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337話 日本(ニッポン) 2

木曜日に地震がありましたが自分の地域にも携帯にアラートが流れました。自分も少しは備蓄、準備しているつもりですが、いざ災害に直面するとちゃんと行動できるか未知数ですね。

 ヤマト公国軍地球派遣艦隊が宮島沖に到着した3日後


 ヤマト公国軍地球派遣艦隊 旗艦戦艦《黄泉(よみ)》艦橋


 「結局、翌日の会談、とはなりませんでしたな」


 「仕方あるまい。事前に上層部に秘密裏に通達したとはいえ彼らは半信半疑だったろう。領海外で数週間待たされる可能性もあったのだ。海上に泊め置かれたとしても領海に入れただけあちらも配慮しているのだろう?」


 「しかし、この待機時間のお陰で周辺地域の地形情報等も補完できました。事前に市販品とはいえ地図が手に入っていましたがやはり自前でも確認が必要ですし。面白い情報も入手できました」


 「ほう?どんな情報ですか」


 「こちらの世界の衛兵、『警察官』というのですかな?が島の内外の警戒にあたっていましたが徐々に要所要所に兵士らしき姿を捉えるようになりました。一応隠蔽はしているようであちらの民間人は気付いていないようですが」


 「中佐、彼らは『自衛官』だ。兵士や軍人、とは言わずに『自衛官』や『自衛隊員』と呼称するようにしなさい」


 幹部達の雑談混じりの会話に黙って聞いていたマコトが口を挟む。


 「『自衛隊』ですか。陛下、事前の研修でもありましたが彼等は『軍』とはどう違うのでしょうか?」


 「・・・説明が難しいな。この国『日本国』は憲法上の制約で軍を持つことは出来ない。しかし、国内外の問題からそうした組織はどうしても必要だ。そこで諸々の問題から国民を『自衛』する目的で組織された部隊、だから『自衛隊』なのだ」


 「つまり、名称はともかく実質は『軍』なのですね?」


 マコトが困ったような顔をした。それを見たベテランの将官達が目配せを交わし数人が進み出て、2人がかりで(くだん)の空気の読めない中佐の両脇を抱えて艦橋から運び出した。


 「ともかく、明日はようやく上陸となる。各員、各部隊、各艦の準備は順調か?」

 

 「はい、陛下。既に各部署からは問題ないとの報告が入っています」


 「他に報告事項はないか」


 「陛下、申し訳ありませんが一点。再々の報告となりますがこちらの民間人の行動が活発化しております。先程も届きませんでしたが信号弾のような物をこちらに発射し、日本国側の警備艇に確保された船がおりました。上陸する島は民間人は排除されていない状態と聞き及んでいます。警備陣の強化を具申致します」


 「親衛隊大佐、貴女の具申嬉しく思う。しかし、公国の公王であり軍の最高指揮官である自分がこの晴れ舞台で後ろに居る訳にはいかんのだ。分かってくれ」


 「・・・・はい」


 「それにな、今回の上陸の際には新調した特殊強化甲冑を着て行くのだ。例え過激な奴らが対戦車ミサイルやロケット弾を持ち出して来ても自分は無傷だよ。まあ、平和な日本でそんな物を所持しているとすると政府機関を除けば、暴力団か他国の工作員、過激派、一部の武器マニア位だ・・・・、結構居るな?」


 「そういえば、かなり高位の魔物の魔石を使用した防御壁を発生させる特殊な甲冑だとか。個人装備で魔石を使うなど聞いた事がありませんが、それならば安心ですけど侮られませんか?」


 「仕方がない。会談の場まで軍勢引き連れて行進(パレード)する訳にはいかんからな。しかし、上陸の際は派手に行くぞ?陸地だけでは足りないから魔石を使用した魔道具で海面上に力場で足場を発生させて1時間かけて数万の兵、重装備、機動兵器、竜騎士(ドラゴンナイト)等の特殊兵科も披露する予定だ」


 「・・・・え!?」


 「こちらの通常の国賓待遇は自国の飛行機から降りたところで要人達の出迎えを受けて、音楽隊が演奏して、歓迎の空砲を鳴らして送迎車に乗り込せるような流れみたいだから間違いなく意表を突かれるだろうな」


 「私のところに回って来た計画書にはそこまでは無かったような?」


 「ああ、どうもあちらさんがこちらの事をよく分かっていないようだから古式宜しく砲艦外交だ!!」


 「「「オオオオオッ!!!」」」


 某日本ドラマの『◯倍返しだ!』をイメージしたものだと知るものはこの場には居なかった。





 日本国 ヤマト公国に対す外交交渉団一行宿泊ホテル


 「明日はいよいよ初会談だな」


 「おい、市内で一番良い美容室を今日中に行けるように予約しろ。いや出張でホテルに来させるんだ」


 「明日の会談の英気を養う為の本日のデイナーは何処にしますかな?」


 「明日のスピーチの原稿は出来ているんだろうな!」


 観光気分が抜けきらない議員達が秘書や集まっている関係省庁の職員に無理難題を押し付けていた。


 「はあ、何であんなのが議員になれたんだ?まるでフィクションに出てくる無能権力者そのままじゃあないか」


 部屋の片隅で若手議員の川上議員が各省庁の現場担当者達から簡易な説明を受けていた。本格的な場を設けると職員達の本業に差し支えると思ったからだ。まあ、ここに居る職員達は会談の予定を議員達に説明するのが仕事の者達だったので問題はなかったのだが。


 彼等も川上議員に説明をすれば業務を果たしていることとなるので、なかなか込み入ったことまで話しあっていた。


 「公国側がこちらが指定した岸壁付近の海側数kmの立ち入り禁止を要請してきた?」


 「はい、島にはあんな大きな飛行物体の着陸スペースが無いのでどうするかを問い合わせた所、会談場に通じる大きな道に面した比較的開けた海に面した場所との事でしたので候補地を提示したところ了承の返事と共にそのような要請を受けました」


 「そうですか。他に問題点は有りませんでしたか?」


 「それが・・・・、向こうの兵士の所持する武器についてなのですが・・・」


 「???まだ同盟も条約も結んでいない国なのですから、持ち込みを拒否すれば良いのでは?」


 「実体の有る弾丸を発射する武器については向こうも了承しています。しかし、魔力だなんだのを使用した飛び道具や刀剣類はどうしましょう?」


 「どういう事ですか?」


 「つまりですね。ビームライフルやスター・ウ◯ーズのジェ◯イの武器のライトセー◯ーのような武器ですね。海上で所属不明潜水艦のミサイルを撃墜したのもその一部です」


 「・・・・・、実在するんですか?」


 「公国の艦内で実際の射撃や、試し切りの様子を見せられました。マジックショーには見えませんでした」


 「専門家に相談しなければハッキリしませんが、言い方は悪いですが脱法ハーブ類と一緒で現行の法律上では持ち込み禁止措置は難しいでしょう」


 「そうでしょうね」


 「この案件は東京に回しましょう。他には有りませんか?」




 それぞれの思惑を胸に会談は刻々と近付いていた。





 


 

 

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