354話 氾濫鎮圧 5
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「全艦に通達。対艦誘導弾、各艦につき3発発射せよ。目標設定は司令部で行う。長距離多目的大型誘導弾を搭載している大型艦は蟲龍へと各艦1発を発射させろ。目標設定は同じく司令部で行う」
マコトは、蟲竜や蟲龍に対して広範囲へと攻撃を行う大型爆弾よりも個別の攻撃目標へと攻撃を出来るミサイルによる攻撃を空中戦闘艦群に命令を下した。
「陛下。当空域におりますのは空中駆逐艦7、空中巡洋艦3、その他2となります。長距離多目的大型誘導弾は空中巡洋艦が発射可能、対艦誘導弾は10隻の戦闘艦全てが発射可能ですので30発が発射可能です」
「蟲龍が2、蟲竜が4だったな。ふーむ、大型誘導弾は本艦は発射中止して残りの2隻で龍に1発ずつ。対艦誘導弾は均等に5発ずつで攻撃をするように伝達せよ。細かい目標設定は任せる」
「了解しました」
マコトに対して、搭乗した空中巡洋艦の攻撃関係を統括する将校が情報を伝え、それを元にマコトが細かい指示を出していく。
ドカン!ドカン!と空中巡洋艦の周囲では爆発音が鳴り止まない。
「小型の飛行蟲型の魔物もキリがないな」
「数だけはおりますから。艦の外装の対空機銃や機関砲の数では比較的脅威度の高い魔物を優先して倒すしかありません」
「地上の部隊はどうなっている?全員の退避は・・・、行えたのか」
マコトが思わず、といった風に情報の取りまとめをしていた将校に聞く。将校は艦長の顔色を伺い、目線でやり取りを交わした後に重い口を開いた。
「・・・・死者27名、重軽傷者138名、行方不明者53名です」
「・・・・・!!」
マコトが声にならない驚きを示す。公国軍創軍始まって以来の犠牲者数であった。
「いかに近代兵器であろうとも、視界確保の出来ない空間で圧倒的な量の敵に呑み込まれればそうなってしまうか」
マコトの言葉には深い哀しみが滲んでいた。
「陛下。各艦の攻撃準備が整った旨の報告が来ています」
空中巡洋艦のオペレーターが報告する。
「攻撃、開始せよ」
マコトの搭乗している空中巡洋艦からも立て続けに3発の対艦誘導弾が発射された。大型誘導弾は対艦誘導弾の効果が発揮されて蟲龍が動きを鈍らせたところに叩き込む作戦だ。
「対艦誘導弾・・・、全て命中!続けて大型誘導弾、発射します」
予ての命令通り、マコトの搭乗艦以外の空中巡洋艦が長距離多目的大型誘導弾を1発ずつ発射するのが艦橋の窓から望むことが出来た。大型誘導弾は対艦誘導弾が命中して踠く蟲龍へと瞬く間に到達した。
「現在、戦果確認中です」
全ての蟲竜・龍が地面へと這いつくばり既に生命の灯火は消えているように思えたが死を偽装する生き物もいる。確認は慎重に行われていたが、
「蟲龍の1体に動き、有り!」
6本の足の半分以上がもげて、頭部も半壊している蟲龍の体が振動していた。
「アレでまだ動くのか?」
艦橋に居た誰かの声が響く。
「嫌、何かがおかしくないか?アレはまるで踠いているというよりm」
ズるり
そうとでもなければ表現出来ないような動きで、蟲龍の(・)中から何かが這い出てきた。
「・・・・、踠いているというよりも、何かが這い出ようと蠢いているようではないか」
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