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38話 救援要請4 城塞都市ミルドにて

 「HQよりA小隊。」

 「A小隊からHQ送れ。」

 「西側陣地の状況を知らせ、どうぞ。」

 「オーガ、サイクロプス等の巨人種による襲撃が有るも、84にて撃破せり。」

 「HQ了解。こちらも敵影は、まばらになっている。各員交代で休息を取りつつ弾薬の受領に来られたし。」

 「A小隊了解。」

 「以上HQ。」 

 戦場にも夜の闇が迫りつつあった。

 「司令、敵さん、これで諦めますかね?」

 「分からない。情報によると魔香とかいう物のせいで、こんな事になっているようだが。」 

 「魔香ですか。そりゃ厄介ですね。雨でも降ってくれれば大分違うんですけどね。」

 「そんな物なのか?」

 「そりゃ、物事何でも上手くいきませんよ。」

 「雨が降ってくれればなぁ。残りの魔物位なら何とかなるが。」 


 

 「A小隊、第2分隊です。弾薬受領に参りました。」

 「ご苦労さん、消費弾薬はどのくらいだ?」

 「7・62mm弾1500発、5・56mm弾と12・7mm弾を4000発、84mmの榴弾が8発、対戦車榴弾を6発お願いします。後、軽機関銃と重機関銃の替えの銃身を2本ずつお願いします。」

 「ホイよ!そっちは巨人種が出たんだってなぁ?」

 「はい。サイクロプスが城壁を崩した時はもう駄目かと思いました。」

 「城壁が崩された?報告には無かったが?」

 「ああ、でも工兵と義勇軍が夜通し復旧作業に当たっているので大丈夫です。」

 「・・・・一応、重迫撃砲の援護を受けれるようにしておく。第1分隊長には報告はしっかりしろと伝えておけ。」

 「了解しました!!」

 

 「これは、再訓練が必要かな?」


 こうして、葬送曲(レクイエム)の城塞都市ミルドでの1日目の戦闘が終わった。



 2日目の朝は、あいにくの雲りだったが、魔香が雨に弱いという話が本当ならば恵みの雨となるかもしれなかった。

 敵は昨日程の猛攻を見せず、散発的に攻めて来ては撃破されていた。

 これは、ここでは雨は降っていないが、魔の森の奥では降っているかもしれないな、とマコトは思った。


 3日目の朝、城塞都市ミルドは豪雨に見舞われていた。

 しかし、魔物は不思議な程に攻めては来なかった。

 その日の夕方に、鉱山都市ドリンドルからの援軍が到着したが、道中の妨害も、

余り無かったようであった。


 4日目の朝、あれほど平原を埋め尽くすかの如く居た魔物は綺麗さっぱり消え失せていた。


 マコトは副ギルドマスターのアリアを通じて、魔香の情報を防衛戦本部に報告した。

 冒険者の他のエルフからも同様の情報を得た城塞都市ミルドの上層部は、今回の魔物の氾濫が終結したと判断した。

 納得がいかないのが、防衛戦に加わることが出来なかった援軍だが、平原に無数に倒れている魔物の素材の剥ぎ取り自由とすることで納得させた。

 すると、不満が出るのが、実際に防衛戦を戦った者達だが、活躍の度合いに応じて報酬を弾むことで納得させた。

 しかし、ここで困ったのが、軍団(レギオン)葬送曲(レクイエム)の扱いである。

 何処の誰から見ても、戦勲第1位なのは間違い無く、その戦果に見合う報酬が用意出来なかったので有る。

 仕方なく、城塞都市ミルドの上層部、鉱山都市ドリンドルの副ギルドマスターのアリア、そしてマコトを加えた面々による2日間に及ぶ会議の結果。

 城塞都市ミルドは軍団(レギオン)葬送曲(レクイエム)に対して、白金貨1000枚10億円を15年払いで分割で支払うことが決定した。




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次回更新は3月3日午前7時を予定しています。

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