8.恋バナ①
今回のお話では、翔音、雄輔、魅星が会話の中で出てきます。
なるべく気をつけはしましたが、翔音が松蔭になったり、美結と魅星がごちゃごちゃになったりしていたら申し訳ないです..
十数分後。
「…落ち着いた?」
「…うん。ひどいよ、友佑君…」
「…ごめん…まさか、あそこまで怖がるとは…」
「だって私、怖いもの苦手だもん。」
「蛇も怖がってたもんな。まあ、俺もだけど…」
「蛇は本当に無理だもん。」
「怖いのは?」
「無理!」
「はは、ごめんごめん。」
「そういえば、聞きたいことがあるんだけどさ」
美結の声が少し尖る。
「ん、どうした?」
ちょっと不穏な雰囲気を感じつつも答える。
「友佑君…修学旅行ってさ、怪談するの…?」
「え、しないの…!?」
「しないでしょ!」
「ええ?!俺はしたぞ!」
「するの!?修学旅行と言えば恋バナでしょ!」
「あ~…そういえばそんなこと話した記憶もあるなぁ…」
「あるでしょ?だから、私恋バナでもしようかと思って話しかけたのに…」
「ご、ごめん…じゃあ、まだ夜は長いし、恋バナするか?」
そう言うと、美結が起き上がった。
月の光がほんのりとしか差し込んでいないような暗がりでもわかるくらいに美結の顔が輝いている。
余程恋バナが好きらしい。
「しようよ!じゃあ、どんな内容話す?」
「どんな内容でもいいぞ。美結が話したい内容を話してくれたら、俺もそれに合わせようかな。」
「うーん…それぞれの好きな人とか言うと大変なことになりそうな気がするんだよね…だから、魅星ちゃんと雄輔君の話でもする?」
「お、それいいな。あの二人の話なら色々と知っているぞ。」
「じゃあ…どこから話す?」
「俺先話そうかな。多分、馴れ初めわかる。」
「えっ、そうなの?」
「ああ。俺と翔音が引き合わせたようなもんだからな、あの二人の出会いは。」
「そうだったの!?」
「うん。俺らが中1の夏だったかな。どっか遊びに行こうって話になったんだけどさ…
まず、俺はなんかよくわからんけど雄輔に捕まった。」
「そ、そうなんだ…」
「まあ、実を言うと翔音と雄輔は元々お互い知り合いでさ。まあ、何度か俺の家に翔音が遊びに来た時に一緒に遊んだって程度だったんだけど…
『どこ行くの?』って聞かれたから
『翔音と遊びに行く』って答えたら
『俺も行きたい』とか言い出して…
まあ、断る理由もなかったからさ、連れて行ったんだよ。
そしたら…」
「魅星ちゃんも来てたってこと?」
「そう。んで、俺と翔音も今より幼かったからさ、つい二人を放置して遊んじゃってさ。
気がついたら、あの二人がものすごく仲良くなってた」
「へえ~。そうだったんだ!え、その時に雄輔君何か言っていたの?」
「お、よく聞いてくれた。流石美結…」
「そう言ったってことは!?」
「言ってたんだよなぁ~、これが。」
「何々!?詳しく教えて、詳しく!」
美結は本当に楽しそうだ。友佑としては怪談の件で申し訳なく思っていたから良かった。そう思ったから…後で本人たちが知ったら怒りそうなことまでつい言ってしまう。
「あれは確か…二人と解散して、俺と雄輔の二人で歩いている時だったかな。急にさ、雄輔が『あの人、翔音の妹なのかな?』とか言い出したから、『そうだな』って返したら、『へぇ~』とか言ってしばらく考え込んでたんだよね。あの時は二人を放置したのは失敗だったかと思ったんだけど、あれ後々考えたら多分既に魅星に惹かれていたんだろうな。」
「うわぁ…なんか、すごくいいね…」
「まあ、俺だけが知っているのはこのくらいかな。美結は?」
「色々あるよ~。なにから聞きたい?」
「何があるんだ?」
「昨日の夜の惚気とか、以前聞いてきた話とか、後は…翔音君に連れられてきて、雄輔君に会ってその帰り道の話とか」
「うーん…全部今すぐ聞きたいな、それは…。うーん、じゃあ、迷うけど時系列順にしようかな。」
「りょ~かい。時系列順ね!
じゃあ、まず高校で初めて会った時の話。
ほら、先に四人が合流してて、後から友佑君と雄輔君が合流したでしょ?」
「そうだったか?…ああ、そうだったかも。」
「まあ、そうだったよ。それでさ、雄輔君が見えた瞬間にね、小声なんだけど、魅星ちゃんが『嘘…』って呟いたの。だから、私後で聞いてみたらね…
『雄輔君は私の初恋の人です』って言いだしたの!」
「おお!」
「だから、そこから数日魅星ちゃんをことあるごとに見てたらね…。」
美結は一度言葉を切って、続けた。
「なんと!70%くらいの確率で雄輔君を見ていました!」
「おお~。それは、かなりだな…まあ、確かに、あの二人はそのくらい想い合っていてもおかしくないな。」
「だね~。はやく付き合っちゃえばいいのにね。」
「ホント、そうだよな。いつまで両片思い続けているんだろうって感じだよな。」
「だよね~。あ、私ちょっと喉乾いたから水飲んでくるね!」
「暗いけど一人で大丈夫か?」
「そのくらい大丈夫だよ!」
美結は少し怒ったように言い、水を飲みに行った。
……魅星、雄輔の二人と同じように両片思いのカップルとしてグループ内でなんやら言われているのが友佑、美結なのであるが、そんなことも、そもそもお互いが想い合っているのも知らないし気がついてもいない二人であった。
字数的にいったんここで切って残りは日曜日に回します!
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