第十一話 ダズリーとの決闘
「ナオハがこんなに強いなんて!」
決闘場。
「全員でかかれば…。」
デイアトルが僕が蹴り倒した兵士以外の3人に言った。
「行きます。」
兵士の一人が剣を構えて言った。
おいおい、全員声が震えているぞ。
「貴様も、あの女と同じ眼をするんだな。…どいつもこいつも、ボクをバカにしやがって!ボクを下に見やがって!」
デイアトルがブツブツ一人で言っている。
「なんだぁ?」
僕がそう言うと、デイアトルがゴソゴソとポケットをあさって何かタブレットのようなものが入った袋を取り出した。
そしてそれを一つ取り出して口に放り込んだ。
「ドーピングか?」
「ふしゅぅ~…。」
きっしょ。
デイアトルがグッとかがんで、体制を低くし、地面を蹴った。
すると、風が巻き起こり、僕に一気に接近して来た。
兵士たちは後から走って来た。
ー多分、デイアトルが攻撃した後に3人で連携攻撃をするつもりだな。
ありきたりだな。
…いや、待てよ。
確かデイアトルの武器は銃なハズ。
近接戦はできない。
じゃあ…。
デイアトルはバック転をして兵士たちの頭上を飛び越えて後ろに下がった。
そしてその体制のまま僕に炎の弾丸を放った。
僕はその弾丸を難なくかわし、近くのガタイのいい兵士にキックをかました。
やっぱり、後ろに下がるよな。
…バック転は予想外だったが…。
しかし、どうしてあの脂肪の塊みたいなヤツがバック転ができるんだ?
ーこれがクスリの力か…!
さっき蹴った、ガタイのいい兵士がどこからともなく巨大な盾を取り出して、僕に迫って来ていた。
この盾どこから出したんだ。
収納魔法を使ってたのか?
しっかし、盾か…。
僕の今のレベルは39。
盾を破壊できるのは基本的にレベル55以降からで、今の僕では破壊できない。
どうするか…。
ナオハが兵士の攻撃をよけ続けている様子を私は観客席からボーっと見ていた。
ナオハがなかなか攻撃に出ないのを見て、ヒカリが
「ナオハは何をしているんだ?あぁ…盾か。」
と、呟いた。
「流石に、盾は壊せないよね…?」
トーコさんが完璧なフラグを建てた瞬間。
『古代魔法・我に万物を破壊する力を与えたまえ』
と、ナオハの古代魔法の詠唱が聞こえ、次の瞬間、バキィッと何かが壊れる音がした。
「あ?」
見ると、兵士の一人が持っていた巨大な盾が粉々に砕け、その兵士は競技場の端に倒れていた。
ナオハはその勢いのまま他の2人の兵士も倒した。
トーコさんはまた気絶してしまった。
僕は古代魔法を唱え、兵士の持っている巨大な盾を破壊してその勢いでその兵士は競技場の壁まで吹っ飛び、そのまま気絶した。
そしてそのままの勢いで残りの2人の兵士も殴り飛ばした。
しばし沈黙があり、急に『ワァァ~!!』と、観客席から興奮した声が次々に上がった。
デイアトルはわなわなと震えている。
そりゃあそうだろう。
クスリを使ってまでやったのに、全く意味なかったもんなぁ。
「…仕方がない。」
デイアトルが呟いた。
そして何やら呪文を唱え始めた。
『我望む、一時なおほびの称号を我に与えたまえ…!』
僕がデイアトルを蹴飛ばそうと、近づくと僕の目の前に雷が落ちた。
「な…⁉」
そして今度は、デイアトルに雷が直撃した。
競技場の砂が舞い上がった。
砂煙が晴れるとそこには豚野郎のデイアトルはいなかった。
なんとそこには、スリムなイケメンのデイアトルが青い目で僕を見据えていた。
僕がもう1人いるような感覚になった。
こいつを傷つけることはできないと、僕の直感がささやいている。
そして、それはデイアトルも同じ様だった。
頭を抱えて唸っている。
「ボクは…違う!…アイツが…。」
ブツブツと何やらよく分からないことを呟いている。
なんだか苦しそうだ。
本当だったら、やじの一つでも飛ばしてやりたいところだが、何故かデイアトルを助けなければ、という使命感が芽生えてきた。
『キュア・マインド』
気付くと、デイアトルに回復の呪文を唱えていた。
淡い桃色の光がデイアトルに纏わりついた。
すると、デイアトルから赤色の煙のようなものが出てきた。
その煙は、モクモクと人のような形になり、僕に襲い掛かってきた。
デイアトルが雷を受けたかと思ったら、スリムな体系になったデイアトルが立っていて、なんでか頭を抱えている。
そして、ナオハが何か魔法をかけた。
すると、デイアトルからどす黒い赤色の煙が出てきて、ナオハに襲い掛かった。
一体何が起こっているのか全く分からない。
デイアトルはそのまま膝をついて固まっている。
「なんだありゃ!」
「デイアトルの新しい炎の魔法か!?」
ヒカリが他の生徒たちと一緒になって、騒いでいる。
トーコさんは気絶したままである。
僕は襲い掛かってきた煙に蹴りを入れた。
古代魔法で強化しているにもかかわらず、煙が離散する様子はなかった。
それどころか、僕の足に纏わりついて、魔法を解除してしまった。
古代魔法は魔力の消費が激しいため、あと2回しか使用できない。
流石に魔力を温存しておきたいため、魔法なしで戦う。
『サモン・なおほびの剣』
…わけにはいかず、通常魔法を使い、スリンキー父さんから譲ってもらった剣を召喚した。
僕は剣で煙に向かって切りかかった。
すると、剣が青く輝き、煙をあっさりと離散させた。
物凄い疲労感がどっと押し寄せ、僕はそのまま膝をついて倒れた。
倒れた瞬間に銅鑼の音が聞こえた気がするが、僕の意識は次第に朦朧とし、暗闇の中に意識が落ちていくのを感じた。
次に目を開けると、そこは僕とヒカリの寮の部屋だった。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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