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42話 殺人鬼3 ドリンドルにて20

 マコトは、衛兵詰所を辞した後、安置所(モルグ)に向かった。

 場所はドリンドルの街外れにあった。

 そこを警備している衛兵に話しを通すと、医官が出て来て道案内を申し出た。彼も葬送曲(レクイエム)の凱旋式を見ていたという。

 医官が殺人鬼の被害者のご遺体の納めている箱を棚から引き出すと、氷漬けになったご遺体が露になった。

 マコトは1人ずつ傷の様子や身長等の特徴を検視して行った。

 医官は初め、白いメモ用紙が気になっていたようだったが、途中から検視の手伝いを始めた。

 薄々気付いていたが、この国でもcm、mが通じるようだ。これも、(えん)を広めた初代国王の業績だろう。

 9件全員を終えると、医官は今後は全ての検視を同じように記録することを約束した。

 

 拠点に帰ると、それぞれの(ちょう)を集めて、ミーティングを行った。

 「身長が180cm以上の被害者に遺された傷は斜めに付いていた。逆に180cmより身長が低い被害者に遺された傷はほぼ平行に付いていた。

 これは被害者の後ろから近付いて身長が180cm以下なので手が届き難く斜めな傷になった物と思われる。

 よって、身長は170cm前後、被害者の動きを一時的でも押さえ付けたことから男性若しくは冒険者の様な体力を使う仕事に就く女性と思われる。

 刃物はかなり鋭利な物でナイフ以上剣未満の物と考えられる。」

 部隊の(ちょう)達は驚きの顔で、ミーティングを聞いていた。

  

 「これで、殺人鬼の大体の特徴が出たと思うが、これに拘ること無く、張り込みに当たって欲しい。」


 夜になった。


 ドワーフは、街路の角に隠れて道を見張り、エルフの部隊は分隊毎に、屋根の上を身軽に渡り歩き殺人鬼を探す。

 街路を行くのは、巡回中の衛兵隊の明かり、噂を聞いても迂闊な酔っ払い、夜を仕事とする者達だ。

 マコトもC小隊の第2分隊を率いて、屋根の上を渡り歩きながら、スキル、マップ作成で、他人に害意を持つ者を探して回ったが、こそ泥や酔っ払いの喧嘩ばかりが反応していた。

 勿論、こそ泥は捕縛して、衛兵に引き渡していたが。


 1週間が経過して、衛兵隊や冒険者ギルドが、捜査していることに気付いたのか殺人鬼は今までなら、次の犠牲者が出た時期になっても被害者は発生しなかった。


 10日目、マコトは嫌な予感がしていた。殺人鬼が殺人を楽しんでいたにしろ、

必要に迫られてにしろ、そろそろ限界に感じているように思った。

 夜間の張り込みを始めると、空気が張りつめているように感じた。

 部下の分隊員達も何かを感じているようだった。

 

 「D分隊3番よりHQ。」

 「HQよりD分隊3番どうぞ。」

 「酔っ払いらしき人影、だが、おかしい。」

 「HQよりD分隊3番詳しく。」

 「儂らは、酒飲みだ。だから感じる。」

 「・・・・了解、急行する。」


 マコトは分隊員を率いて、報告して来たドワーフのいる街路に向かった。

 その街路を塞ぐ型で、他の分隊も集まって来た。

 「おい、自分を降ろせ。」

 分隊員のエルフに、命じた。

 「エア ウィンド」 

 マコトは、1人で、街路に降り立った。


 「やあ、今晩は!!」

 酔っ払いと思われる男にマコトは声をかけた。


 男は、振り向くとコートをめくるとショートソードを取り出した。

 「武器を捨てろ!!」

 19式自動拳銃を向けるが、理解していないのか、どんどん近付いて来る。

 「止まれ!!」

 ショートソードを振りかぶって来た。

 「撃て!!」

 タタン!!

 男の両足から、血が吹き出した。狙撃だ。

 それでも、男は歩くのを止めない。

 マコトは、男にタックルして、押し倒した。

 

 

 

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次回更新は3月9日午前7時を予定しています。

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