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336話 日本(ニッポン) 1

暑くなりました。皆さんもお気を付けて下さい。

 日本国 H県宮島 臨時会談会場


 「主任、H県警の機動隊が到着しました」


 「島の以前に国際会議にも使用された建物を確保しました」


 「周辺の県警からも応援が本日中には到着予定です」


 「H島市内に国会議員方の宿泊するホテルを確保しました」


 「主任、地元住人が騒ぎ始めました。地元議員達も説明しろと騒いでいます」


 「クソ!本番前日にいきなり宮島に国賓待遇の人物を迎える準備を整えろ、とは無理を通り越して無謀だな!手がいくらあっても足りん」


 東京から派遣された様々な所属の人間達が会議設営の為に島を走り回っていた。


 「あ、あれは!」


 1人の職員が作業の手を止めて海に視線を向けている。


 「何だ?ってアレは!もう来たのか!?」


 他の職員達もそれに気付く。


 そこには護衛艦群に先導される形で、巨艦群が空中に浮遊して海から宮島に迫っているのが見えた。


 「慌てるな。到着して直ぐに上陸して来る訳ではない。我々は明日の会談に間に合うように場を整えるのが仕事だ。口を動かさず手を動かせ」


 こうした陽の目を浴びない人達の努力で世の中は回っている。





 日本国H県H島市内のホテル


 「あれがそうか」


 「まるで映画か、小説の世界のようですな」


 そこには与党の重鎮達が数名集まり、宮島に迫るヤマト公国軍地球派遣艦隊を眺めていた。確かに党の役職を務める人間達だが閣僚級の人物は居なかった。


 「しかし、総理も無茶をおっしゃる。ほとんど情報の無い存在と交渉して友好的な関係を築け、とは」


 「もしかすると、見かけ倒しの野蛮な連中かもしれんぞ」


 「そうだな。いきなりH島市は日本でも発展している都市だ。意外と街並みを見て文化の違いに恐れおののいているかもしれん」


 「はっはっはっは!それは良い。大航海時代のヨーロッパのように不平等な取り引きで利益を得られるかもしれんな」


 そんな能天気な会話が室内で繰り広げられていた。ただ1人、


 『誰も不思議に思わんのか?何故世界初の異文化との接触だというのに総理をはじめとした閣僚級が1人も居ない?異世界人を警戒している?だとしたらここに居る我々は試金石、若しくは生け贄では?我々で異世界人の反応を試すつもりか?』


 部屋の片隅で、そんな事を思考する若手の議員が居た。


 『だとするとこれはある意味好機なのか?上手くすれば異世界人との(つて)を得ることができる。しかし不確定要素が多すぎる。初顔合わせでは目立たずに様子を伺った方が良いかもしれん』


 そんな議員2年目の若手、川上議員は緊張の欠片も無いベテラン議員達を尻目に外交経験の豊富であろう外務省やその他の部署に渡りをつける手段を考えるのだった。





 ヤマト公国軍地球派遣艦隊 とある随行艦


 「これが、地球かあ!公都にあるような高い建物が沢山あるな!」


 「ここが、地球の『日本国』の首都なのか?」


 「いや、ここは発展はしているが首都ではなく地方都市らしい。事前の幹部に配布された『地球ガイドブック』に有ったわ」


 「そんなの幹部はもらっているのか~?良いなぁ、貴女のお姉さん少佐さんだったよね?見せて貰ったのね」


 空中駆逐艦の1隻の乗組員達が艦の窓から宮島の街並みを見ていた。まだ会談も行われていない状態で地球側に情報を与えない為に艦の乗員は許可が出るまで艦外に出ることを禁止されていた。


 「ハイハイ、貴方達。明日は計画通りなら上陸して我々の姿を地球側に見せる御披露目よ。上陸部隊参加予定者は制服のアイロンや装備の手入れを怠らないように準備してきなさい!」


 浮わついた兵達を上官が注意すると兵達は蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。




 ヤマト公国軍地球派遣艦隊 艦隊旗艦戦艦《黄泉(よみ)


 「陛下、日本国側からは会談は明日以降にして貰いたいとの連絡ですが」


 「仕方あるまい。しかし、明日というのも怪しいな。一応我々は異世界の人間なのだぞ?地球の人間に有害な細菌や病原体を有していないかの検査が必要だと思うが・・・・」


 オペレーターからの報告に幹部の1人が疑問を呈する。


 『検疫関係は自分と、他の隊員の血液サンプルを叔父に渡して検査してもらったが取り敢えず問題は無いということだった。まあ、そんなの事をこの者達に言うと揉めそうだから黙っていよう』


 マコトは自分の血液サンプルを渡したことを幹部達に怒られるのが嫌で黙秘することにした。


 「しかし、こちらの計画通りならば上陸には小・中型の浮遊艇を使用して先陣が周囲の安全を確保して陛下が上陸という手順でしたな」


 「初見で侮られる訳にはいかんからな。圧倒的な戦力と練度を示してやろうぞ!」


 「しかし、問題は日本国側がどのレベルの人物を派遣して来るか、ですな」


 「然り、あまりこちらを侮るようであれば・・・・」


 「そのときは会談を一時打ち切る。自分は成り上がりの『王』だが自分が侮られることは我が国が侮られることだからな」


 「「「御意!」」」


 「しかし、高確率で初会談は失敗するだろうな」






いよいよ異世界と地球人との初顔合わせです。これはフィクションであり、登場する人物、団体は実在するものとは関係はありません。

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