9話 ドリンドルにて 3
いつも応援ありがとうございます。何とか週に1回のペースを保って行きたいのですが、正月から風邪をひいてしまいました。皆さんも風邪、インフルエンザにはお気を付け下さい。
マコトは暫し考えると口を開いた。
「冒険者は依頼の最中に命を落とせば、その場で遺品を回収して荼毘に伏すのが一般的ではないのか」
すると、アリシアは、
「確かにそうするのが一般的ですが、今回は拠点の街も近いですし同じ孤児院で育った仲間としては教会の墓地に埋葬してあげたいのです」
孤児だったのか、ただそう思った。
「討伐報酬分はいらない。っと言うかほとんど倒したのは自分だけどな。自分はアイテムボックス持ちだ。遺体の移動には問題無い」
「じゃあ、私は何をすれば?」
「自分の分のゴブリン討伐証明部位の切り取りを手伝ってくれ。流石に数が多い」
最終的にゴブリンの討伐数は42匹、トリアージ草は17本となった。
2人の冒険者の遺体は、要望通り、冒険ギルドに連れて行った後に教会付属の孤児院に連れて行った。
アリシアという少女は教会のシスター達に遺体を引き渡すと、マコトのところに来た。
「改めてアリシアよ」
「マコトだ」
「2人のことはありがとう、きっと安らかに眠れるはず」
「明日は我が身だ、気にすることは無い。2人も故郷で眠れれる」
「そうよね・・・・」
アリシアは、マコトの胸に頭を預け、泣き出した。マコトはただ黙って立ち尽くしていた。
しばらくして、
「こういう時に言うのも何だが・・・・」
「何?」
「一緒にパーティーを組まないか?」
「私仲間を亡くしたばかりよ?」
「知ってる」
「こういう生き残り方をしたら、仲間を見捨てて生き残ったって噂される」
「知ってる」
「貴方まで巻き込まれる」
「知ってる」
「貴方馬鹿よ」
「知ってる」
「少し考えさせて」
「分かった」
ハアッとため息を吐き、アリシアは言葉を続ける。
「貴方、宿は?私は金毛の山羊の蹄亭ってところ何だけど?」
「特に決まっていない。その宿に空きは有るのか?」
「昨日の時点ではあった筈だから有るんじゃない?」
「では、冒険者ギルドに立ち寄ってから、その宿に向かおう」
「私は先に宿に帰っているわ。2人の荷物やら、部屋も変えて貰わないと」
そこで、実感がわいてきたのか、涙ぐんだが、袖で涙を拭き取ると、
「宿は、ギルドのほぼ真向かいだから迷わないでよ!!」
気勢を張ったのか、大きな声で言うと、通りを走り出した。
マコトは、その背中が見えなくなるまで見送ると冒険者ギルドに向かって歩き出した。
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