36話 救援要請2
城塞都市ミルドまでは馬車で、2日というが車両を使用する我々、葬送曲ならば、道路の路面状況にもよるが半日で到着できるだろう。
マコト達はそう予定をしていた。しかし、
「また倒木か、重迫小隊は倒木の撤去を他の団員は周囲を警戒!降車!降車!」
人為的と思われる倒木や落石が度々、城塞都市ミルドに至る街道を塞いでいたのだ。その上、
「敵襲!!3時方向からゴブリン!!」
道が塞がっている場所に、待ち構えていたかのようにモンスターの襲撃も頻発した。商隊が全滅していたり、襲われているのを目撃したのも、1度や2度では無い。
車列が襲撃されたのも本日3度目だった。
「車載機銃!!凪ぎ払え!!」
ズダダダダダダダダダダダダダダダダ!!
軽機関銃と重機関銃のフルオートで街道脇の森から出て来ようとするゴブリンどもを牽制する。
「ゴブリン撤退!!」
「倒木の撤去完了したぞい!」
「良し!移動再開、乗車!乗車!」
街道を塞いで城塞都市ミルドへの援軍や物資を断っているのは何者なのか?おぼろ気ながらも判明したのは、4度目の襲撃のオークを殲滅した時だった。
「司令、微かに魔香の香りがします。」
「魔香とは何だ?」
「我々エルフ秘伝の香料で魔物を集める効果が有ります。
魔物氾濫等の際に集落から進路を反らす等の限られた用途でのみ使用が許される危険な物です。」
「では、この妨害行為にはエルフが関わっていると?」
「恐らくは・・・。」
「今、ゲシュタルト王国で魔物による氾濫が起きて得をするエルフ・・・アレフガルド王国なのか?情報感謝する。」
「いえ、今は私も葬送曲の一員ですし、魔香のこのような使い方も許せません。」
移動を再開して1日、街道の封鎖5回、魔物の襲撃4回、商隊の救援2回を経てようやく城塞都市ミルドが見える街道の丘までやって来た。
「凄いものだな。」
城塞都市ミルドは、魔の森を囲む山脈のゲシュタルト王国に通じる唯一の渓谷を城壁で塞ぐようにして作られた都市で、城壁の高さは優に5mを越えていた。
しかし、今まさに、その城壁を越えんと、平原を埋め尽くす魔物が城塞都市ミルドに殺到していた。
情報によると、城塞都市ミルドの守備兵力はゲシュタルト王国軍3000人、冒険者400人、住民による義勇軍1000人の総員4400人というが長さ2km
に渡って築かれた城壁を守るには人手も足りず、魔物の数も当初の3万よりも増えているようだ。
マコトは軽装甲機動車のターレットから身を乗り出し、後方の団員達に呼び掛けた。
「諸君!!戦争だ。戦争がやって来た。しかし、我々は彼らに葬送曲を聞かせて殺らねばならない!!」
「士気は?」
『『最高!!!!』』
「撤退する者は?」
『『撤退くそ喰らえ!!!!!』』
「宜しいならば戦争だ。」
城塞都市ミルドの門は味方をすぐに引き込めるように開けっ放しになっていた。
「どこからの応援だ?」
門番が尋ねる。
「鉱山都市ドリンドルからです。先行して軍団と支援物資を持って来ました。」
今まで、置物になっていた冒険者ギルド受付嬢改め副ギルドマスターのアリアが門番に告げる。
「了解しました!ようこそ地獄へ。」
こうして、葬送曲の一団は城塞都市ミルドに入った。マコトは冒険者ギルドに行き、救援物資をアイテムボックスから取り出すとすぐに軍団に戻り、
戦闘の準備を始めた。
車載機銃を車両から降ろして、防衛戦に使えるように重機関銃には三脚を取り付け、スキル武器創造で更に重機関銃を2挺作成し、対大物用に84mm無反動砲をアイテムボックスから取り出した。これの操作方法も皆修得済みだ。弾薬は対戦車榴弾と榴弾を用意した。
葬送曲は城壁の東端に配置された。城壁は東西に伸びており、魔物は北側から攻めて来ている。十字砲火を浴びせたかったが、100人にも満たない軍団を2つに分けるなんてっと却下された。
こうして、100mに満たない範囲に12・7mm重機関銃4挺、5・56mm
軽機関銃4挺、84mm無反動砲を2門、120mm重迫撃砲を3門、7・62mm自動小銃が複数というオーバーキルな陣地が登場した。
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次回更新は、2月28日午前7時を予定しています。




