5話 ドリンドルにて 1
2日連続の投稿です。銃の出番がなかなかありませんが何事も準備が必要ということでご容赦ください。
城壁に近付いて行くと立派な城門が見えて来た。
徒歩の人と馬車を分けて調べて、入門の許可を出しているようだ。
アラドンの荷馬車に乗ったまま30分ほどすると、マコト達の番がやって来たようだ。
「次の者!!」
係の門番が、促す。アラドンとソフィアは、身分証のようなカードを提示するが、勿論マコトはそんな物は持っていない。
「すみません、田舎から出て来たばかりなもので身分証が無いのですが、どうしたら良いでしょうか?」
「身分証の発行も出来ないとは、どれ程の田舎だ?ちょっとこっちへ来るように」
係の門番が、他の門番に合図をしてマコトを待機所のような建物へと促す。
アラドンとは、別れ別れになりそうだったことから、マコトは門番に一言断りを入れると、アラドンの元に向かい、
「アラドンさん、ここまでありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそ盗賊の件は気付いて頂かなかったら、巻き込まれていたでしょう。こちらこそ、ありがとうございました」
別れの挨拶を済ませると、門番のところに急いで戻った。
「お待たせして、すみません」
すると、門番は、
「盗賊とはアレグリア侯爵家の馬車が襲われた件か?」
と問うて来た。
「はい、そうですが」
マコトが答えると、
「通達にあった冒険者とは君の事か。いや、まだ冒険者ですらないとは、君には後で盗賊討伐の報奨金がある。まずは、仮身分証の発行からだな」
待機所のような建物に入ると、水晶の原石のような石が運ばれて来た。
「それでは、質問には「はい」と答えるように。君の名前はマコトで良いか」
「はい」
「盗賊以外に人を殺したことは有るか」
「はい」
水晶が赤色に光った。
「何処かで罪を犯して、指名手配されていないか」
「はい」
「以上で質問は終わりだ。仮の身分証を発行するが、1週間で期限が切れる。それまでに役所に行って滞在の延長申請をするか、他の方法で身分証を取得するように。君なら冒険者ギルドがお勧めだな。もし、期限が切れて街に居たら大変な罰金を払うことになる、注意するように。後・・・」
水晶の置かれていた机の下から、革袋を取り出すとマコトの前に押し出して来た。
「盗賊の討伐報奨金30万円だ。1万円金貨30枚確認するように」
そして、木で出来たマコトの名前や日付の書かれた板を差し出すと、
「これが、仮の身分証だ。役所で延長手続きする時にも必要で、その時は役所に提出すれば良いが、他の方法で身分証を手に入れた時には、この門番待機所に返却に来てくれ。最後に鉱山の街ドリンドルへようこそ!!」
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