74話 軍団の躍動 3
葬送曲の快進撃は、止まらなかった。
放牧の街、ファームで飛竜が出没したとの討伐依頼があれば、駆け付けた。
飛竜は2体の番だったが、ファームの街の近くに巣を作っているようで、牧場の家畜を毎日のように拐って行った。
マコトは、敢えて家畜を草原の1ヶ所に集めてもらい罠を張った。
果たして、罠を張ったその日に1体の飛竜が飛来して家畜の群れに狙いを定めたが次の瞬間、牧場に穴を掘って埋伏していた歩兵戦闘車が現れて飛竜に向けて35mm機関砲を発射して一連射で撃ち落とした。
次の日、再びの飛竜の飛来に備えていたが、飛竜が現れることは無かった。
依頼は2体の討伐である。
マコトは、急いで航空戦力であるヘリ部隊を呼び寄せると、飛竜の巣の探索にのり出した。
連日の飛来方向から、大体の方角の目処は立っていた。
飛竜は、岩山や崖といった場所に好んで巣を作るが、ファームの街の近くにそのような場所は無かった。
探索2日目にして、漸く飛竜の巣を発見した。
飛竜はファームの街近くの森の中に巣を作っていた。
葬送曲のヘリを見て他の飛竜が縄張りを荒らしに来たと思ったのか、飛竜は巣から飛び出して来た。
それで、飛竜が番が帰って来なくても逃げなかった理由が分かった。
巣には卵があったのだ。
しかし、それが討伐中止の理由になるはずも無く、飛竜は付近で待機していた高機動車搭載の12・7mm重機関銃のえじきになり討伐された。
飛竜はドラゴンの下位種とされているが、それでも高値で取引されて討伐報酬は白金貨2枚200万円。
素材の買い取りが2体で白金貨25枚2500万円。
卵は飛竜を飼い慣らして騎竜にする技術を持つ国、ドラグノフ竜王国の使者が現れて白金貨10枚1000万円を提示したことから引き渡した。
こうして討伐依頼を次々とこなして行くのにはある理由があった。
それは、スキルポイントと予算の不足である。
死神から貰った武器創造の力をはじめとしたスキルには、発動させるのにはポイントを必要とする物が有る。
その最たる物が武器創造の力である。
この世界に存在しない物を創造するからには代償が必要であるが、ここ最近貯めていたポイントを使用して大規模な部隊編成を行った為に、ポイントがやや不足がちになったのである。
第2に予算不足なのは、鉱山都市ドリンドルの郊外の森を切り開いて基地を作ったのは良いが、そこに目を付けたのが徴税官である。
住める土地を持っているのだから、税金を払えというのが向こうの主張だが、個人で魔物も出没する土地を開拓して成功させる者などほとんど居なかった。
その為、今までこうした事態は起こっておらず徴税官の主張は半分理屈の通らないモノであったが、実際に土地を所有している現在、税金を払わなければ体裁が悪いので払おうとすると過去に遡って払えと言い出したことからかなりの額が持っていかれたのである。
税金に関しては冒険者ギルドマスターのモーラスが帰還したら相談するつもりでは有るが、かなり国に不信感を抱いている。
そんな訳で葬送曲は、目下討伐依頼に励んでいるのである。
勿論、団員の皆はそのようなことは知らないが、マコトは後方支援隊の一部の事務官とは毎晩のように書類と睨みあっている。
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次回更新は5月4日午前7時を予定しています。




