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348話 回帰 6

お久し振りです。しばらく投稿を控えておりましたが、そんな埃をかぶった作品に感想を頂き、筆?を取った次第です。以前からも申し上げております通り、調子にのりやすい性格ですのでドシドシ感想をもらうと本格的に復旧後するかもしれません。

 「勝手なことばかり言ってんじゃないのよ!」


 2人の思い出の秘密の場所に優香(ゆうか)の怒気の含まれた声が響く。


 「優香(ゆうか)・・・・」


 マコトが幼馴染みの名を思わず口にする。


 「この数年間、私がどんな気持ちでいたのか分かる!?ずっと一緒だったのに、ずっと近くに居たのに、急に居なくなって!


 それが急に現れて、「一度死んだ」?「異世界」?「王様」?「重婚」?ニュースを騒がしてる「不明艦隊の指揮官」?それにぃ!!」


 一気に捲し立てた彼女は一呼吸して、


 「日本に帰って来たのにゆかりおばさん(柊真の母親)にも黙っていて、私に告白めいた事を言っておいて「他意は無い」?「もう二度現れない」?ふざけるんじゃないわよ!!」


 そう叫びつつ数段しかない石段に腰掛け、向かい合わせに座っていた彼女はマコトの頬をビンタする。


 「何とか言いなさいよ!王様なんでしょ?言い返してみなさいよ!」


 彼女は、優香(ゆうか)は涙ぐんでいた。


 「・・・・快感」


 「はぁ?(怒)」


 叩かれた頬を押さえてふざけた古いネタを言われた彼女は今度は額に青筋を浮かびかねない怒気を発した。


 「イヤ、懐かしくてな。優香(ゆうか)は悪ふざけで自分を叩いていたからな。よくバシバシ背中を叩かれていたのを思い出していた。


 がさつ、というのも違うな。男の自分から見ても格好良い感じで高校時代は同性からも告白されていただろう?」


 マコトはそう弁解する。


 「ななななっ、忘れなさい!今すぐ忘れなさいよ!!」


 優香(ゆうか)は離れた街頭しかないような暗い階段でも分かりそうなぐらい顔を赤らめてマコトの擬装である作業着の襟を掴んで揺さぶる。


 そんな彼女の手首をマコトは掴む。


 「そんな・・・・、平々凡々の自分には無い、格好良さを持つ君が・・、好きだった」


 「・・・っ!!」


 彼女は不意をつかれたのか手を振りほどこうとするのを止めた。


 「さっき言った『他意は無い』そんな訳が有る筈が無い。君が『大切な人』だというのが偽らざる本心だ。そもそも、君に謝るだけなら君の家に手紙を投函するだけでも済んだことだ。でも・・・、」


 マコトは言葉を句切る。



 「どうしても君に()いたかったんだ」



 マコトは気持ちの整理が付いたのか言葉を続ける。


 「どうしても『(ひいらぎ)(まこと)』として君に会いたかった。そして謝りたかった。


 だから、異世界で権力を手に入れて世界を渡る(すべ)を見つけ、邪魔が入らないように日本国政府と交渉してこそこそしないで自分が入国出来るようにしようとしたし、部下に君の状況を調べさせた。


 そのお陰で今日、君を助けることができた。あの犯罪者を本当はおもいっきり殴り飛ばしてやりたかったけど、今の自分の腕力では加減ができそうもなかったから銃を使ったんだがやっぱり殴っておけば良かった」


 そう言うと、マコトは不器用な笑顔を見せる。まるで舞台のようにそのときだけ、月夜の雲が晴れて月明かりが2人を照らす。


 「じゃあ!、じゃあ何で他意は無い、何て言ったの?」


 彼女は右手首をマコトに掴まれたまま、マコトのぎこちない笑顔を見ると(うつむ)いて問うた。


 「それが自分が平々凡々なヘタレの証拠だろうな。一度死んでるから見た目も変化しているから優香(ゆうか)に自分だって分かってもらえなかったら、と考えると予防線を張ったんだ。でも本当に何で自分だって分かったんだ?」


 今度は逆にマコトが問う。


 「分かるよ」


 優香(ゆうか)は、彼女はしっかりと自信を持って答える。


 「何日も、何年も一緒で、いつも毎日登校してたんだよ?少し離れ離れになってようと、少し身体が別の人になってても私がマコちゃんのこと間違える筈が無いよ」


 「・・・・・!!」


 今度はマコトが顔を赤らめる番だった。


 「そんなマコちゃんにはこんな一途な幼馴染みをほったらかしにしていた責任を取って貰います!」


 「???」


 赤面冷(せきめんさ)めやらず、何を言い出すんだ?とマコトは疑問を抱く。


 「まず第一にゆかりおばさん(マコトの母親)には会ってもらいます」


 これにはマコトもしぶしぶ頷く。


 「第二に私も異世界?に行ってマコちゃんのお嫁さん達に会います!」


 「えっ!?何の為に??」


 「私の口から言わせる気?」


 「・・・・・・」


 マコトは思わずフリーズしてしまう。自分が何を言わなければならないか、もう気付いてはいるが、それを口にする勇気が出ない。


 しかし、事ここに至れば選択肢は1つしかない。マコトは克っての宿敵、火龍(レッドドラゴン)アラドームと対決した時以上に緊張していた。


出雲(いずも)優香(ゆうか)さん」


 漸く、マコトが言葉を口にする。


「はい何でしょうか?」


 彼女は僅かに、唇の端をあげる。マコトにはそれが獲物を前にした肉食獣の笑みに見えた。


 「どうか、自分と結婚を前提(・・・・・)としたお付き合いO・・・、」


 「ナンデヤネン!!!」


 優香(ゆうか)の腰の入った左手のビンタがマコトの右頬に炸裂する。


 「ここは雰囲気的にプロポーズの言葉でしょう?!何でそうなるのよ?」


 「イヤでも、こういうのは段階を踏むべきで、」


 「!」


 弁解するマコトの唇を優香(ゆうか)の唇が塞ぐ。要するにキスだ。


 「今さら段階も何も無いわ。マコちゃん、結婚するわよ!」


 「あ、はい?」


 「そこのでばがめ達も良いわね!!」


 マコトの修羅場を(さかな)にしていた、拘束した犯罪者を警察署の前に放り出して戻ったダークエルフの作戦情報局副局長と部下4名が居場所を特定される。


 「な、何故、分かったのです?」


 副局長が問う。


 「学生時代に夜にマコちゃんと遊んでたら、父さんがそこから監視してたのよ。会話の内容を知ってたから問い詰めたら隠れ場所を吐いたわ」


 さらっと怖いことを暴露する。


 「なるほど、先程団長が格好いい、と言っていたのはこういうのは事か」


 マコトの冒険者時代からの部下である副局長はマコトがSではないかという疑惑を深めるのだった。










 

久し振りの投稿ということで少し長めです。主人公の内面、想いに踏み込んでいる回なので戦闘描写がなくて退屈だったかもしれませんけどご容赦ください。

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安心しました。 地球編,日本編の更なる執筆を期待しております。 以上
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