7話 初依頼とコダの森
新年明けましておめでとうございます。今年最初の投稿となります。今年一年宜しくお願いします。
依頼の掲示板を見ると昼過ぎということもあってか、羊皮紙に書かれ掲示板に貼り出してある依頼は少なかった。
しかも、最低のFランクともなれば、有るのは廃屋の解体、居なくなったペットの捜索、引っ越しの手伝いといった現代でいう便利屋さんのような依頼ばかりであった。
普通のFランク冒険者ならば、そうした下積みを積み重ねて、武器や防具を揃え、一人前になって行くので有ろうが、マコトは違う。
異世界の知識こそ少ないが武器とそれを扱う術を持ち、死神から得たチートな能力も有る。
マコトはランク別の掲示板を見るのを止めて、ランク問わずの常設依頼の掲示板に向かった。
そこには、各種魔物の討伐依頼から、薬草の採集依頼まで様々あった。
その中から、マコトはゴブリンの討伐依頼と薬草採集の依頼を選択し、常設依頼番号を記憶すると受付嬢のところに戻った。
「常設依頼の討伐Eー2と採集Eー13を受けたい」
「はい!ゴブリン3体の討伐、報奨金5000円と、トリアージ草5本採集で、報奨金3000円の常設依頼ですね。今日登録されたばかりで大丈夫ですか?」
「戦闘経験は有る。薬草に関しては鑑定スキル持ちだ、問題ない」
「・・・分かりました。ゴブリンの討伐証明部位は右耳になります。トリアージ草は根っ子まで抜いて来て下さいね。でないと買い取り価格が大幅に下がります!!」
「細かいことまで、すまない」
すると、受付嬢は、
「私の名前はアリアです。それと、そういう場合はありがとうです!!」
「・・・!分かった。アリアさん、ありがとう」
「分かれば良いんです!!ちゃんと依頼達成して帰って来て下さいよ?」
「ああ、勿論だ」
「では、行ってらっしゃいませ!!」
冒険者ギルドでのやり取りの1時間後、マコトは森の中にいた。
「これが、コダの森か」
ドリンドルの街を鉱山と挟むようにして広がるのが、このコダの森である。鉱山では、事故等により怪我人が絶えない、そこで森から採集される薬草から作成されるポーションが重宝される。また、一部の野菜等はドリンドルの街で栽培されているが、麦等の穀物は他の町や村からの輸入に頼らざるを得ない。
肉類の輸入は輸送手段の問題から、コダの森からの森の恵みに頼らざるを得ない。
そこで、冒険者だけでなく、猟師や一部の薬師が森に入ることが多く、森に関する討伐依頼が、常設依頼になる程に森の安全には気が使われている。
マコトが受けた依頼は、そんなドリンドルの街の問題を如実に表したものだった。
マコトはまず、マップのスキルで周囲の確認をした。すると、森の中に無数の敵を示す赤色のマーカーが現れた。
しかし、これではゴブリンか見分けが付かない。そう思いながらマップを確認していると、一部のマーカーが二重丸になった。
もしかしたらと思い、マップに従って進むとゴブリンが居た。
どうやら、対象の識別までマップのスキルはやってくれるようだ。
相手までは約30m、こちらには気付いてもいない。武器は錆びたショートソードを1本のみ。
マコトは18式をフルオートに設定するとゴブリンの背中に一連射叩き込んだ。
ゴブリンは叫び声をあげる間もなく、後ろから突き飛ばされたように、前のめりに倒れた。
走り寄って、ショートソードをゴブリンの手の届かない所に蹴り飛ばすと半長靴で、ゴブリンをひっくり返すと背中から頭にかけて被弾したらしく、弾は貫通してはいなかったが、絶命していた。
討伐証明部位である右耳を切り取ろうとして、ナイフと入れる袋が無いことに気が付いた。
取り敢えず、ショートソードを拾って来て右耳を切り取った。
切り取った耳はスキルの異世界マーケットからビニール袋を購入して、入れることにした。
ついでに、アイテムボックスに入れていた、ゴブリンを取り出して右耳を切り取った。
これで依頼達成まで後1匹だ。
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