
神々も手だししなかったわけでなく干渉しようと使者をつかわしたものの、
かの一族に渡していた秘術により逆に神の使者が捕えられ道具にされてしまったとのこと。
ディースもまた例外でなく、戦争反対を唱えていたクラウソラスを拘束するための枷、として捕らわれた、とのこと。
かつて光と闇の宝玉が一つとなり世界が安定していた世界は宝玉をわけたことにより、
世界のバランスが崩れ、悪意あるものたちが闊歩する大地になってしまっているらしい。
光の宝玉が別世界からの存在を召喚できる力をもち、闇の宝玉はその存在を元の世界に戻すことができるらしい。
本来ならばそれらは神々の世界とこの地上を結ぶ道として存在していたらしい。
今ではその用途で使われていることはないらしいのだが……
しかも、話しをきけば、今までも他の世界から他者を召喚しては、
それぞれの国でそれぞれの宝玉を奪おうと画策していたらしい。
…彼らがどうなったのかは、おしてしるべし。
「あなたが元の世界に戻るには闇の宝玉を頼るしかありません。
そしてあなただけの力では無理があるでしょう。すべての神々に出会い協力を願う必要があります。
そのためにはこの世界に捕えられている最低でも六名の神の使者を助け出す必要性があります」
その使者の力をつかい天界にわたり、神々の協力を取り付けることが可能、らしい。
「なるほど…よくわからないこともあるけど。とにかく。元の世界に戻るためには闇の宝玉にたどり着くしかない…と」
『マスター。私も協力いたします。長きにわたり幽閉されて力は涸渇していますが、いつかは力も蘇りますし』
手にしている剣からそんな声が聞こえてくる。
どうやら剣に持ち主、すなわち、マスター認識されたらしい。
「何かやり残したことはありますか?私の力でこの場から外におだしすることができますけど……」
「あ、じゃあ、お願いします」
とりあえずもうやり残したこととかはないし。
とりあえずここにくるまでこの塔の探索はほぼすべてし終わっている。
わざわざ塔から脱出するために兵士達と戦闘するのはばかげている。
というか相手はこちらを罪人、とおもっているので躊躇なく攻撃してくるので手加減できない。
人をあやめるのは出来るだけ避けたい。
何しろ人を斬る感触もリアルのそれなのだから、平和な世界にいきるものからすれば慣れないのも道理。
俺の言葉をうけて、俺の体を温かな光が包み込む。
眩しいほどの光につつまれ…
次に目を開いたときにはすでに外。
生い茂る木々があのじめじめした牢屋から抜け出せた、というのを示している。
「それでは、私は一度、眠ります。何かありましたらその宝玉を通じて呼んでくださいませ」
いって、すっと光の粒となりディースは俺の手の平の中にある宝玉に吸い込まれてゆく。
彼女もまたずっと捕らわれていたがゆえに力が完全でなくしばらく眠り力を蓄える必要性があるらしい。
「よっし。とりあえず、いきますか」
一応目的は果たせたし。
わざわざ捕らわれた理由。
それは序盤で協力なアイテムとそして協力者が手にいられるからに他ならない。
あの試練にうちかてば序盤から強力な武器と、そして臨時の場合、竜王の召喚。
というなんとも反則的な技が使用可能となる。
ちなみに出てくる竜王はランダム。
今回はどうやら光の竜王がでてきたらしいがそれはそれ。
ちなみに武器もイベントをうける人物により異なるように設定してある。
ちなみに、地下にたどり着くまでの時間とレベル、手にいれたアイテム数でそれらは決められる。
さって。
勇者もとい、冒険者、神羅優の旅の始まり。
これからが本番。
さてさて、どれだけ俺を楽しませてくれるかな?
――終わり♪(気が向いたら続く?)――
ふっと思いつきました(笑
とりあえず優の序盤の冒険出発編のみを打ち込みですv(まて
気がむいたらこの続きはそのうちに打ち込みます(笑
その場合は優の一人称だとネタバレオンリーになるので客観的視点になるとおもいます