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65話 帰還 王都ゲイボルグへ 2

 大広間でのパーティーは立食形式であった。

 まず、給仕の者が参加者に飲み物を注いで回り終えると、大広間の2階部分に設けられた扉の前で近衛騎士が、


 「我らがゲシュタルト王国国王ヘイマン陛下ご入場!!」


と叫ぶと近衛騎士2人で両開きの扉を開けると、ゲシュタルト王国国王ヘイマンが王妃らしき女性と10代前半の少年を連れて現れた。


 そのまま、2階部分のバルコニー状になっている場所まで進み手すりに手をかけた。

 

 「皆の者。良く集まってくれた。今宵はアレフガルド王国との戦の戦勝祝いである。

 存分に良く飲み、食べて楽しむが良い!また、実際に戦に赴いた者達もこの席に参加しておる。

 貴殿等がこの祝いの主役だ。存分に英気を養うが良い、大義であった!!」


 小姓から杯を受け取ると、ヘイマン国王は大声で、


 「ゲシュタルト王国に栄光あれ!!乾杯!!」


と叫んだ。


 貴族達参加者も口々に乾杯や、ゲシュタルト王国に等と叫んで杯に口を付けた。


 宴は終始和やかに進んでいった。

 長かったアレフガルド王国との戦争に王都占領という形での完勝である。

 気分が悪かろう筈が無かった。


 ワインを楽しんでいるマコトのところへ突然の来客があった。


 アレグリア侯爵と、その娘ミナサリアである。


 「やあ、君が娘を助けてくれたマコト君かね?」


 「はい、その通りですアレグリア侯爵閣下」


 「酷いですわ、マコト様。是非お礼に領地にいらしてくださいと申し上げましたのに音沙汰も無いんですもの」


 「申し訳ありませんミナサリア様。何分平民の身、日々を生きて行くのが精一杯で有りまして」


 「その中でアレフガルド王国では、随分な活躍をしたそうじゃないか?陛下も君の男爵への取り立てを真剣に検討していたみたいだ。

 モーラスの反対で止めたようだが。

 そういえば、君の軍団(レギオン)の後ろ立てもモーラスらしいね。

 どうだろう?娘の命の恩人に酬いるという意味でもアレグリア侯爵家が君達の後ろ立てになるというのは?」


 「申し訳ありません、ありがたいお話ですがモーラス王弟閣下にも恩義が有りまして、お話をお受けすることが出来ません」


 「そうか、とても残念だが仕方ない。代わりにと言っては何だが、是非領地に遊びに来てくれたまえ。領地を挙げて歓迎しよう」


 「はい、その時は是非とも・・・・」




 「何で私の言うことが聞けないのよ!!」


 大広間の中央で、少女の叫び声が上がった。


 「何事でしょう?」


 「あの声は・・・・」


 アレグリア侯爵は、マコトとの会話を打ち切り、声のした方へと向かった。

 マコトも後に続いていると、エルフの団員達がマコトの方へ集まって来だした。

 どうやら騒ぎの当事者の一方はウチの団員のようだった。


 「エルフの奴隷のくせに、王女たる私が渡しなさいと言ったら大人しくそのブローチを渡せば良いのよ!!」


 「これは、私の主人たる司令の持ち物なので許可無くお渡しすることは出来ませ

ん」


 「分からない奴隷ね!!渡しなさいたら渡しなさい!!」


 「ルミナス!!」


 「あら!叔父様。叔父様からも言って下さいませんか?奴隷が身分不相応の宝飾品を持たずにゲシュタルト王国王女このルミナスに献上するように」


 「君こそ相手が誰だか分かって言っているのか!!陛下もおっしゃっていたアレフガルド王国戦役に従軍した今回の宴の主役の1人だぞ!!彼女は!!」


 「英雄か何か知りませんが、所詮は奴隷の身。宴に参加出来ただけでも光栄に思って貰わなければなりませんわ」


 「それは我々、軍団(レギオン)葬送曲(レクイエム)に対する宣戦布告と捉えて宜しいか」


 マコトは、怯える女性エルフの団員と自称王女との間に割って入ると言い放った







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次回更新は4月18日を予定しています。

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