57話 激戦アレフガルド王国 6
行動方針を決めてからの葬送曲の行動は迅速だった。
簡易陣地を放棄し、夜間の内に城塞都市ガルムのアレフガルド王国王都アースガルド方面側の門に移動したのだ。
ゲシュタルト王国軍は、最初はガルムを包囲する形で城攻めをするつもりだったのだが、ガルムの予想以上の反撃に戦線を縮小した。
また、王都側に回り込むには森が邪魔をして森を避けるルートを通ると、ガルムの投射機の射程内に入ってしまうというデメリットもあった。
そこで、マコトは夜間の内に車両の高機動力をもって、城塞都市ガルムの見張りに気付かれて投射機によって攻撃されるよりも早く危険地帯を抜けることに成功したのである。
マコト達葬送曲が王都側の門の前に陣取ることによって、城塞都市ガルムは、撤退することも、王都からの援軍を受けることも出来なくなった。
1度、100人足らずの敵ならば蹴散らしてしまえとばかりに、500人程の軍勢が、門から討って出て来たが、ゴム弾の一斉射撃を喰らって200人程の怪我人を残して撤退した。
その後、投射機による攻撃があったが、城壁から既に1km程離れていたマコト達に効果は無かった。
逆に発射地点を特定し、120mm重迫撃砲で反撃をして、数機の投射機を破壊したところ、火炎弾の燃料である油に引火して火災が発生して更に数機の投射機を失ったようであった。
城塞都市ガルムの王都側門前に布陣して1週間。時折門から討って出て来た敵を撃退して、投射機と重迫撃砲で撃ち合いをするを繰り返しているうちにゲシュタルト王国軍からの伝令が届いた。
攻城兵器の補充がやっと終わったので、全面攻勢に出るのでタイミングを合わせて欲しいというものだった。
城塞都市ガルムは、葬送曲との戦闘で捕虜や死傷者を1万人近く出しており、破壊された投射機も30機を超え、城壁の守りに配備されている投射機は既にまばらとなっていた。
このタイミングを逃せば、王都方面から援軍が来かねないと感じていたマコトは
ラウンド将軍とシュピゲル将軍の連名の依頼書に了解の意向を書き記して、伝令を帰した。
作戦開始は明朝午前3時に葬送曲が王都側門を全力で攻撃し、さも攻撃の主攻が王都側と思わせて、ゲシュタルト王国軍主力が布陣している方面の門から王都側門への援軍が離れた隙にゲシュタルト王国軍が総攻撃をかけるといったものだった。
これは、マコト達が派手に敵の注意を引き付け無ければならない作戦なので、マコトは新兵器をスキル武器創造の力で作り出した。
操作方法を一部のエルフ達に教えたが、有効射程距離が弓矢よりも短いことから危険な為、使用回数は1回に限るつもりだった。
ゴム弾を用意しておきながら、このような兵器に頼ることには矛盾を感じたが、
相変わらず当事者であるエルフ達からは心配し過ぎだと言われた。
これはマコトが考え過ぎなのか、エルフ達の考えがドライなのか答えを見つけるには時間が掛かりそうだ。
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次回更新は4月4日午前7時を予定しています。




