転生人語 #011 ― 親切(断られる勇気と受け取る勇気)―
見返りを求めずに人に親切にすることは立派なことだ。ただし、その親切を余計なお世話と思う人もいる。最近はそんな場面をよく見かける。
***
先日、電車の中で、おばあちゃんに席を譲ろうとしたお兄さんがいた。
これまでも、こうした場面は何度か見たことがある。譲られて「ありがとうございます」と座る光景は、周りの人まで温かい気持ちにさせる。
しかし、そのおばあちゃんは「結構です」と断った。お兄さんは「次で降りますから、どうぞ」と繰り返したが、おばあちゃんは頑なに拒否した。結局、お兄さんはばつが悪そうに席に座り、次の駅で降りていった。
多くの人はスマホを見ていて気づかないふりをしている。そんな中、勇気を持って声をかけたのに断られるのは、少し理不尽にも思える。
わたしはというと、勇気を出して断られるのが嫌だから、よほど具合の悪い方でないと声をかけない。
良かれと思って行動したのに拒否されるとはどういうことなのか。「席を譲られるほど年寄りではありません」と思っているのか。それとも、人の親切を受け取ると後が怖いと考えているのか。
わたしが歳をとって席を譲られたら、「ありがとう」と言って喜んで座ると思う。せっかく勇気を持って声をかけてくれたのだから。
声をかけたのに断られる。しかも見知らぬ人たちの前で恥をかく。そんな思いをすると、親切をしなくなる人が増えるのではないか。そんな世界は、あまり見たくない。
***
そもそも、ありがたい親切と余計なお世話は紙一重だ。昔から「親切に見返りを求めるな」「親切を仇で返すな」と言って、うまく噛み合わない人たちをたしなめてきた。
昔からいろいろな人がいる。だからこそ、お互いを許し合えるような余裕が、人間関係の潤滑油になってきたのだ。
読んで頂き、ありがとうございます。
評価と応援よろしくお願いします!
毎日更新しています。フォローして頂けると励みになります。




