66話 帰還 王都ゲイボルグへ 3
「それは我々、軍団、葬送曲に対する宣戦布告と捉えて宜しいか」
マコトは自称王女のルミナスに対して言い放った。
「誰よ!!貴方は!!」
ルミナス王女が叫ぶ。
「失礼しました。私は軍団、葬送曲の団長をしておりますマコトと申します」
「貴方ね!!奴隷なんかに、これ見よがしに高価なアクセサリーを身に付けさせている成り上がり者は!!」
ルミナス王女は不躾にも、マコトを指差し叫ぶ。
司令官たる団長を侮辱され、葬送曲のメンバーが殺気だつ。
後れ馳せながら駆け付けて来た近衛騎士も、王女に対して殺気だっているのを感じ取ると葬送曲のメンバーに対して殺気だつ。
「何をしておるか!!」
人一倍大きな怒声が大広間に響き渡る。
「お、お父様」
王女ルミナスが力無く呟く。
そう、声の主はゲシュタルト王国国王ヘイマン・ゲシュタルトその人であった。
「陛下、私の部下が辱しめられ、私も侮辱されたことからゲシュタルト王国に宣戦布告されそうになっておりました」
「貴殿等に宣戦布告?誰がそのような?」
「ゲシュタルト王国第1王女ルミナス・ゲシュタルト殿下その人であります」
ヘイマン国王の視線が、その場から逃れようとしていた1人娘を捉えた。
それに気付いた王女ルミナスは慌てて、
「ひ、酷い勘違いですわ。私はあまりに見事なデザインなので、手に取って見たくて、お願いしただけですわ」
と言い訳をした。
「その割には奴隷がどうやら言っていたようだったがね?」
アレグリア侯爵が口を挟む。
王女ルミナスは叔父だというのに、呪い殺さんばかりの視線をアレグリア侯爵に向けた。
「どうやら、この騒ぎの元凶はウチの娘にあるらしい。ゲシュタルト王国は、軍団、葬送曲との争いなど心から望んでいない。どうか矛を納めては貰えんだろうか?」
「私共は陛下のその御言葉で十分ですが、王女殿下はそうでは無い御様子」
「私は何も悪く無いわ、奴隷のエルフなんかに宝飾品等似合わないのよ!!私のような高貴な者が身に付けてこそ意味が有るというものですわ!!」
「黙らんか!!この馬鹿者が!!近衛、この者を自室に監禁せよ!!」
「お父様何故ですか?私は高貴なる者として身分に相応しいことを思いしらせようと・・・・」
「えええい、聞くに堪えんわ!!近衛、早くせんか!!」
「お父様、何とぞ御再考を、何とぞ・・・・・」
王女ルミナスは大広間から連れ出されるまで、叫び続けた。
ヘイマン国王はマコトに頭を下げた。周囲の者達はざわめきたったが、ヘイマン国王は一言、
「自らに非があるのに、それを認めん者に王たる資格は無い」
と言い切った。
国王自身も間もなく大広間から姿を消したが、一国の王女のあまりにもな行動に呆れたような声がそこかしこから聞こえたが、第1王子がいまだに大広間に残っている為か、余り話題にのぼることは無かった。
マコトはアレグリア侯爵の元に向かうと、先ほどの援護を感謝したが、
「あれぐらいは当然だ。むしろ周りの貴族達が何も発言しなかったことに腹が立つのだよ。王家の反感を買ってでも、発言するのが忠臣というものだ。君も王家があんな人間ばかりでは無いことは知っておいて欲しい」
その後のパーティーは何事も起こらず無事に閉会した。
その後、マコト達の王都での宿に王家から正式に王女の半年間の謹慎が伝えられた。
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