プロローグ
初投稿です。
わりと長めのお話になってしまいました。
お楽しみいただけたら幸いです。
呪文は、マジメに読まなくても大丈夫です!
渡り廊下に出ると、暴風雨はすっかりやんでいた。
庭の草木も濡れてもおらず、西の空はそろそろ夕焼けになろうかという色合いだ。
とてもついさっきまで台風だったようには、見えない。
あれ? と思った途端、どっと強烈な臭いが襲ってきた。
悪臭と一緒に、強めのお香の薫りが混じって、いきなり、かなり、キツイ……。
顔をあげると、先に歩いている彼女の姿が、徐々に崩れ始めた。
クールビューティーな執事姿がにじんで、みるみる縮んでいく。なのに、髪の毛だけが伸びていって……。
思わず立ち止まってしまったわたしを振り返り、彼女は口を開いた。
「ま~なぁ。な~おおまゐら~うぅ。はやや。ゆふさるぃわぁとぉく~。おんまえゆるぇされ~たぁるぅおおぼすぃめす~ぬいたぐゎぁふわぁぬぇくくぃも~の~ずぉ~」
じゅ、呪文?!
って、いや、うん、分かってる。
つまりわたしは、タイムスリップしてしまったのだ。またもや。
まあね、毎度のことだし。それはしょーがない。
でもっ。
ひとつだけ言いたい!
タイムスリップするならするで、事前に言っといてよね!
いつもとパターンが違うのは、なんなのよーーーっ!