第二十四話【いざ、旅立ちの時】
次の日、わたしたちは港に来ていた。
目の前には真っ白な中型船、"ラルスカヌス号"が見える。名前の通りラルスさんの船だ。
何人かの船員さんたちが船の上で話し合っているのが見える。出航準備は出来ているみたいだ。
「ほう、中々立派だな……船というものに乗るのは始めてだから楽しみだぞ」
「船旅は良いですよ王子、一面の大海原に爽やかな潮風……経験して損はありません」
「ふふっ、そうか! ますます楽しみになってきたぞ!」
リエッタさんの説明を聞いてテンションを上げるソラ。
なんだかお母さんと子供って感じでくすりとしてしまう。
わたしも初めての船旅だから少し楽しみだ。
ちなみにソラは今朝、リエッタさんに昨日の事はちゃんと謝っていた。
リエッタさんは大体察してくれたみたいで、わたしに向かってにこりと笑ってくれたっけ。
「おうい! こっちだみんな!」
ラルスさんが船の上で手を振っている。
わたしたちは船の傍まで近寄って、ラルスさんを見上げた。
「これが親父の船……もとい俺の船さ! 立派なもんだろう!」
「うむ、確かに立派だ。持ってる本人も立派だったら良かったんだが」
「ソラ、俺に対してやけに辛辣じゃない?」
なんだか悲しい顔を見せるラルスさん。
でもすぐに気を取り直して、わたしたちを搭乗口に案内してくれた。
船に乗り込むと、船体が波で揺れてちょっと足元が変な感じ。
ちょっと不思議な感覚で少し面白いかも。
わたしとソラはなんだかキョロキョロと落ち着かなくて、その様子をラルスさんは笑ってみていた。
「ふっふふ! この調子じゃ海に出たら驚きっぱなしだろうねえ!」
ラルスさんはそう言いながら、懐から地図を一枚取り出した。
このツギーノからアウェロー大陸の西側に行くルートが書かれている地図だ。
「これから向かうのはアウェロー大陸西の玄関口、"プース"っていう港町!補給もしつつ一週間くらいの船旅になるかな?」
イリス大陸とアウェロー大陸の間にあるいくつかの島を経由しつつ、海流に乗ってプースへと向かうのだとラルスさんは語る。
プースに着いた後はラルスさんの知り合いを尋ね、そこから一番近い遺跡へと向かうのだそうな。
「ま、俺は船の番をするからプースに残るけどねえ」
「あ、そうなんですね」
「……ちょっとは残念がってくれてもいいんだよ、ハル?」
「あっ……ちょっと残念、です」
「お世辞でも嬉しいよ、うん……まあ俺の知り合いも頼りになる人だから、そこは安心してくれ」
ラルスさんは分かりやすいくらいがっかりしていた……ちょっと申し訳ないかも。
「……まあ気を取り直して! 早速出航するよ! おうい、錨を上げてくれー!」
そう言うとラルスさんはあれやこれやと指示をする。
船員さんたちはその指示通りに動いて、錨を上げたり帆を下げて調整したり。
ラルスさんは舵を操って、沖に出る準備をしていた。
「それじゃあアウェロー大陸へと向かって出発! ヨーソロー!」
調整した帆が風を受け、船がゆっくりと動き始める。
ツギーノ湾をゆっくりと離れ、街がどんどん小さくなっていく。
わたしとソラは離れていくツギーノを眺めながら、興奮気味に話し合っていた。
「なんだか大冒険の幕開けって感じでドキドキするね! ソラっ!」
「うむっ、アウェロー大陸には何があるのか、今から楽しみだな!」
ソラもなんだか子供らしくはしゃいでる……わたしもだけどさ、えへへ。
そんな様子を見てリエッタさんはふふっと笑っていた。
イリス大陸を飛び出したわたしたち。
アウェロー大陸に一体何が待ち受けているのか、ソラジマに辿り着く手がかりは見つかるのか。
まだまだ冒険は始まったばかり。不安はあるけれど、ソラやリエッタさんが居ればきっと大丈夫。
わたしは信頼できる仲間たちに囲まれながら、未知なる大陸に思いを馳せるのである。
大海原に飛び出したラルスカヌス号は、心地いい潮風を一身に受け、航路を軽やかに進んでいった。
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