70話 久々のホームへ 鉱山都市ドリンドル 3
宴が終わった次の日からマコトは、部隊編成に取り掛かった。
新設する部隊は3種類、砲兵隊、機甲部隊、航空騎兵隊である。
砲兵隊はドワーフから、155mm砲3門を1個小隊30人。
機甲部隊は1個小隊、歩兵戦闘車4両12人を3個小隊36人。
航空騎兵隊は1機のヘリにパイロット2人整備士1人が乗り込み、8機を24人で
運用予定だった。
だが、予定は予定である。まずは基本教練を行わなければならない。
取り敢えず、ドワーフ50人を1個班、エルフ800人を16個班に分けて、1班に1人教官と3人の助教を付けた。
教官達の負担が大きくなり過ぎるが、現代の自衛隊レベルまでもって行くまでは、そもそもの基本教養がバラバラだから無理だろう。
だからと言って、妥協するつもりも無かったが。
まずは、基礎体力の向上だ。これにはうってつけのものがあった。
ホームベースの拡充である。
商業ギルドに確認すると、もともとホームベースは鉱山都市ドリンドルを治めるドリンドル子爵の別邸で街の端に位置していたが、その外壁の向こうに広がる森をいくら切り開こうが勝手であるとの事だった。
そこで、安全なホームベースは本部として、新たなグラウンドや訓練場となる場所を開拓することにした。
朝は7時起床で、8時までに着替え、食事等を班毎に済ませて8時から基本教練で敬礼の仕方、行進訓練、木製銃を使った各種動作の教育が行われて、12時に軽い昼食(これはもともと昼食の習慣が無かった為)
13時から17時まで森の開拓を行った。
17時から18時までに食事、入浴を済ませて18時から19時までは座学と称して軍団の団員としての心構え等を説いた。
ドワーフ族が多かったということもあってか、訓練場にグラウンド、ヘリの発着場の整備は3ヶ月で終了した。
ここで、初めて各員に実銃の貸与が行われた。
エルフ族には、7・62mm19式自動小銃を、ドワーフ族には9mm18式短機関銃を貸与した。
これは、各種族の身長差と戦闘に関する考えの違いから来ており、エルフ族は弓矢を好み長距離射程を好みことから小銃を、ドワーフ族は接近戦闘を好むことから短機関銃となった。
時限動作は変わらなかったが、午後からの作業は銃の射撃訓練、分解結合、銃の整備が主として行われるようになった。
実銃の貸与から、3ヶ月が過ぎて班員全てが、薄暗闇の中で銃の分解結合が出来るレベルになると、新兵達は心身共に何処に出しても立派に通用する兵士となっていた。
しかし、これで終わりでは無い。あくまでも歩兵としての基礎が身に付いた段階である。
これからは各専門技能を身に付けて、葬送曲の戦力強化に繋げて貰わなくてはならない。
そこで、マコトは新兵達の意思確認と適性検査を行った。
ドワーフ 155mm榴弾砲 3門 1個小隊 30人
エルフ 歩兵戦闘車 12両(兵士7人同乗可能) 3個小隊 40人
エルフ 航空騎兵隊(兵士8人輸送可能) 8機 30人
エルフ 本部管理部隊 30人
ドワーフ 工兵 20人
エルフ 歩兵 600人
エルフ 後方支援隊 100人
(予定より人数が多い部署は余剰人員を含む)
これに、旧来の重迫撃砲小隊、歩兵中隊が加わり、約1000人の新生、葬送曲の誕生である。
それぞれに専門的知識が必要な各種兵器であるが、マコトがその専任者と認めた者には何故か基本的な知識が機体に触れることで頭に入って来るようで、これも、死神からの特典の一種なのだとマコトは考えた。
車両群も王都からの帰還に使用した3・5tトラック25両の他に、高機動車20両、軽装甲機動車15両等の拡充を図った。
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次回更新は4月27日午前7時を予定しています。




