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第六話 収穫祭の端っこで

「色んな人がいるんだなぁ」

しばらく黙っていたナオヤさんだったが、ぽつぽつと語り始めた。

「俺たちは転移者なんだ。」


ー…20年前のあの日、俺は学校の友達とRPGゲームをしていたんだ。

「ナオヤー!何人かそっちに行っちまったー!」

白色の仮面を着けたスキンの、ユータが言った。

「了解!」

「僕も行くよ!」

金色の肌の人間のスキンのアサトが、俺についてきた。

そして、真っ黒な鎧を身に着けた兵士を薙ぎ払った。

「ナイス!」

赤いマントを羽織ったスキンのユーリが言った。

「ねえ!これ何かな?」

ローブスキンのエコが俺たちを、呼んだ。

何か見つけたらしい。

そこには、赤色のスイッチらしきものがポツンと置いてあった。

「なんじゃこりゃ。」

ユータが特に何も考えずに、ポチっと押した。

…。

「…。」

「何も起きないね。」

ユーリが言うと、俺の隣にいた弟のケイスケが、

「とりあえずもう夜遅いし、寝ましょうか。」

と、言った。


「その次の日の朝、目覚めたら私たちはここに居たの。」

エコさんがそう締めくくると、ナオヤさんが、

「まさかまた合うとはね…。」

と、私とヒカリを見て呟いた。

「?」

私とヒカリは、わけが分からず、頭に?を浮かべるしかなかった。

「それよりも、4人に加護を与えないとね。」

エコさんが手を組んで、ナオヤさんは、一冊の本を私たちに向けて構えて、それぞれ呪文を唱えた。

「ディバインプロダクト。」

私たちは一瞬、白色の光をまとった。

「じゃあ4人とも、ステータスカードを見てくれ。」

ステータスカードを見ると、新たに「加護」という項目が追加されていた。


加護:亜神・治也の教 賢者・恵呼の刃


「どんな加護かは、段々分かってくるから。」

ナオヤさんとエコさんはそう言い残して、広場を後にした。

私たちは、ポカンとするしかなかった。


その後、ユリエお姉ちゃんが私たちにそれぞれ、ステータスカードのケースをくれて、ナオハをどこかに連れていってしまって、私たち3人は、収穫祭をママと見て回っていた。

この世界にも、綿菓子があると知って、私たちは驚いた。

しかも魔法を使うのではなく、本物の綿菓子機を使って作っていたのだ。

ママが綿菓子を私たちに買ってくれた。

元の世界のよりも、美味しかったかもしれない…。

「おいしい!」

トーコさんが言うと、ママはニッコリと笑って、「よかったね!」と言って自分の綿菓子を頬張った。


その頃、ナオハは石でできた寺院のような建物に、ユリエお姉ちゃんと来ていた。

所々苔むしていて、水たまりができていたりと、だいぶ汚れている。

「姉さん。ここどこ?」

ナオハが尋ねると、ユリエお姉ちゃんは、

「ここは“始まりの遺跡”。始まりの勇者様が残した遺跡なの。」

と、楽しそうに言った。

「へぇ~!」

「ここに手を触れてみて!」

ユリエお姉ちゃんは、手の形をしたくぼみを指差して言った。

「うん。」

ナオハは言われた通りに、くぼみに手を触れた。

すると、辺りがほのかに明るくなった。

そして、光り輝く蝶が遺跡の中心に集まって、弾けた。

ステータスカードを見ると、ナオハのステータスが全体的に上がっていた。


名前:ナオハ・ドラティリガン(前:直刃)

称号:なおほび 転生者 世界の漂流者

レベル:23 魔力:350000 体力:3500


5倍になっていた。


「この遺跡の力は、最大でも2人でないと、発揮できないの。」

ユリエお姉ちゃんは、申し訳なさそうに言った。

「他の3人にも、教えてあげてね。」

「勿論。」

「…ねぇ。ナオハ。」

少しためらってから、ユリエお姉ちゃんは、言った。

「うん?」

「もしさ、私が村から出て、冒険をすることになったら、どう思う?」

「え?」

ナオハは少しためらってから、

「どうして…?」

と、聞いた。

少し間があって、ユリエお姉ちゃんは、

「…、叔母さんが言ってたんだけどね。」

と、前置きして、叔母さんの口調を真似して言った。

『ユリエの好きなタイミングでいいから、世界を回ってみなさい。私は、ユリエのパパやママたちと、世界を旅して来て、やっぱり旅は座学よりも、勉強になるわよ。冒険の道具は揃えてあるから、いつでも言いなさい。』

「…って。」

ナオハは叔母さんは、僕たちが姉さんと旅をした方がいいと思っているんだな、と解釈して言った。

「…僕も、行きたい。姉さんと、アヤノと、ヒカリと、トーコと、一緒に。」

ユリエお姉ちゃんは、驚いた顔をして、ニッコリと笑った。

「じゃあ、さ。ナオハたちが、15歳になったら、私と世界を見て回ろうよ。」

ナオハも、嬉しそうに返事をした。

「約束だよ!」

そして、ユリエお姉ちゃんは、

「指切りげんまんね。」

と言って、自分の小指をナオハに差し出した。

「うん!」

ナオハも自分の小指をユリエお姉ちゃんの小指に絡めて言った。

そして、声を揃えて言った。

「「ゆ~びき~りげ~んま~ん、う~そついたら、は~りせ~んぼんの~ます!!」」


「ナオハとお姉ちゃん遅いね。」

私は、スイートポテトを頬張りながら言った。

「もしかして、姉貴遂にナオハと駆け落ちしたか?」

ヒカリが笑いながら私の最後のポテトを口に運んだ。

私が問答無用でヒカリの尻尾をふんずけると、「ぎゃあ!」と叫んで広場のシンボルツリーのてっぺんまで、飛び上がった。

「確かに、姉さまとナオハって、たまに不思議な雰囲気になるよね。恋人みたいな…。」

トーコさんが言うと、

「きぃ~みぃ~た~ち~?何の話をしてたのかな~?」

ひょこっと、トーコさんの頭の上に、ユリエお姉ちゃんの顔が現れた。

「え~っとぉ。お姉ちゃんとナオハって、仲いいよねって話を…。」

私が説明しようとすると、

「い、いや別に、ナオハと結婚したいと考えてるわけでは…。」

お姉ちゃんがなんか勝手に顔を赤くして、もじもじと恥じらいはじめた。


…マジで?


どうやら、お姉ちゃんは本気でナオハのことが好きらしい。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

次回もよろしくお願いします。

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