83話 軍団の躍動 12
「オイ!!何故俺の邪魔をした!
下賎な輩には強気で当たらなければならんのだ!!」
近衛騎士団副団長のアーノルドは年配の近衛騎士に当たり散らしていた。
「そろそろ宜しいかな?しかし、かの御仁も食えないお方だ」
「何だ!!何の話をしている!?」
「貴方はもう終わりということですよ。
アーノルド近衛騎士団副団長いや、アーノルド!!」
いつの間にか、アーノルドを複数の近衛騎士団員が取り囲んでいた。
「こ、これは一体!?」
「盗賊討伐に名を借りた葬送曲司令官の暗殺計画、既に調べはついている。
今頃、城では第1王女と国務大臣の捕縛も進んでいる筈だ!!」
「き、貴様らは一体!?」
「我々はゲシュタルト王国の影、王国に仇なす者を秘密裏に処理するのが任務」
「アーノルド!!覚悟!!」
1人の近衛騎士いや、王国の影がアーノルドを切り伏せる。
「こ、こんな所で私は・・・・・」
アーノルドは落馬し、息絶える。
「これで、伯爵家次男アーノルドは盗賊討伐任務中、魔物に襲われ殉職した」
「しかし、あの軍団の司令官もまさか王国がここまでして、守っているなんて思いもしないでしょうね」
年配の騎士が言う、
「イヤ、案外気が付いているかも知れんぞ」
「そんなまさか?」
「それよりも、切るべき者達はまだまだ居るぞ!!」
「盗賊団の首魁、元王国騎士のマルバス。我々の手で討ち取らなければ」
こうして、王国の影達はまた、闇に消える。
舞台は再び、葬送曲の元へと戻る。
「さっきの近衛騎士団副団長とかいうの嫌な奴でしたね」
「本当、本当。もう少しで引き金を引くところだったわ」
「人族でも、稀に見る嫌な奴だったぞい」
葬送曲の団員達がエルフ、ドワーフ問わずにアーノルドの悪口を言っていた。
「まあ、人族にもいろんな奴が居るからな、皆気にしないでくれ。
それにあの年配の近衛騎士がしっかりとしているだろうしな」
「司令はやけに、あの近衛騎士の肩を持ちますね?」
「司令ってば、ああいうのが好み?!きゃー拡散しないと・・・腐腐腐」
「アイツを確保!!」
「きゃー、冗談ですよ、冗談」
マコトは腐女子と化していたエルフの団員を矯正室に送るとため息をついた。
「こんな事なら書籍の開放をするんじゃなかった」
マコトは戦地ばかりに送られる団員達の福利厚生をと思って、スキル異世界マーケットで漫画や小説、雑誌等の書籍を移動図書館で開放したのだ。
これが非常に受けて、読み書きの出来なかった団員も居たが、必死で勉強して本を読もうという者が続出したのだ。
しかし、何処から迷い込んだかBL本等アブノーマルな本まで混じっていて、中毒者も続出したのだった。
中には、スライム責め最高~!!等と言い出し、スライムを捕獲しに行こうとした団員が捕縛されるという事態にまで発展した。
日本の文化は異世界人には刺激的かつ早過ぎたのだろうか?
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次回更新は5月19日午前7時を予定しています。




