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20話 《錬成》してみよう

うーん、流石に申し訳なくなってきた。

どうにか出来ないものか。


超貴重なオリハルコンを僕たちが2つも壊してしまった。

1つ目は僕が、2つ目はパプルが。


特にパプルのは修復不可能なくらいにまでだ。

青ざめているレリカ先生をみてなんだか申し訳なくなる。


流石の事態を前に弁償はしなくて良いと明言した太っ腹な副校長リマートゥル先生も半笑いだ。


なんとかしなくては。


頭をフル回転させて考えをめぐらす。

そして思いついた。


このなんでも出来るめちゃくちゃなチートスキル《クリエイティブモード》ならオリハルコンすらも出せてしまうのではないか。


思えばあの日、最初に表示されたのはアイテム欄だったはず。

左右の矢印に気づいていなかった僕は、1番上にあった【木の剣】をタップして、それしか出せないゴミスキルと勘違いされ、ろくに他の検証もさせてもらえずに決めつけられ、追放された。


しかもあの時は《ベータ版》、【体験版】の表示だった。

その言葉が指す意味はよく分からないが、今のクリエイティブモードは【完全版】の表記になっている。


【アイテム欄】を開いてみるとメガネマークの【検索窓】が追加されていた。


試しにオリハルコンと打ってみる。


すると、


【一件のアイテムがヒットしました】との表示が出てきて、オリハルコンを念写した画像が現れる。


その画像をタップしたと同時に片手に黄金に輝く煌びやかな長方形のブツが握られていた。


なんか異様にテカっているがオリハルコンだろう。


「そ、それは!? 」


異様に焦りきった様子でつめよってきた。


「流石に申し訳ないんで、このオリハルコンどうぞ」


「いやいや、え!? さっきまで持ってなかったよね!? どこから出したの!? 」


すごく驚いている様子。

それもそうか、いつの間にか手元にオリハルコンを握っているのをみかけたら。


このスキルは口外したくないし、適当にはぐらかすしかない。


「たまたま一個持ってたんで、これ使って新しい的でも作ってください。出処に関しては聞かないで頂けると嬉しいです」


「そ、そうか……ありがとう。ありがたく使わせてもらうよ。けど直ぐには錬成出来ないから、試験は残ってる物で行うね」


ものすごく聞きたそうな顔をしていたが、察してくれたのか深く探らずに聞かないでおいてくれた。


今レリカ先生が呟いた言葉を聞き逃さなかった。

的は【錬金術師】の錬成スキルで形を変えているらしい。


すぐに出来ないということは学校内に錬金術師は不在なのだろうか。


「居ないっことじゃないんだけど外に出てて今はいないね~彼は研究熱心で部屋に閉じこもってばかりなんだけど、あいにく居ないんだ」


なら仕方ないな。的まで完成させてしまおう。


《クリエイティブモード》を発動して、スキルを選ぶ。

矢印を連打して該当のスキルを探す。

【錬金術師】のスキル一覧のページを発見した。


《錬成》を押すとこのような表示がされる。


『錬金術師も同時に取得可能です。職業(ジョブ)に錬金術師をセットしますか? 』


はい。を押すと錬金術師のスキル一覧が全て灰色になり押せなくなった。

メニューを閉じてステータスを確認すると職業(ジョブ)がしっかり錬金術師となっている。

下にはずらりとスキルが並んでいた。


比較的簡単なスキルから上級スキルまで全部がだ。


このスキルなんでも出来るなとは思っていたが、まさかここまでとは。


タッチ操作ひとつで職業(ジョブ)を習得出来てしまう。


|まさにこの世界の神の如く。《・・・・・・・・・・・・・》


少し身体が震える。

僕がこのスキルの能力全てを持ってしたら、魔王すら、いや、神すらをも超えれてしまいかねない。


そんな事が魔王や神々にバレたら危険因子として、まだ扱いきれてない内に殺そうとしてくるかもしれない。


そんな考えが頭をよぎった。


「そんなはずないか、考えすぎだ」


もやもやした考えを振り払って前を見る。

そこには僕から手渡されたオリハルコンを大事そうに両手で抱えて、あたふたしているレリカ先生が。


未来のことなんて分からない。僕が今すべきことはオリハルコンを錬成すること。


そして、皆で試験を合格して学院に入学することだ。



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