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星の生  作者: Δδ
1/3

プロローグ

 拙い文章ですが、読んでいただけると嬉しいです。


 なにもきこえない


 夜がきたからみんなねむってしまった


 床も空気もひんやりしている


 あついからだがひえていく


 あかくなったからだは見飽きたし、あかくなったみんなはねむっているからしゃべらない


 つまらないから空を見た


 天井はどこかに行っちゃって、すごくおおきな穴がある


 見えるのはくらい、くらい、くらい穴


 ぼくは空に落ちていく


 つめたい くらい みえない


 けれどさいごに




 星が、見えた




==============================================




 目を閉じているのにまぶしくて、僕はゆっくり目を開けた。

 白い天井が目に入る。

 窓から風が入ってきて、白いカーテンを揺らしてる。

 僕は白いベットで横になっている。

 ねむくないから体を起こした。

 横を見てみると点滴が僕の体につながれていた。

 すこしすると看護師さんがやってきて、僕を見るとお医者さんを連れてきた。

 どうやらここは病院みたいだ。


「やあ、私は井沢というんだ。お医者さんをやっている。君の名前も教えてくれるかな?」


 井沢というお医者さんはベットの横に座ってぼくに聞いてきた。

 聞いていて安心するような声で、優しい笑顔だったけど、なんだかすこしうそくさい。

 それでも聞かれたから答えようとして。


「名前は……」


 あれ、なんだっけ?

 そもそも、僕はなんで病院にいて。

 そもそも、僕はどこの誰だっけ?


"……真木"


 ドクン


 心臓が熱く跳ねる。


 それと同時に呼ばれた名前は、間違いない、僕の名前だ。


「マキ……真木です。下の名前は真木、まことっていう字に山に生えてる木で真木です。」


 口に出した名前は、僕を呼ぶときにいつも     が言っていた。

 みんなみんな、  は僕のことを真木、って。


「そうかい。真木君、だね。上の名前はわかるかな?」

「上の名前……は……わかりま……せん」


 思い出そうとしたけど、わからない。

 今度は誰も呼んではくれなかった。

 井沢さんは一瞬険しい顔をして、すぐにまた笑顔に戻ると。


「いや。いいんだ、真木君。無理に思い出そうとしなくていいから、今はゆっくり休んでくれ」


 そう言って部屋から出て行った。

 広い部屋の中で僕は一人。

 休んでくれと言われても、体はどこも痛くない。

 だからって走り出したいわけでもないから、とりあえずベットに横になった。

 部屋は静かだから、すこしの音でも耳が拾う。

 廊下から井沢さんと看護師さんの声が聞こえてくる。


「記憶に欠損があるな。自分の名前以外忘れているようだ」

「あれほどの怪我で意識が回復しただけでも奇跡ですね。そもそもあの子は、その……現場にいたんでしょう?なら、忘れているほうが幸せなんじゃないんでしょうか」

「確かにな。しかし、警察は知りたがるだろうね」


 会話を聞いてはいけない気がしたし、聞きたくもなかったから布団をかぶって耳を塞いだ。

 目を瞑った。

 目の前は真っ暗で、なにも聞こえない。

 そうしているのがひどく怖くて、   の事を思い出して僕は息が荒くなる。


"……真木"


 ドクン


 心臓が熱く跳ねる。


 耳は塞いでいるのに声が聞こえる。

 暗闇の中に星が見えて、近づいて来た。

 目の前にある、僕よりずっと大きい、暖かい光。


「あなたが僕を助けてくれたの?」


 不思議とそんな気がして、聞いてみた。


"……ああ。私は真木と一つになって、助けることができた"


 僕の中に声が伝わる。


"だが、このままでは真木の意識が消えてしまう"

「消えるって……死ぬって……こと?」


 ああ、それは……


"……真木、君はまだ生き続けることができる。そのためには私の全てを受け継がなくてはならない。その先に待っているのは地獄だ。それでも君は……"


 生きていたいか?


 地獄というのはなんだろう。

 多分、僕には想像もつかないほど過酷なことだ。

 辛くて、逃げ出したくなるのかもしれない。


「僕は……」


 それでも、あの穴に落ちるのは、怖い。

 なにも見えなくて。

 なにも聞こえなくて。

 なにも考えられなくなるのが。

 本当に、怖い。


 死にたくないから、生きていたい。


 答えを受け取って、頷いたら、光は僕を包んでいく。


 ドクン ドクン ドクン


 熱い鼓動が僕の鼓動と重なっていく。


「あなたは、どうなるの?」

"……気にしなくていい。真木、君の未来に幸福がある事を願う"


 そう言い残して、僕の鼓動は一つになった。




 

 読んでいただき、誠にありがとうございます。

 言われてやる人はいないと思いますが、よろしければブックマークと☆もつけて行ってください。

 明日か明後日には次話が投稿できると思いますので、覚えていたらまた読んでみてください。

 

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