40話 殺人鬼
城塞都市ミルドでの救援依頼が終了して3日が過ぎた。
鉱山都市ドリンドルへの帰還の際にも、マコト達の車列は妨害を受けた。
「また、倒木か。ドワーフ達は倒木の撤去を、残りの団員は周辺警戒を。」
『了解!!』
ドワーフ達が、ガソリンとオイルの混合燃料で駆動するチェーンソーで倒木を動かせる程度に、切り分け始めると、その音に引かれるようにして、魔物が現れた。
「9時方向よりウルフの群れ約20!!」
「魔香の効果は切れたんじゃなかったのか?」
「口より手を動かせ!!」
ドドドドドドン、タタタタン
車載機銃までも投入して、一瞬で殲滅する。
「撃ち方止め、撃ち方止め!!」
城塞都市ミルドへの行きと違い時間が有る為、ウルフの討伐証明部位である尻尾を集める。
マコトは初めに魔香の匂いに気付いたエルフを呼び寄せた。
「どうだ?また魔香のせいだと思うか?」
「匂いが微かにですが有りますので、鼻の良いウルフ種は呼び寄せられたかもしれないですね。新たに蒔かれたのかは即答しかねます。」
「そこに居るのは誰か?!」
「うん?」
どうやら、警戒活動をしていたエルフが誰かを見つけたようだ。
「逃げるぞ!!」
「追え!!」
マコトも現場方向へと走る。
「弓矢で攻撃して来たぞ!!」
マコトは、叫んだ。
「正当防衛射撃!撃て!!」
タンタタタタン
数発の銃声が響き渡る。
「目標、ダウン。」
「確保しろ!!」
数人のエルフが怪しい人影を取り押さえ始める。
「こ、これは!?」
エルフ達から動揺が見られる。
「どうした?何があった?」
マコトはエルフ達に問い掛けるが、反応が少ない。
取り押さえられた人影を見て、すぐに、その理由が分かった。
「・・・・エルフか。」
葬送曲所属のエルフではないのは迷彩服では無いので、すぐに分かった。
「司令、あのエルフの剣の柄の紋章はアレフガルド王国の物です。」
エルフは女性だった。銃弾は足に命中したらしく、出血していた。
その腰には剣が下げられており、その柄にはユニコーンの図柄が刻印されていた。
先程会話をしていた、魔香を知るエルフがやって来ると、告げた。
「司令、この者からは魔香の匂いがします。」
どうやら、魔物を誘導していた者の1人らしかった。
「取り敢えず、治療を・・・話しはそれからだ。」
それからは妨害や魔物の襲撃も無く、無事に鉱山都市ドリンドルに到着した。
冒険者ギルドを訪れて、受付で途中で討伐したウルフ20匹分の尻尾を提出すると5匹で金貨1枚1万円になり、総額で金貨4枚4万円になった。
ついでに救援要請の際の物資移送の報酬大金貨5枚50万円も受け取った。
そこで、受付嬢にギルドマスターのモーラスにギルド裏の解体場に来るように、伝言を頼むとA小隊と副ギルドマスターのアリアのみを連れて解体場に向かい、残りの部隊は拠点の屋敷に帰還させた。
「全く、ギルドマスターを呼びつける冒険者なんて前代未聞だよ?」
しばらくすると、ギルドマスターのモーラスがそんな愚痴を言いながら、解体場に現れた。
「今回の救援依頼で3つの報告が有ります。1つ目は・・・・・」
と言うと解体場の作業台にエルダーエレファントの死骸を取り出した。
「こ、これはSランクのエルダーエレファントかい?」
さすがに、ギルドマスターも驚いたようだった。
「エルダーエレファントが3体、ビックエレファントが7体有ります。」
副ギルドマスターのアリアが止めを刺す。
「ちょっと今すぐには全部は買い取れないかな~?」
ギルドマスターは流し目になる。
「それは、また次回でも大丈夫です。
2つ目は今回の騒動はエルフの秘薬による物である可能性が大で有ること。」
「今回の魔物氾濫が人為的なものと言うことかい?3つ目を聞くのが、怖いなぁ。」
「3つ目は、こちらです。」
とマコトが言うと、A小隊の人垣が割れて1人のエルフが連れ出された。
「ゲシュタルト王国内で暗躍していたアレフガルド王国のエルフの兵士です。」
「・・・・・・・・・・・。」
ギルドマスターのモーラスは頭を抱えて座り込んでしまった。
「ドリンドルで発生中の連続殺人も解決していないのに、今度はアレフガルド王国の密偵が国内で暗躍しているだって・・・・・・?!」
副ギルドマスターのアリアが叫ぶ。
「連続殺人ですって?聞いてませんよ!?」
「そ、それは魔物と戦っている君達の邪魔になると思ってだね・・・。」
「詳細はこれから詳しく聞きます!!葬送曲の皆様、申し訳ありませんが、また指名依頼をお願いすることになると思いますので、宜しくお願いします。」
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次回更新は3月5日午前7時を予定しています。




