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〜異世界転生して100年後の世界を生きてみる〜  作者: 伊政
ダンジョン攻略編
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最後の戦い①・アキ編

友達とコンビニに行った時に添加物についてのあれこれを語ったら店員さんに睨まれました。

 やつ(ミノタウロス)は見た目からは想像もつかないスピードで突っ込んできた。これで重い大剣を担いで、力もセーブされてるとかおかしいでしょ。最強の騎士たちが倒せなかったのも納得がいく。


「うおおおっっ!!!」


 咆哮を上げて力任せに大剣を振り下ろしてくる。

 ギリギリで回避するも衝撃がビリビリと伝わってくる。どんだけ強いんだ。


 そんなことを考えて分析する間も無く、私は攻撃のスピードとテンポに追いつけずどんどん壁際へ追い詰められていく。

 このままじゃ反撃する間も無くやられちゃう…!!まずい!!


 と、タイミングよくリルさんが話しかけてくる。


(アキ、実は雷術には攻撃以外の使い道もあるんです)


(なに?手短かに!それにもっと早く言ってよ)


(そうでしたね。ただ今のアキの体が保つか心配で…)


 全くこの妖精さんは…これだからエルネストを肝心なところで取り逃しちゃうんだよ…。


(そんなこと気にしないで!やるかやらないかでしょ?)


(そうですね)


 前置きが長いよリルさん!私今死にそうなんだ!


(で、方法は?)


(自分の体に雷術を流してください。そうすれば思考と行動の高速化ができるはずです)


 なんか黄色いオーラをまとって高速で戦うアニメあったなぁ。

 それにしてもそんなこともできるのか!雷術って万能だね。ジーノウは炎をまとって戦ってたことがあったけどあれも同じようなものなのかな。なんて考えてる時間ないよ私!


(わかった!やってみる)


 この際身体への負担なんて気にしてられない。私は魔力を身体中に巡らせる。

 ちなみに術の名前は…


「雷術・雷神!」


 大剣を躱しながら身体中に電気を走らせる。そして私の感覚にも衝撃が走る。


 ……世界がゆっくり動いている……!!そして、そのゆっくりと進む時間の中で私の思考と身体は今までの速度の感覚で動いているのだ。凄い。



(いいですよアキ。うまく身体に電気を適応させられていますね)


 へへっ、褒めて伸ばすのは現代教育のの常識だよ。わかってるね姉貴!


 低い体勢のまま思いっきり地面を蹴る。

 やつの視界から私が突然消えたことに驚いたのだろう、一瞬戸惑う素振りを見せた。


 私は背後から斬りかかる。


「はあっ!」


 剣と剣がぶつかり合い火花が散る。やつは私の気配に気づき振り向いて防御したのだ。

 私の剣速もさっきまでより全然速くなってる。せめて切り傷ひとつくらいは付けられると思ったんだけど…。

 だがしかし、いくら私が速く動けるようになったとはいえ、やつもまた常識を超えるスピードで動いている。私の方が少し速いくらいなのだ。そして何より経験値に圧倒的な差がある。


 速さで勝る私、力で勝る牛魔。伯仲した剣戟が展開される。

 正面、右、左と高速で撹乱して波状攻撃をする私に対して、やつは落ち着いて一撃一撃を防ぎ、隙を見て反撃してきた。まるで私の剣筋が見えているかのように。

 そしてその反撃の一撃が重い…!受ける度に手の内が擦れて焼けるように痛み、衝撃で身体の軸を崩されそうになる。

 もっと攻撃を払ったり擦りあげる技を習えばよかったかも…。愚直なまでに真正面に受けてから防ぐことしか出来ない。


 ここだ!と思う所を攻撃してもギリギリのところで回避される。多分私と同じで予測眼のようなものを持っているんだろう。厄介この上ない。


 これだけの魔力と体力を同時に消費し続けたら多分30分後には力尽きてる。やっぱり覚えたての剣術じゃ敵わないのかな。

 リルさんがまたアドバイスをくれる。


(アキ、魔法をどのタイミングで発動させるかが勝利のカギになります)


(わかってるけど…そんな余裕ないよ…!)


(あえて隙を見せて懐に飛び込むのです。エルネストの攻撃は直線的です。なのでそこを横からつけるような攻撃が望ましいかも)


 なるほど、何と無く想像はついたよ。ありがとうリルさん。


 両者一歩も引かない剣戟が続く。ジーノウの存在なんて頭の隅にもなかった。

 私の消耗を知ってかは知らないがやつはだんだん余力を残すような立ち回りをしてきた。悔しい。


 リルさんの言葉を思い出し動きをイメージする。

 成功するかはわからないけどとりあえずやってみよう。


「なかなかやるようだな。だが速く動けるだけでは俺には傷一つつけられんぞ」


「くそ…!」


 事実、私はやつにかすり傷すらつけることができなかった。しかし私の服はやつの剣がなんども掠り、ところどころ破れていた。


「そろそろ終わりにしようか、異世界から迷い込んだ“旅人”よ」


 言い終わるや否やさっきまでの比ではないスピードで剣が横に軌跡を描いた。

 私はかろうじて避け後ろに飛び退く。


「これで終わりだと思うなよ!!」


 完全に攻勢に移ったようだ。ここでカウンターを決める。


「うがああああああ!!!!」


 怒号と主に牛頭が突っ込んでくる。速い。本当に化け物だ。


 だけどここまでは想定通り!ギリギリまで攻撃を引きつけ、私は可能な限り最も低い姿勢に入る。


 やつが構わず剣を振り下ろすのが目に入った瞬間、私は渾身の力で地面を蹴る。とんでもないスピードに身体が置いていかれそうになる。踏ん張れ、私!

 高速思考ができるようになったおかげで脳は異次元の速さに付いていくことができている。

 私はやつの、徐々に近づいてくる毛むくじゃらの体の下に潜り、剣を持っていない手を真上にかざす。


 私の体をありったけの魔力が駆け巡る……!


「爆雷ッッッ!!!!!」


 牛魔人の胴体を太い電撃の柱が貫く。私の今出せる最強の術を最大の魔力に乗せて放ったのだ、死ななくてもいいから致命傷くらいにはなってほしい。


「ぐがああああ!!!!!」


 痛みに悶絶して叫び声をあげる牛魔人。その突進してくる勢いを保ったまま倒れ込んでくるのを回避する。


 やつは悶え、痺れながら地面に倒れて蹲る。その巨体には大穴が空いていた。グロいな…。


(アキ、躊躇せずとどめを刺してください)


(わかってるよ。リルさんの二の舞はしないから)


「やあっ!!」


 私は躊躇わずに蹲った怪物に剣を振り下ろす。

 因果を断ち切れ!私の剣!



 その直後に起こったことが衝撃的すぎて私は理解が及ばなかった。

 私の剣は確かにやつの首を切った。だが、やつは首に剣が刺さった状態で立ち上がったのだ。瞬時に再生が始まっていたようで私は剣を抜くことができない。

 そこで大人しく剣を手放していれば、私は無事ですんだのだろうか。


「ぐほっ…!!」




 やつの手が私の腹を貫いていた。







ネクタイがneck tieだということを知った時は本当に、それこそ新しいおもちゃを目の前にした子供のような喜びと驚きに包まれたのを覚えています(3年前)。

一刻も早く子供たちだけでなく大人にも希望と喜びの溢れる社会を取り戻したいですね。


アキがどうこの状況を切り抜けるか、楽しみです。

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