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341話 日本(ニッポン) 6

異世界ファンタジーぽく戦闘シーン入れたい今日この頃です。

 ヤマト公国軍地球派遣艦隊 地上部隊


 『・・・・茶番劇か』


 「陛下?」


 マコトの独白にカーチャ・D大佐他が小さく反応する。マコトの声に苛立ちを感じたのだろう。


 『最初に試したのは此方(こちら)だった。電撃的な訪問で大規模な艦隊を派遣して日本側の対応を見たのは確かだ。それに対して日本側は若干の時間稼ぎ、取るに足らない議員団の派遣、そして交渉決裂の直前に副大臣級の突然の来訪。偶然にしては出来すぎだ。だから茶番劇だと言ったのだ』


 苛立ちで口数が増えていた。


 「それでは如何しますか」


 「・・・・、一時仕切り直しだ。本日の予定は全てキャンセルだ」


 「「「了解です」」」


 「では陛下、日本国側にそのように通達してきます」





 「会談の中止だって!?今日の予定では11時から開始でまだ時間は過ぎてはいない筈ですが?」


 川下副大臣の秘書官が慌てたようにD大佐に抗議する。副大臣は発言を控えているようだ。秘書官とヤマト公国側の反応を伺っているようにも見える。


 「陛下は、突然の副大臣の来訪、その他の事に《酷く》疲れていらっしゃいます。このような状態ではお互いにとって不幸な結果しか迎えないでしょう」


 「しかし、こちらも国の準閣僚級が来ているんです。はい、そうですか、とは・・・・・」


 「木下君、やめなさい。そこまでだ」


 秘書官の発言を受けて、ヤマト公国側の殺気にも思える雰囲気が更に高まったところで川下副大臣が秘書官を止める。数週間前の来訪の事前通達したが数日間の海上待機、国家元首に対し役職持ちの居ない議員団、演技にもとれる準閣僚級の電撃的来訪。


 ヤマト公国側のやり方を下手に模倣したような日本国側のやり方に対し、ヤマト公国軍幹部達が不満を高めていた所に秘書官が話を蒸し返したようなかたちだ。建国の父である公王に対し異常なまでの忠誠心を持つ幹部達にとっては我慢の限界が近かった。


 「私の秘書官が言い過ぎてしまったようで謝罪します」


 「では、副大臣が初めから対応なされば良かったのではないでしょうか?どちらにせよ、当方と致しましては本日の予定は全て中止にさせていただきます」


 D大佐は不満を隠そうともせずに用件を伝える。マコトとしては外交交渉に使える人材を育てたいところだがまだまだ新興国故に、腹芸の出来る幹部は少ないことが悩みの種であった。


 「では、会談は明後日ということで宜しいですかな」


 「小官は一軍人に過ぎませんので即答を控えさせていただきたいところですが、このままの帰国もあり得る、とだけ私見で申し上げさせていただきます」


 「参考までに理由を伺っても?」


 「語る必要を感じません故にお断りします」


 「そうですか、では良い連絡をお待ちします」


 「・・・・失礼する」


 既にマコトと親衛隊、一般歩兵部隊、その他の部隊は艦へと帰艦していた。川下副大臣と会話していた一部の親衛隊幹部が待機していた大型輸送ヘリ、アナコンダに乗り込んで立ち去る。




 「先方、だいぶカッカしてましたね。ヤマト公国とは人材が不足しているのでしょうか」


 秘書官、と名乗った人物が会話していたヤマト公国軍幹部達を(ひょう)する。


 「いや、恐らくだが分かりやすい人物を前に出して本命を控えさせていたようだ。どの人物かは分からなかったがこちらを値踏みするような意思を感じた」


 「向こうも探りを入れてきている、と?」


 「無理も無い。互いに初対面の国、世界なのだ。初めから受け入れろ、というのが土台無理な話だ。寧ろ、このような腹の探り合いが出来ることに安心するぐらいだ」


 「しかし、上層部もムチャをする。蜥蜴の尻尾切り要員で向こうの出方を伺ってボヤのうちに消化して情報収集しろ、だなんて。その要員に川下さんの甥っ子さんが居たのは驚きましたけど」


 「俺も驚いたがな。しかし、お陰で何も知らない現場の職員達もこれがお芝居だとは思わなかった、と思いたい」


 「このお芝居に気付くような人材ならうちにスカウトしたいですね」


 「そうだな。取り敢えずこれから蜥蜴の尻尾の議員達と合流して対策会議のような振りをしつつ公国側の反応を見る」


 「しかし、本当なんですかね。あちらさんに日本人が居るって噂は」


 「その噂が本当かも、祖国に友好的かも分からん。憶測で動かずに確かな情報で動くぞ」


 「了解」


 国会議員とその秘書官という表の顔と裏の顔を持つ2人の人物は岸壁に迎えに来た車両に乗り込んだ。







 

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