第五話 ステータスがあるようです
「今日もよく鍛錬したっ!」
叔母さんから、いろいろ聞いてから、4年が経った。
「ナオハー!いっくよー!」
村の広場では、10歳になったユリエお姉ちゃんが6歳になったナオハに風魔法をおしえていた。
「ルーズガイ!」
お姉ちゃんがそう叫ぶと、広場に強い風が吹き抜けた。
「さ、ナオハも。右手を前に出して…。そうそう!やってみて!」
「ルーズガイ!」
ナオハもお姉ちゃんみたいな大きな風を放った。
「おぉ~!!ナオハすごい!!」
お姉ちゃんが一発で成功させたナオハを褒めている。
私は、村を10周走っていた。
…別に悪いことしたわけではないからね⁉
ただ、パパの友達のコアルスさんが、
「剣術にしても、魔法にしても、重要なのは体力だからな!今のうちに鍛えとけ!」
と、言っていたのである。
それを私は実行しているだけである。
ヒカリとトーコさんはパパから、お姉ちゃんがナオハに教えている風魔法と、同じ魔法を教えてもらっていた。
私は魔法よりも、剣術の方が向いていると言われているため、魔法は生活魔法くらいしかできない。
…それよりも、私たち4人の容姿をみてほしい。
私…前世とあまり変わらず、茶髪のショートカットに赤紫色の瞳。
顔立ちがちょっとお母さんに似て、美形になったくらい…。(ホントにチョット)
ヒカリ…お父さんそっくりの白髪で、青紫色の瞳。
そして、お母さんに似たケモ耳が生えている。ちょっと羨ましい。お父さん似の美形。
トーコさん…ヒカリと同じで、白髪でケモ耳。お母さん似の和風美形。
(前世は黒髪だった。)濃い紫色の瞳。
こっちの世界にもあるらしい、着物を主に来ていて、髪の色を除けば、お母さんにそっくりだ。
ナオハ…私と同じ、茶髪でケモ耳は生えていない。襟足が白っぽい。
お母さんとそっくりな黒曜石のような瞳。
(ナオハもトーコさんと同じで、前世は黒髪。)
「ふう…。30週目!」
私は額の汗を手で拭うと、ママが赤色のタオルを持ってきた。
「アヤノ。お疲れ様。」
私はタオルを受け取って、
「ママ、いつもありがとう。」
と、お礼を言った。
ママはニッコリと笑って、
「みんないつも頑張ってるからね!これからも頑張って!」
と、言った。
「あぁ、そうだ。5人共、聞いて。」
パパがそう言うと、私たち5人は一斉にパパの方を向いた。
「今日は収穫祭なんだけど、今年はヒカリたちも参加してみようか!」
「そうね!もう4人とも、もう6歳になったもんね!」
ママが手を合わせて楽しそうに言った。
「じゃあ、5人とも今日の鍛錬はここまで!着替えておいで。」
「はーい!」
私たちは元気よく返事をして、家の中に入った。
着替えて、外に出るともうビーツなどを荷車で引いて、口笛を吹いている人が広場に集まっていた。
ヒカリは、もうだいぶ赤色に染まって来た空を見上げて、広場にいる人たちと陽気に歌ってた。
ヒカリは白色のパーカーみたいな物を来ていて、ジャンプするたびに、ひらひらと揺れている。
ナオハは黒いスーツのようなものを着て、青いネクタイを締めている。
トーコさんは巫女装束みたいな服を着ている。
ユリエお姉ちゃんは、ナオハとお揃いのブレザーに、赤色のネクタイを締めている。
ちなみに私は、茶色のワイシャツに、赤いスカーフを巻いている。
「よーし、今日はみんな集まってくれてありがとう。」
パパが壇上に登って大きな声で言った。
「今日は賢者様とエルフ様も来ているよー。」
賢者とは、異世界から召喚された人で、何らかの武器を持っている、なんかすごい存在らしい。
その武器は全てを無に帰すことができると言われている。
エルフは、この世界では亜神よりも、神に近い存在で調和を好む種族らしい。
エルフという生物ではなく、エルフは一部の人間などが世界を救ったりすることで、成れるものらしい。
「こんにちはー!」
白髪で所々赤毛と青毛の男性と、赤毛の混じった茶髪の女性が、どこからともなくパパの隣に現れた。
「おぉ~!」
村人たちから歓声が上がった。
それほど、高貴な存在なのであるらしい。
「…なるほど、この子たちがドラティリガン国王様の子供?」
茶髪の女性ー…エコさんが言った。
「今回は、この子たちのステータスと加護を…?」
白髪で所々赤毛と青毛の男性ー…ナオヤさんが、ぼんやりとした目で言った。
「はい。先生、お願いします。」
パパがママと一緒に言った。
「それでは、…。」
ナオヤさんは私とナオハの頭に手を乗せて、呪文を唱えた。
「アナリシス。」
すると、私とナオハの目の前に、一枚のカードがキラキラと輝きながら出現した。
そのカードには…。
名前:アヤノ・ドラティリガン(前:矢車 文乃)
称号:転生者 世界の漂流者
レベル:24 魔力600 体力:70000
と、書かれていた。
ヒカリとトーコさんも手に入れたらしく、カードを熱心に見つめていた。
「それは、ステータスカード。君たちの能力を測るための、魔法道具だ。」
ナオヤさんが言った。
「4人とも、どんなステータスになった?」
ママが尋ねてきたので、「こうなったよ!」と、カードを見せた。
名前:ナオハ・ドラティリガン(前:直刃)
称号:なおほび 転生者 世界の漂流者
レベル:23 魔力:70000 体力:700
名前:ヒカリ・ドラティリガン(前:久方 光)
称号:転生者 世界の漂流者
経験値:25 魔力:60000 体力:3000
名前:トーコ・ドラティリガン(前:高山 燈子)
称号:転生者
レベル:24 魔力:67000 体力:450
「…。」
あれ?
みんな黙り込んでしまった。
「て…。」
最初に口を開いたのは、ナオヤさんだった。
「転生者だって!?聞いてないぞ!?女神様!?」
え…。女神様の知り合い…?
聞いてないって…一体どーゆーこと!?
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。