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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

伯爵夫人と愛玩動物たち

作者: あっつー
掲載日:2026/08/07

 ごきげんよう、皆様方。


 わたくしジャスミン・オードリーと申しますの。夫はこの国の貴族でして、名をベンフリート・オードリー、一応伯爵という地位に就いてますの。

 ですからわたくし、オードリー夫人と呼ばれております。


 オードリー家では主に貿易に力を入れてましてよ。

 わたくしの実家は紡績が盛んで、運送や他国との貿易に強いオードリー家と縁を結ぶために、わたくしと夫のベンフリートは家同士の政略結婚で結ばれましたわ。

 そこに私情は一切ありませんでしたけれど、お互い仕事好きな所が合って、今でも良好な関係が続いております。


 夫のベンは国内外との交渉、わたくしは紡績や縫製工場といったそれぞれの得意分野で力を注いでおりましたら、あれよあれよと業績を伸ばしまして、今では国内最大の貿易商に成長しましてよ!


 わたくしたちの功績を評価されて、陞爵の話も出ているのですって。

 伯爵夫人から侯爵夫人と呼ばれる日まで、わたくしがんばりますわ~




 仕事に関して夫のベンはとても頼もしい人ですけど、私生活においては少し不満がございますの。


 夫のベンは()()が好きでよく()()()来ますの。


 「とても可哀想だったから」と言って、毎回同じセリフを吐きながら拾ってきては、そのまま飼ってしまうの。

 別に何を拾ってこようが構いませんけど、


「僕は家を空けることが多いから、この子達の面倒をみてくれ」


 ――と言って、ペットの世話をわたくしに押し付けるのよ!

 普通拾ってきた当事者がペットの面倒をみるのが常識じゃなくて?

 夫は家でそんな事も教えて貰わなかったのかと、わたくし頭を痛めましてよ。




 仕方なく、わたくしが夫のペットの面倒をみる事になったのです。夫のペットは犬・猫・豚の3匹ですわ。

 3匹とも雌で、よく夫に懐いておりますの。けど何故か、わたくしには全然懐きません事よ。

 別に動物が嫌いではないのに、わたくしが近付くと、キャンキャン・シャーシャー・ブヒブヒって吠えて来るのよ。

 煩いったらありゃしませんが、夫に頼まれておりますからね、ヒジョーに不満でしたが世話ぐらいはしますわ。



 夫のペットの一人、小柄でうるうるお目々(めめ)がとても愛くるしいチワワ犬。

 その姿に虜になる使用人達が続出しておりますわ。

 まあ、あの大きいお目々で見つめられたら、なんでも叶えて差し上げたくなるわね。でもそのチワワ、見掛けによらず気性が荒くて、朝から晩まで吠えているの。


 吠えるのは必ず女性ばかりで、男性の使用人にはうるうるお目々で甘えてくるので、女性使用人から苦情が殺到しているのよ。

「煩いからどうにかして下さい!」って・・・。

 一応、夫に世話を任されておりますから叱りましたわ。


 でもねぇ、知ってらして?犬は人語を理解出来ないの・・・あら、そんな事無いですって?!

 じゃあうちの子が()()()()鹿()()()なのかしら?

 いくら言い聞かせても、理解しないものだから躾を兼ねて、独房に閉じ込めましてよ。水と食事抜きで3日間。

 独房から出て来てからすっかり大人しくなって、やっぱり躾って大事よね。



 お次は長毛種のペルシャ猫。

とても綺麗な毛並みと美しいお顔立ちの子なの。この子はチワワと正反対で吠えることはしないけれど、とてもお転婆なの。


 あちこち動き回っては物を落として壊してしまうの。猫は自由気ままって言うじゃない?家中を自由に動き回っては倒したり、割ったりと毎日騒がしいわ。

 わたくしもこの猫に物を壊された事が何度もあったし、お茶をかけられた事も度々あったわ。


 でも猫のする事ですもの、目くじらなんて立てませんわよ。

 だからちょっと猫ちゃんにイタズラする事で許してあげたわ。

 どんなイタズラか聞きたい?


 フフフ、長毛種の猫だから丸刈りにして差し上げたわよ♡ホホホホ~


 それ以降、部屋に閉じこもって出て来なくなったわ。彼女に散々迷惑をかけられた使用人達に感謝されてしまったのだけど・・・



 そして最後が、子豚ちゃん。

 ふくよかな体付きでとっても元気な子なの。

 食べることが大好きで、よく餌を使用人にねだっていたわ。だけどその食べ方がまあ・・・お上品とは言えない様で、見ているだけで気分が悪くなるのよ。

 仕方ないわね、相手は豚なんですから。それに匂いも酷いの。


 鼻がひん曲がりそうなほど、臭いの!

遙か遠く離れていても匂ってくるの。それはもう、屋敷で働く多くの使用人達が体調を崩してしまうほどにね。


 わたくしは皆を守るべく、彼女専用の豚小屋を造ってそこに放り込んだわ。

 残飯処理として世話しているのだけど、使用人の話ではいつでも出荷出来るほど、肥え太っているらしいわ。

 夫が帰ってきたら、相談してみようかしら(笑)





 とうとうペット達の飼い主たる夫が帰ってきたわ。これでペットの世話をしなくて済むのね、肩の荷が降りたわ。


 久しぶりに会うご主人様に、ペット達がじゃれつき合うのを眺めておりました。

 チワワがキャンキャン夫の耳元で吠えて、ペルシャ猫が夫の腕に寄り縋って鳴いており、子豚ちゃんは肥え太った逞しい腕で夫を抱きしめていますの。

 本当に我が夫はペット達にとっても愛されていらっしゃるのですねぇ~~~羨ましく無いけど・・・




 キャンキャン!キャンキャン!

「旦那様聞いて下さい!あの女ったら、私が煩いからって独房に閉じ込めたんです!食事も水も何も出ず、3日も閉じ込められたんです。死ぬかと思いました。あの女私を殺そうとしたんです!どうかあの女を牢屋に入れて下さい!!」



 スリスリ、スリスリ

「旦那さまぁ~、旦那さまぁ~、見て下さぁい。あたくしのこの姿を!わざとお茶をかけたって言って、あたくしの自慢の髪を切ってしまわれたのですぅ~ヒドいですぅ~あの悪魔のような女を懲らしめて下さぁ~い」



 ブヒブヒッ、ブヒブヒッ

「うわぁぁ――――――ん!だんなさま―――!!すごく会いたかったでっす!奥様・・いえ、屋敷中の皆がアタイの事臭いって悪口言うんでっす!あなた様が好きだって言っていた香水をたっぷりと振りかけただけなのに―――!!臭い豚は、豚小屋がお似合いねって、外の小屋に放り込まれたんでっす―――!!!しかも、食事は残飯しか食べさせてくれませんでした!!ピギィ――――――ッ」


「なんだと!それは本当か!!ジャスミン、ジャスミン!!僕は彼女たちの世話を君に任せたと言うのに、一体どう言う事なんだ!?」


 

 まあベンったら、動物の言葉が分かるなんて凄いわね。動物のお医者様になれますわよ。

 あいにく、わたくしには何を言っているのか、ちっとも分かりませんでしたわ。

ギャーギャーと煩いだけでしたわね。


「あらあら、一体何を怒っているのかしら?わたくしは、あなたに言われた通りきちんと世話してあげたわよ。あなたが甘やかしてばっかりだったから、大勢の人に迷惑をかけてしまったの。だからわたくしが、しっかり躾けて差し上げましたの。感謝して欲しいわね」


 ちゃんと躾けないからオイタが過ぎて、それを叱りつけたわたくしが、彼女(ペット)達に嫌われるなんて心外だわ。


「躾って、ジャスミン!彼女たちは()()じゃ無い、()()なんだぞ!!」


「何を仰ってますの?あなたは彼女たちを()()()()()に拾って来たのでしょう。だったらもう、人間じゃなくて()()()でしょう。わたくしはあなたに頼まれた通り()()()のお世話をしただけですわ。」


 ご自分の好みの女性を拾って連れてきては、愛人として()()()いるんですもの。人が動物を飼って愛でるのと同じ事じゃありませんか。


 彼女たちを愛玩動物(ペット)と呼ばずに何と呼べば良いのかしら?

 何か間違った発言でも致しましたか?



「ご不満でしたら、これからはご自身お一人で、全員の面倒をみて頂戴。言っとくけどその子達、とてもやんちゃで目を離すと何しでかすか分からないわよ。責任はちゃんと飼い主がとって下さいませ。わたくしはいう事の聞かないペットの面倒なんてみませんわよ!」



 夫は一向に鳴き止まないペット達に振り回されて、憔悴していらっしゃるわ。いい気味ね・・・。わたくしの苦労を味わいなさい。


 あ、そうそう一番大事な事を忘れていたわ!


「ベン、今更ペットを飼うことに反対しないけれど、ちゃんと()()()()は済ませておきなさいよ!ペットを飼う上で重要な事ですから!!」


   「「「「   !!!?   」」」」



 あら、何をそんなに驚いているの?

 当たり前じゃない。ポコポコ子供が生まれたら、誰が面倒みるのよ。わたくしは絶対にみませんわ!!


 多頭飼育崩壊で家が荒れるのは絶対に許しません事よ!!




 だからあなた、飼い主の勤めは()()()()()()下さいね。











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