5.現れたウサギと美結の暴走
ブックマーク一件いただきました!ありがとうございます!
今回かなり短めになります。
「来ないね」
数時間後。
美結が諦めの滲み出たような声で言った。
あれからずっと海を見ていたが、翔音達の舟は勿論、他の舟の影も見えない。
「ここを通る予定じゃなかったのか、もしくはもう通っちゃったのか…いずれにしても待っていても今後来ることはなさそうだな…」
「そうだね…友佑君、どうする?」
「とりあえず、後数時間もたてば日が暮れるし、地図で見たあの洞窟に移動しようか。さっき行ったところは地図と一致していたから十中八九あの地図もあっていると思うし。」
「うん。」
空気が重い。
二人して足取りも重く、歩いて行った。会話もほぼない。
なんとか美結を元気づけなきゃ、と友佑が考えていた時のことだった。
ガサガサガサッ
と、目の前にある茂みから急に何か音がした。
「え、な、なんだ!?」
「も、もしかして、また蛇!?助けて友佑君!」
「だから蛇は俺も無理だって!」
騒ぐ二人をよそに、ピョコっとその茂みから出てきたのは―
薄い茶色の小動物だった。
目が大きく、耳が大きく、大きさはかなり小さめ。
小型のウサギである。
「え、ウ、ウサギ?」
「キャー!可愛いー!!ほら、友佑君、ウサギだよ、ウサギ!」
「お、おう…そうだな、ウサギだな…」
「可愛くない?可愛いよね?この大きさと形ならネザーランドドワーフかな?ネザーランドドワーフってね、世界一小さいウサギの品種なんだ~!」
「そ、そうなんだ…じゃあ、手乗りウサギっていないのか…」
「それは子供の頃のネザーちゃんとかかな~。ピーターラビットっていうお話知ってる?
この子たちって、そのお話のウサギさん達をモデルに品種改良されたともいわれているんだ~!」
「お、おう…物語が元になって後から動物ができることってあるんだな…」
「まあ、あくまでも【一説には】だからね!あ、近づいてきた!なでなでしてもいいの?わぁ!なでなでさせてくれたよ、友佑君!」
「よ、良かったな…」
「この子たちのカラーって何なんだろう?フォウンかな?オレンジかな?それともリンクス?あ、ちょっと触らせてね~。模様ができないから、フォウンかオレンジだね…うーん、フォウンに見えるんだけど、オレンジのちょっと色薄い子に見えなくもないんだよね~。友佑君はどう思う?」
「…そもそも似たような色でそんなに種類があることに驚きだよ、俺は…」
「ネザーランドドワーフって色々なカラーがあるんだよね~。多分、2、30種類は超えるんじゃないかな?」
「そんなに!?」
「うん!いろんな色のウサギさんがいるし、これはあくまでもネザーランドドワーフの中で、だからね!ウサギさん全体だったらすっごくたくさんの種類と色があるよ!あ、手をなめてくれた!よしよし、可愛いね~。」
困惑する友佑をよそに大興奮・大暴走の美結。
「ほらほら、友佑君もこっち来て、こっち!ウサギさんと触れ合おうよ!」
「お、おう…じゃあ、そうするか…」
「可愛いよね!」
「そうだな…」
ウサギも可愛いが、それを見て、触れあってはしゃぐ美結の方がもっとかわいいと思った友佑であった。
美結の暴走が収まったのは、それから1時間ほど後。
「ごめん…大興奮しちゃった…」
「大丈夫だよ。美結ってウサギ好きなんだね~。」
「う、うん…」
「まあ、とりあえず移動しようか。結構時間取っちゃったし…」
「ごめん…」
「美結が謝ることはないよ。俺も実際楽しんでいたし。」
「ありがとう…」
もうすぐ夕方。
とりあえず、日が暮れるまでに洞窟を目指して進むことにした。
ウサギは可愛いものです。
友佑君、たぶん手乗りはウサギとかじゃなくて小鳥とかでは…?
ちょっと今後最後の方変更する可能性が高いです。変更したら告知します。
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