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44話 王都へ1

 マコトは冒険者ギルドを足早に立ち去ると拠点へと急いだ。

 拠点に到着すると、団員達は使用した武器や装備の点検、整備をしていた。

 「30分後、全員グラウンドに集合!!」

 拠点の元は庭園だった場所は今は更地にして教練や運動をする為のグラウンドになっていた。

 30分後、武器の整備を行っていた者も、武器庫に返却をし終わって集合した。

 「立て続けの任務で申し訳ないが、緊急依頼だ。冒険者ギルドマスターモーラス氏を王都ゲイボルグまで護衛する。本番はその後だ!!」

 並々ならぬマコトの気迫に何かを感づいたのか、それとも緊張しているのか、只でさえ真剣な団長達は、より一層胸を張りマコトの次の言葉を待った。

 「恐らく、我々は王命によりアレフガルド王国との最前線に投入されるものと思われる!!そう、この中の大半の者の故郷との全面対決である!!」

 ほとんどのエルフはある程度予想していたのか、失神する者や泣き出す者は居なかったが、顔色が悪い者が数人見受けられた。


 「尚、今回は事情が事情で有るだけに希望者は拠点での残留を許可するものとする。希望者はこの後申し出るように。以上、解散!!」

 マコトは命令後、武器庫で、エルフ達の心労を少しでも減らす為に非殺傷武器(ノンリーサルウェポン)であるゴム弾をスキル武器創造の力で5・56mm弾と7・62mm弾分を大量に作成した。

 そんな、作業をしていると(アルファ)小隊の小隊長になったアリシアがやって来た。

 「どうした?出撃辞退か」

 マコトはアレフガルド王国出身では無いと言っていたアリシアが最初に来たのが意外だった。

 「違います。皆さんの総意をお伝えに来ました」

 「総意?」

 まさか、皆が出撃を辞退するのか?と一瞬驚いた。

 「はい、辞退は0。皆出撃致します」

と言って、アリシアは敬礼した。

 その動作が合図であったかのように、団員達が武器庫になだれ込んで来た。

 「司令、水くさいですよ。私達も連れて行って下さい」

 「故郷と戦うのは辛いですけど、もう帰れない場所ですし」

 「今の体制下で残った家族が暮らすぐらいなら、体制そのものをひっくり返しますよ」

 皆が口々に話し出す。

 「そういえば、司令何を造っているんです?」

 1人が回り込んで、普段使用しているのと違う青く塗られた弾薬を指差した。

 「これはゴム弾と言って簡単に言えば、撃った相手を殺し難い弾だ」

 問い掛けて来た団員が、何でそんな物を?といった顔をしていると、他の団員が

 「馬鹿ね!!司令が私達が同じエルフを殺さないように配慮してくれているのよ」

と正解に近い答えを出す。

 


 「確かに、その弾なら普段の弾より相手を殺し難い。だが、場所や距離によっては十分に相手を傷付けるだろう。それでも、行ってくれるのか?」

 「私達は一旦は奴隷に落とされ、家族を失いました。でも、司令は新しい家族をくれました」

 「そんな司令が、危ない所に行こうとしているんです。放って置けません」

 

 「ありがとう、ありがとう皆・・・・」



 マコトは、作成したゴム弾を弾薬ケースに納めると、その足で冒険者ギルドへと向かった。

 まだ夜明けには早い時間だったが、ギルドマスター、モーラスはロビーに居た。

 「結論は出たかい?」

 「はい、軍団(レギオン)葬送曲(レクイエム)緊急依頼お受けします」





 

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次回更新は3月12日午前7時を予定しています。

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