92話 一人旅 7
マコトはベッドの上で目を覚ました。
「今度は知ってる天井だ・・・・・」
そこは、軍団、葬送曲のホームベースにある医務室だった。
「誰か居ないのかな?」
マコトは問い掛けるように、呟いた。
すると仕切りのカーテンが開けられ、エルフの衛生兵が姿を現した。
「司令、目を覚まされたんですね!」
「アリシアはどうしてる?それと、避難民の処置は?」
「副司令は司令が目を覚まされたので、此方へ向かっている筈です。
避難民はホームベースに避難所を設営してそちらで生活しています」
そう言って、衛生兵は、マコトの額に体温計をかざして体温を計る。
「37・6℃、火傷のせいかまだ少し熱が有りますね」
布団の位置調整などをしていると、廊下から喧嘩するような声が近付いて来る。
「「マコトが目を覚ましたって本当!?」」
アリシアとアイシャが先を争うようにして医務室に飛び込んで来た。
「やぁ、2人共元気そうだね」
アイシャが口を開く、
「マコト、貴方2日間も寝込んでいたのよ!」
アリシアが、
「マコ・・司令。ご不在時の資料をレポートにしてお持ちしました。
後で、お目通しをお願いします」
と言ってまとめられたレジュメをベッドの隣の机の上に置く。
マコトは2人と話をする為に上体を起こそうとして、衛生兵の介助を受けていた。
「マコト、無理しなくても良いのよ」
「司令、無理はなさらず」
2人の声がハモった。
「せっかくだから話をしようか、アイシャ、村の皆は大丈夫かい?」
「ええ、軍団の団員の皆さんが気を使ってくれて不自由はないわ」
「そうかい、それは良かった。
アリシア、火龍についての情報は有るか?
レジュメと被っても良い」
「では報告を。冒険者ギルドとの合同調査チームの偵察の結果、今回コダの森に現れた火龍は150年程前に隣国のアシュラ王国の街を4つ壊滅に追いやった若年龍、通称アラドームと特定致しました。
アラドームにはアシュラ王国から白金貨1万枚100億円の懸賞金が懸けられていますが、これは時のアシュラ王国の第1王子が兵を率いてアラドームに挑んだ際に還らぬ人となった為も有り、この金額になった模様です。
以来アラドームはアシュラ王国の宿敵となっており、今回の発見でゲシュタルト王国に出兵の許可を求めているようです」
「奴は今、どうしてる?」
「はい、司令との死闘でアラドームは片翼に損傷を負い2週間程はコダの森で大人しくしておりましたが、3週間程前から活動を活発化させて、近隣の村や街を襲っています」
「ギルドや王国からは、何か言って来ているか?」
「冒険者ギルドは強制依頼を発動して冒険者を集めて、襲われそうな街に集結させつつありますが、有力な軍団は地方貴族達が囲い込み、中々上手くいっていない模様です。我々、葬送曲はギルドマスターの計らいも有って鉱山都市ドリンドルの守りを固めている状態ですが、内々に葬送曲の戦力でアラドームをどうにか出来ないかとせっかれている状況です」
「ならば、期待に応えてあげないとな?」
「では?」
「この火傷の借りも返さないといけない。アラドームの首は我々が戴く!!」
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次回更新は6月4日午前7時を予定しています。




