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55話 激戦アレフガルド王国 4

 「放て~!!」

 攻撃はゲシュタルト王国軍から始まった。

 本来ならば使者を送り降伏か交戦かを問う儀式めいたやり取りがあるのだが、昨日のうちに使者は矢の雨の洗礼を受けて送り返されていた。

 ゲシュタルト王国軍は、ここに至るまでにアレフガルド王国の豊富な木材を使って投石機や破城鎚、長梯子等の攻城兵器を多数揃えて居たが、備えていたのは城塞都市ガルムも同じだった。


 ゲシュタルト王国軍の投石機から都市に向かって投石が行われると、お返しとばかりに火の着いた玉が飛翔して来て木製の投石機の付近に落下する。

 火の勢いは収まらず、投石機が焦げ始めた。 

 付近の兵士が水をかけて火を消そうとするが、更に燃え盛る次第であった。

 

 「油か・・・・」

 マコトは呟く。どうやら、都市内部には兵器に転用可能な程の油が貯蔵されているようである。

 指揮官の指示で土魔法使いが油玉を土で覆うが、それを上回るペースで火の玉は飛んで来る。

 

 「投射機の位置は割り出せたか?」

 マコトは重迫撃砲小隊の小隊長に問いただす。

 「大体の位置は割り出せました。後は命令が有り次第攻撃出来ます」

 「攻撃だ」

 「了解しました!!」



 「半装填!!」

 『半装填!!』

 「撃て!!」

 シュル~、ポン!!

 「弾ちゃ~く、今!!」

 ドコドコド~ン!!

 都市内から火柱が上がった。


 「諸原同じ。効力射!!」

 「半装填!!」

 『半装填!!』

 「撃て!!」

 シュル~、ポン!!

 「弾ちゃ~く、今」

 ドコーン!!!

 更に火柱が燃え盛った。


 「撃ち方止め!!射点移動開始!!」

 『了解!!』

 敵の遠距離兵器である投射機にダメージを与えた重迫撃砲小隊の位置は、都市の監視網に引っ掛かったと考えて行動すべきだろう。

 重迫撃砲を高機動車で牽引してその場を離れる。

 5分後、小隊の陣地跡に火の玉が複数降り注いだ。

 「敵はかなり優秀だな」

 

 他の陣地から、その様子を観測していた分隊から報告を受けてマコトは唸った。

 都市を防衛している部隊は、かなり練度が高い。

 正規軍がかなりの割合を占めているとしても対抗射撃のスピードと良い、的確性といいかなりのものだ。

 

 これは、前面に出ずに後方からの援護射撃に徹した方が良いなと考えていると、ラウンド将軍からの伝令が届き、敵の投射機の攻撃により味方の投石機の被害が増加している為、先程の攻撃を頼むというものだった。


 敵は、防衛戦というものを良く理解して、こちらの嫌がることを的確にやって来るな。

 まさか、敵にも転生者が?とも思ったが、考えても仕方ないと思考を切り替え、伝令に了解した旨を告げて送り返した。


 戦場を観測している部隊から、敵の投射機が有りそうな場所の報告を受けて攻撃に最適な位置へと布陣した。

 そこから戦場を見渡すと、味方の投石機が数機燃え盛っており、残りの投石機が何とか反撃している状態だった。

 今、居る位置の少し手間には小高い丘が有り、そこに登ると敵の投射機の位置が大体見て取れたが、逆に敵からも発見しやすい場所であるので、長居は出来なかった。

 「HQよりD0」

 「D0からHQ送れ」

 「敵の諸原を送る。D0の位置より1時方向に1600どうぞ」

 「D0了解、試射を実施する」

 重迫撃砲小隊の位置から1発の白煙弾が発射され、敵の投射機を通り過ぎた。

 「HQよりD0方位良し、(マイナス)100で射撃を実施せよ」

 「D0了解、射撃を実施する」

 また、1発の砲弾が発射されたが、今度は榴弾、実弾である。

 砲弾は、敵の投射機の真ん中に落ちた。

 ズコーン!!!

 火柱が上がり、何機かの投射機が傾いた。

 「HQよりD0、効力射2回を実施した後、射点移動に移れ!!」

 「D0了解。効力射を実施する」

 その無線を聞くとマコトは、小隊の位置に走って戻った。

 重迫撃砲小隊は射撃を終え、撤収の準備に入っていた。

 「急げ、急げ!!距離が有るから大丈夫だと思うが、撃ち返しが来るぞ!!」

 

 ボア~!!陣地が明るく照らされた。さっきまでマコトの居た丘が攻撃の対象になって燃え盛っていた。


 「反撃が早すぎるな」


 高機動車は走り出し、3両共無事に脱出した。





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次回更新は3月31日午前7時を予定しています。

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