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352/355

352話 氾濫鎮圧 3

前の投稿と少し間があいてしまいました。投稿は不定期ではありますがまだまだ続けていきたいです。

 空中で待機していた空中巡洋艦が急激に高度を落として艦の下部を地表ギリギリまで接近させ格納庫を開放する。


 艦の下部以外の箇所の武装は絶え間無く砲火を森の奥へと送り込んでいる。地上に半着陸した空中巡洋艦の左右では魔導動甲冑も着地して地上司令部要員の避難を援護すべく手持ちの火器を全力で森へと叩き込んでいた。




 魔導動甲冑小隊 ドール17小隊


 『ドール38より、36。20mm自動機関砲の砲身が焼き付きそうだ』


 20mm砲弾を機関銃の如く発射していた機体が、砲身の加熱を警告する警報に弾薬の誘爆を懸念する。


 『ドール36より、38。それがどうした?ここには陛下がいらっしゃるのだ。陛下の艦への乗艦が確認されるまで我々は一歩も退かん。ゴーレム09小隊に負ける気か』


 二人一組(ツーマンセル)を組む小隊長が遼機を咎める。


 『ゴーレム21からドール36。そちらはもうお帰りか?良いぜ、ここはゴーレムが任された。お行儀の良い嬢ちゃんはお家でお人形あそびしてな』


 ゴーレム09小隊所属機が小隊名の人形(ドール)に掛けてわざわざ無線で野次を飛ばす。


 『チッ!!』


 ドール36の塔乗員(ドライバー)が端整な顔を歪ませて舌打ちをする。


 『生憎と人形あそびをする時間はとっくに卒業してね。それよりも艦が口(格納庫)を開いたわ。直に陛下達が司令部から出てくる。無駄口を叩く暇があれば1発でも多く攻撃を叩き込みなさいよ』


 『おおっ怖、ドール38も可哀想に。こんな怖いお姫様が相手だと大変だな』


 軽口の応酬をしているそこへ広域通信が割り込む。




 『地上野戦司令部の移動を援護している全部隊へ。これより陛下が移動を開始される。空中艦への搭乗が確認されるまで援護を途切れさすな!!』


 さすがにゴーレム、ドールの両小隊員も無駄口を止めて武器の残弾の確認や加熱した武器の交換を行いその時に備えた。




 公国軍 臨時野戦司令部 大天幕内


 「陛下、まず公国陸軍と武装親衛隊の混成隊が道を確保します。続いて武装侍女隊が御身の盾となり空中巡洋艦までの300mを一気に駆け抜けます。既に司令部の一部にも蟲どもが浸透しています。誰が倒れようとも走り抜けて下さい」


 参謀大佐がマコトへとこれからの行動を説明する。大天幕の周囲でも歩兵部隊の自動小銃の発砲音がしている。


 「自分は自分のやりたいようにする。全員欠けることなく移動する。行くぞ」


 マコトのその言葉を合図に、混成隊が大天幕から小走りに出て行き続いて武装侍女隊も出て行くのに合わせてマコトも自衛用の20式自動小銃を携えて走り出す。


 タタタタタン!タタタタン!


 ドドドドドドドッン!!


 空中巡洋艦までの道中に臨時司令部敷地内に設けられた塹壕や陣地から兵士達があらゆる小火器で応戦していたがマコト達一行が通過する度に自分達の陣地に遅滞戦術用のトラップを仕掛けて一行に追随した。


 道すがら、大きな(アリ)飛蝗(バッタ)の死骸が目につく。地下から出現したという報告の為か、蟻型の魔物の数が多いようだ。


 「3時の方向、空中!」


 武装侍女の1人が警告を発する。飛蝗(バッタ)型の魔物が2体、羽根を震わせて飛翔して来た。


 パパパパパパパパン!!


 武装侍女隊は今回は作戦の主体が正規軍ということもあってか大型の銃器を大量には持ち込んではいなかった。なので制服のスカートの中にも潜ませておける短機関銃(サブマシンガン)の多数の銃口が魔物に向けられ発射された。 


 9mm口径弾とはいえ数も数で、途中で合流した兵士達の小銃の威力もあってか飛蝗(バッタ)型の魔物は地面に叩き落とされる。


 射撃の間も一行は小走りに走り続いていたが、


 「11時の方向に大型!!」


 警告の通り、5mを超える蟻型の魔物が図体(ずうたい)に見合わない早さで接近していた。


 「フッ!」


 応戦の為に足を止めようとした一部の者達が居たが、彼らの主君、マコトが気合いと共に飛び上がり、魔物の頭部へと・・・、


 「おりゃ!!」


 跳び蹴りを決めて頭部を蹴り砕いた。


 「・・・・、前進」


 武装侍女隊のまとめ役が移動再開を促す。


 ドシン ドシン ドシン


 更に進んでいると魔導動甲冑の一機が一行とすれ違い前進していく。マコトが振り返ると森と司令部の敷地の境界線付近から蟲型魔物が溢れ出してこちらへと向かって来ていた。


 魔導動甲冑は機関砲を全自動(フルオート)で発砲しながらその群れへと向かって行った。


 「こちらです。急いで!」


 空中巡洋艦の下部格納庫付近では先に到着した兵士達や艦の乗員が銃を四方に向けて警戒していた。


 兵士達が道をあけてマコトと武装侍女隊が格納庫扉に乗るや否や、


 『上昇!!!』


 巡洋艦の将校が艦内電話を使い、艦を浮上させる合図を出して空中巡洋艦は急上昇して地上を離れた。






読んでいただきありがとうございました。感想やいいねの評価、ブックマークなどしてもらえると大変嬉しいです。

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