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338話 日本(ニッポン) 3

台風が連続して上陸しています。暑さもですが災害にも気をつけましょう。南海トラフ地震の話しもちらほらと噂されるようになりました。安寧の日々が続くことを祈っています。

 H県宮島 日本側 初会談参加議員団


 「いよいよですな?」


 「朝の9時から向こうの『ヤマト公国』でしたか?の人間が上陸して海岸近くの会談場所に徒歩で向かう段取りだな?」


 「暑いな。送迎車で行ってはいかんのか!」


 「議員、向こう側がどの程度の(クラス)の立場の人間を派遣してくるのか分かっていないのです。間違ったランクの車両を用意すれば高すぎても低くても後々に問題になります。議員方が一緒に歩けば問題になる可能性は低いです」


 「う~む、朝食のバイキングを食べ過ぎたか。胃薬無いか?」


 「大変です!◯◯議員が居ません!寝坊したようです。秘書から今、連絡が入りました!」


 「何?議員方の人数確認はしていた筈だろう!」


 「それが、確認後に勝手に部屋に戻ったようでして」


 「あと10分しかない。ホテルから20分かかるぞ!パトカーに先導させて急いで来させるんだ!」


 「警察庁の方から苦情が来ませんか?」


 「出迎える筈の議員が足りない外交問題の方がこの場合は重要だ。いざとなれば遅刻した議員に責任を取って貰え!!」


 『緊張感が有るんだか無いんだか』


 若手議員の川上議員は相手国の到着?まであと10分だというのに落ち着かない今回派遣された議員一行を冷めた目で見ていた。まあ、原因のほとんどが自分と同じ党の先輩議員達なので口には出さなかったが。


 川上議員が思考に耽っていると出迎えの岸壁に一台のゴツイ4WDが猛スピードで進入して来た。


 「元陸上自衛隊陸将の寺門だ!責任者は居るのか!?」


 周囲を警戒していた警察官達が車から降りてきた男、寺門を制止して岸壁から追い出そうとする。


 「元自衛隊幹部の方とはいえ本日は民間人の方はこの地域には立ち入り禁止です。直ぐに退去して下さい」


 「うるさい、退け!良いから責任者を出せ、確認しないとならん事が有る!」


 「どうしましたか?」


 川上は声をかける。他の議員一行から離れた場所に居た川上は突然の侵入者に気付いていた。そして『寺門』という名にも聞き覚えがあった。


 「あんたが責任者か?」


 「いえ、責任者は各省から派遣された職員か、出迎えをする議員団の団長の平田議員になると思います。私は議員団の川上と言います」


 「若手議員さんか。議員でも良い、その団長を呼んで来てくれ!大至急だ!」


 「一体どうしたんです?」


 「・・・・・ここで揉めててもしょうがない。良いか?今から来る異世界の国『ヤマト公国』の派遣団のトップはあの国の国王つまり最高権力者だ。それなのにこちらの出迎えは現役の総理どころか現役の閣僚級すら居ない。せいぜい元大臣級だ。それがどういう事か分かるだろう?直ぐに団長に知らせて日を改めるかしろ、全世界に恥を掻くぞ!!」


 「「・・・・」」


 川上議員と寺門を追い出そうとしていた警察官達が絶句する。相手国が国家元首を派遣するほど重要視している会談に日本国側は少数の議員団を派遣しただけなのだ。相手国そして地球の各国がその事を知ればどのような判断をするだろう。


 川上は先日知り合った関係各省庁から派遣された職員の集まっているテントへと走った。


 「ヤバいぞ!!」


 川上はテントに入るなり先程、寺門から聞いたことをそのまま話す。テント内は阿鼻叫喚に包まれた。


 「相手国の代表は国家元首だと!?」


 「だから急な会談は反対だったんだ!相手国の情報が全く無いなんて!」


 「こういうのは事前に実務者レベルで交渉を重ねて代表格が出てくるもんだろう?いきなり最高権力者が現場に出てくるなんて!?」


 「あの馬鹿議員達を説得して会談を中止させるしかない!」


 「そもそも本当に相手国の国王なのか?何処からの情報ですか?」


 「・・・・確かに、情報の確度は不明ですね。それにもう遅いようだ」


 「「「?・・・・・・!!!」」」


 何の事か?と首を傾げつつ、職員達はすぐにその言葉の意味に気付く。


 「『ヤマト公国』の艦隊に動きが有ります!」


 テントの外に居た職員がテントに入って来て告げる。時刻は午前9時、ヤマト公国側が代表が上陸して来る時間だ。





 

 ヤマト公国軍 地球派遣艦隊


 「時間だ」


 総旗艦・戦艦《黄泉(よみ)》の艦橋で空軍士官が壁の時計を見て宣言する。


 「各艦に伝達、行動開始」


 「行動開始、了解しました。各艦に送信中・・・・全艦から了承の信号有り」


 「・・・本艦も所定の位置へと移動開始せよ」


 《黄泉(よみ)》の艦長兼提督が指示を出す。艦隊が守備の輪形陣形から形を崩して整然と横並びになるように動き出す。


 「『竜騎士(ドラゴンナイト)』部隊が発艦します」


 空中艦隊の中の大型輸送艦から数十の竜騎士が飛び立つ。本来は艦隊での運用を想定していないのでスペースの確保出来た輸送艦からの発艦だった。


 竜騎士隊にヤマト公国旗をたなびかせて宮島上空を旋回する。それと同時に各艦から勇壮な音楽が流れ出す。


 「歩兵大隊、出発します」


 艦隊の前方に位置した複数の艦から魔法装置により生じた足場を歩き、都市迷彩柄の戦闘服を着こなした千名近い兵士が進み出て空中で合流し、宮島の岸壁を目指し行進する。小銃らしき武器を肩に担っているが弾倉(マガジン)は填まっていない。


 全員が通信装置を耳にし、顔をゴーグルとバララクバで隠して個性を消している。防弾チョッキらしき装備、その他の戦闘装備をごちゃごちゃしない程度に身に付けていつでも戦闘が可能性だとアピールしているようだ。


 「武装親衛隊、出発します」


 続いて同様に各艦から一般歩兵ほどでは無いが隊員達が降りてくる。全身を黒っぽい制服に身を包み武装している。一般歩兵と異なる点は顔を隠していないことや一部の隊員の武装が統一されていない点で有ろうか?


 隊員はその創設の経緯から女性の比率が高く、美形が多い。また普通の戦闘方法だけで無く、剣術、魔術、その他の戦闘技術に秀でた者が居る点で装備にもばらつきが有る。また顔を隠して無いために日本側で注意力が高い者が居れば尖った耳を持つエルフが殆どである点にも気付いただろう。


 ここまでですでに20分程が経過している。


 「武装親衛隊に続きまして陛下とその護衛部隊が出発します」


 前方を武装親衛隊、後ろを選抜された精鋭に護衛される形でマコトが表部隊へと姿を現す。









 


 

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