80話 軍団の躍動 9
『盗賊共に警告する。こちらは軍団葬送曲だ。
武器を捨て、降伏せよ!!』
「葬送曲?葬送曲って、あの葬送曲か?俺達は助かったぞ!!」
「もうひと踏ん張りだ!!俺達は助かるぞ!!」
「何だ?商隊の奴ら急に士気が高まりやがった」
「葬送曲?それってエルフの国アレフガルド王国で暴れまくった軍団の事じゃあねぇか?」
「空飛ぶ鉄の虫だぁ?聞いたことがねぇ。射ち落とせ!!」
盗賊団の飛び道具を持つ者達が「スネーク6」を狙い出す。
「警告に応じる様子無し。正当防衛射撃を実施する」
「了解!!」
「何もして来ねえぞ!!見かけ倒しだ!!」
「待て、頭のところの筒が回転し出したぞ!!」
「20mmガトリング砲駆動準備ヨシ」
「了解、目標正面の盗賊団。ファイア!!」
ヴ~~~~ン!!
数百発の20mm砲弾が盗賊団を蹂躙する。
「なんだありゃ化け物だ!!」
「逃げろ!!」
しかし、空の死神は盗賊団を逃がさなかった。
「スネーク6、こちらスネーク1。スネーク2~4を連れて来た。
盗賊団は何処だ?」
「本機の下に居るのが商隊で、12時の方角で瓦解しつつ有るのが盗賊団だ」
「了解、スネーク1から順にガトリング掃射を実施する。その後、逃走方向に先回りしてヘリボーンを実施する」
「「了解!!」」
5機のバイパー部隊によるガトリング掃射により150人は居た盗賊団は半減して、逃走を開始したが、逃走方向に先回りしたバイパーからヘリボーンした40人
の葬送曲の団員に半包囲されて、生き残りの盗賊団もそのほとんどが降伏した。
葬送曲の地上ユニットと東の街ウェスタの騎馬隊が駆け付けた頃には、盗賊団89人はヘリボーンした団員と商隊の護衛の冒険者により完全に捕縛されていた。
マコトが襲撃現場に到着した頃には、衛兵による盗賊団の改めが行われていた。
名前は?盗賊団での地位は?どんな襲撃に参加したのか、何人殺したのか?等の聞き取りが行われて、その結果次第で檻の馬車に詰め込まれていった。
流石に人数が人数だけに檻の馬車に乗せ切れず、下部構成員は衛兵隊がその場で打ち首にしようとしたが捕縛した葬送曲が貴重な情報源だからと言って反対、ウェスタの街から新たに護送の馬車を呼び寄せて、暗くなるまで作業は続いていた。
マコトの前に以前出会った騎馬隊の隊長が現れた。
「久しぶりですな。王国防衛隊のハスルです。
我々が手を焼いていた盗賊団をこうもあっさりと捕縛されますと、私共の出番が無くなりますなぁ」
「ご心配無く、まだまだ終わりませんよ」
「ほぉ?と言いますと?」
「我々の予想では、盗賊団は300人近い人数です。
今回討伐、捕縛したのは良くて半分でしょう。
アジトの捜索もしなくてはなりませんから、衛兵隊の皆さんにもまだまだ出番は有りますよ」
「それはまた、遣り甲斐のあることですな」
「全くですよ」
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次回更新は5月14日午前7時を予定しています。




