97話 火龍討伐 5
「火龍アラドームの討伐の討伐報酬を白金貨1万枚100億円から白金貨100枚1億円にして欲しい。その上でアラドームの素材と魔石をアシュラ王国に引き渡して貰いたい」
遠回しなアシュラ王国の使者の言葉を端的に述べるとそういうことになった。
マコトや、横で聞いていた冒険者ギルドの関係者も開いた口がふさがらなかった。
火龍アラドームにかけた報償金を値切った上で更に、価値の有る龍の素材を寄越せという国の信用を損なうような事を言い始めたのだ。
厚顔無恥としか言い様が無かった。
アシュラ王国の使者はこれが両国の友好の架け橋になるだのなんだの言っていたが、要するに払う金が無くて討伐の為にと軍を動かして金が掛かったので、龍の素材を売却した金でその予算に当てようとしているのだ。
どこぞの軍団のように武力で追い払おうとも考えたが、仮にも国の代表である。
マコトは再びドリンドルに連絡して、冒険者ギルドマスターにして王族のモーラスにお伺いを立てた。
すると予想通りに好きして良いという返事がマーカスから届いた。
マコトはアシュラ王国の使者達に対して、ドリンドルまでは送るがそこからは知らないし、火龍アラドームの報償金も前記のような内容なら要らないし、龍の素材と魔石を渡すことも一切しないことを明言した。
アシュラ王国の使者はゲシュタルト王国との関係悪化を匂わせてきたが、王族であるモーラスに既に許可は貰って有ることを告げると、情報伝達の早さに顔色を青ざめさせた。
マコトは魔石に十分な護衛を付けて、アシュラ王国の使者達と共にドリンドルに多目的戦闘ヘリバイパーで送り届けた。
勿論、使者達と魔石が降り立つのは別の場所だ。
マコトには、まだ戦闘跡地でアラドームの凍結作業を見守るという仕事があった。
作業は順調で、後2日もしない内に移送に耐えきる強度になりそうだった。
夜の定時連絡で、マコトはキナ臭い連絡を受けることになった。
ドリンドルに強制送還されたアシュラ王国の使者達が秘密裏に冒険者崩れの犯罪者等の武装勢力を集めているというものだった。
恐らく、ドリンドルに火龍アラドームの魔石と素材が揃い次第に武力で奪い盗るつもりなのだろう。
仮にも国の代表の浅はかな行為にため息をつきつつ、副司令のアリシアにホームベース並びに飛行場の警戒強化を命じると共に、冒険者ギルドのギルドマスターモーラスに情報を逐一連絡するようにした。
早ければ明後日の朝にはここを引き払える、マコトはそう考えていた。
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次回更新は6月13日午前7時を予定しています。




