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343話 回帰 1

だんだん涼しくなって来ました。皆さんも体調に気を付けて下さい。お知らせですが、他作品を投稿予定です。もし投稿出来れば読んで見て下さい。

 ヤマト公国軍帰還後 日本国 国会


 「総理、この一連の騒動は何だったのですかね?自衛艦隊、海上保安庁の巡視船の大量動員、そして所属不明艦隊の出現。日本近海での不審潜水艦と不明艦隊との戦闘、そして不明艦隊の乗員のH県への上陸。これは外患誘致ではないのですか!!」


 野党の議員が、自分でも何を言っているのか分からないであろう単語を並び立てて国会の場で発言する。


 「内閣総理大臣」


 議長に指名されて総理大臣が発言台に立つ。


 「目下調査中です。それと所属不明艦隊と言われていた艦隊は『ヤマト公国』と自称する国家の艦隊です。それと外患誘致罪の定義を今一度お調べになられた方が良いかと?以上です」


 先程の野党議員が再度挙手する。議長が許可する。


 「調査中と言うが『ヤマト公国』とは何ですか!初耳です。何か国民に隠しているのでは無いのですか?」


 同じ手順を繰り返し、総理大臣が発言する。


 「調査対象が自称したのです。だから『調査中』と申し上げました。それ以外は申し上げられません」


 「まだ隠していることがあるでしょうが!!!」








 ブン


 国会中継を映していた液晶テレビの画面が電源が切られ消える。


 「総理も大変だね。同じような事をオウムのように繰り返す奴らの相手をしないといけない」


 「それで給与を貰っているようなものではないですか」


 「言うね、お前も。それよりも・・・」


 「ええ、それよりも・・・」


 その都内某所のビルの1室には元陸将の寺門をはじめとした男女が数人集まっていた。


 皆が見つめた机の上には1つの木箱と紙をまとめたファイルが置いてある。


 「これがヤマト公国の『贈り物』ですか」


 「スゲエぞ、これ。何処の医療機関で治験したのか不明だが、切断されて喪われた足が約12時間で復元したんだと!」


 寺門が木箱から1本の瓶を取り出して全員に見せる。緊張やら興奮やら疑惑の感情が場を占有する。


 「疑っている奴もいるだろうがこれは本物だ。実はもう俺は試して結果も知っている。俺が死にかけてた、って話を聞いてたのも居ると思うがこれとほぼ同じ物で回復した」


 今度こそ全員が驚愕の表情を浮かべる。


 「ここに有るものとほぼ同じ品の数々が政府にも渡っている。向こうの科学者や研究者も今頃大慌てだろうな!」


 寺門は年甲斐もなく、悪戯の成功した少年のような表情を浮かべる。しかし、


 「だが、政府に渡った品は我々にもたらされた品々よりも種類も量も少ない。これがどういうことか分かる奴は居るか?」


 居合わせた面々は思案顔になる。1人の若く見える女性が手を上げる。


 「お、美澄か?言ってみろ」


 「はい。恐らくは政府に渡したのはある種のデモンストレーションではないでしょうか。自分達にはこんなものが有り、使うことが出来ると」


 「うんうん、それで?」


 「我々に多くの品々を渡したのは、我々に何かをさせることと、その対価が目的ではないでしょうか?」


 パンパンパン!


 寺門が大袈裟に拍手をする。


 「いいね!若い者はそうでないと!正解だ。公国はこの品を使って日本の政界、財界、各分野の有力者とコネクションを我々に築いて欲しい、とのことだ。そのためには多少の私情に走っても構わない、ともな」


 その言葉を聞き何人か息を飲む。身内に重篤者が居るのかもしれない。


 「我々はこの要請を受け入れて行動する。いいか?決してこれは国益を損ねるものではない。だが決して金勘定の為に動くなよ。公国はこれからのこの国にとって欠かせない存在になる筈だ。今日のところは各自、情報を持ち帰って何処に仕掛けるか検討してくれ。解散」


 室内に居た男女が素早く解散し、寺門が姿を消した時には机の上の木箱も消えていた。






 ヤマト公国 公都ノースガルド


 「公都もだいぶ手狭になって来たな。軍関係の施設をもう少し郊外に移設するか?」


 空中戦艦で異世界へと帰還したマコトは公城へと戻る道中に公都上空から見下ろし、そんな事を言った。


 「軍関係施設、公国の公的施設を分散させるのは再開発計画で防衛面でも検討されましたが、我が軍の防衛力があれば施設の防衛は容易で寧ろ民間施設や居住施設を郊外へと移す計画が進行しています」


 武装侍女隊の侍女がコーヒーを淹れながらマコトに説明する。マコトはその話を聞きながら『アレ?そんな計画書目を通したっけ?』と考えていた。

 

 「しかし、陛下。今回の派遣、アレで宜しかったのですか」


 この古参の武装侍女はマコトが故郷を想い、深いタメ息を吐いている場に何度となく遭遇していた。


 「う~ん、まあ今回は顔見せってところかな?次に行く時にはもう少し事前にいろいろと仕込むつもりだ」


 「まあ!」


 表面上は和やかな2人だが、第三者的立場の者が居れば場の異様さに逃げ出していたことだろう。







最後までありがとうございました。いいね!感想等貰えると嬉しいです。

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