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82話 軍団の躍動 11

 マコトは近衛騎士団に対して居留守を使おうと考えていたが、必要な用事というものは有る。

 3日に1度の王都の商業ギルドへの顔出しだ。

 新たな被害を食い止める為に、まめな情報交換は必要だった。

 しかし、その為にはテントから出なくてはいけない、そういう時に限って嫌な客というものは来るものだ。


 マコトが王都東の街イースタの郊外に設けた仮設基地のテントから高機動車に向かって歩き出そうとした時


 「こちらは、ゲシュタルト王国近衛騎士団である!!

 葬送曲(レクイエム)の団長のマコトは居るか?」


 いきなりの呼び捨てである。

 マコトの中で近衛騎士団の評価が(ゼロ)から(マイナス)になった。

 無視して行くのも手であるが、そうすると残された身分的には奴隷である団員に何をしでかすか分からない。


 「私が軍団(レギオン)葬送曲(レクイエム)司令官(・・・)のマコトですが」


 近衛騎士は馬上から、


 「居るではないか!!居るなら居るで、さっさと出て来い!!」


 ここでマコトはキレた。もともとは温厚な性格ではあるが、理不尽な行動を取る連中は許せなかった。

 だからこそ前世では警察官の職を辞することになったのだが、1回死んだ位では直らなかったらしい。


 「貴方方は我々に喧嘩を売りに来たんですか?買いますよ。お代は貴方達の命だ」


 マコトが右手を上げると、物陰に隠れていた団員達が銃を構えて、近衛騎士団を半包囲していた。

 あれだけ、大声でマコトのことを見下していたのだ。

 団員のことを家族だと考えるようになっている団員達からしてみれば、親を馬鹿にされたようなものである。


 ここに居る近衛騎士団は100人程だが、マコトが号令を送れば一瞬で全滅させることができただろう。

 そのことを感じ取ったのか、少々年配の近衛騎士が下馬して進み出て


 「副団長が失礼した、我々は味方と(いくさ)をしに来たのでは無い。

 どうか武器を下ろして下さらんか!!」


と言った。


 マコトは開いていた手のひらを握り、ゆっくりと下ろした。

 それに合わせて団員達も銃口を下に向けた。 


 「貴様ら!!」


 団員達の気迫に圧されて何も出来なかった近衛騎士は、銃口が反らされると途端に強気に出ようとした。

 しかし、先ほどの年配の近衛騎士が、


 「アーノルド副団長!これ以上醜態を晒されるおつもりですか!?」


と威圧すると黙り込んだ。


 「申し訳ない。我々は近衛騎士団の盗賊団討伐隊第2班と申します。

 同じ盗賊討伐の任にあたる葬送曲(レクイエム)の司令官殿に一言と思い参った次第です」


 「分かりました。こちらこそ宜しくお願いします」


とマコトは右手を差し出した。

 その右手を年配の近衛騎士が握り返して和解はなった。



 


 近衛騎士団は、このまま巡回を続けるということで立ち去った。

 1人のエルフの団員が近づいて来た。


 「あのままで宜しかったので?」


 「ああ、それにあの年配の近衛騎士は(タヌキ)だな。

 副団長とやらもただでは済むまい」


 「(タヌキ)・・・でありますか?」


 「何でもない、聞かなかったことにしてくれ・・・・・」











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次回更新は5月18日午前7時を予定しています。

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