335話 地球(テラ)へ 6
暑くて毎日のようにエアコン使用しています。電気代怖い。
日本国 海上自衛隊 護衛艦くらま
「状況はまだ分からんのか!?」
「ヤマト公国のロボットが海中に潜った後に戦闘になったようですが、ここではよく分かりません。どうやら潜水艦は浮上しようとしているようですが・・・・」
「我が国の領海内で他国の船舶?に攻撃したのだ。臨検なり何なりとしてやらねばならんが、霞ヶ関が騒ぐだろうな。市ヶ谷は何と言ってきている?」
「情報をあげろ、とだけ。具体的な指示はありません」
「クソ!潜水艦からの攻撃の可能性からヘリを下げたせいで詳細が分からんぞ!」
「艦長!国際周波数でヤマト公国が所属不明潜水艦を無力化した、と公表しています!」
「何で今さら?米国等に傍受されたく無いから発光信号でモールス信号のやり取りをしていたのでは無いのか?」
「艦長、これはヤマト公国側の宣伝なのでは?日本国領海内で攻撃を受けて返り討ちにしたという。これで我が国は戦闘行為をした潜水艦を拿捕した理由になりますし、ヤマト公国は潜水艦を無力化する力が有ると証明しました」
「・・・・・。姿は無くともこの近辺の情報収集は各国ともしているだろうしな。市ヶ谷はどうだ?」
「この海域に展開している海保に、潜水艦の乗組員を殺人未遂の現行犯で逮捕させるから協力しろということです」
「潜水艦の攻撃に殺傷能力が有る、という確証が得られたのか?それにヤマト公国の人間は『人』なのか?」
「攻撃に関しては、映像解析からロシア製の水中発射式の対艦ミサイルだと確認されたそうです。艦長はヤマト公国人は昔のSFの火星人のようにタコ型だと思いますか?」
「ええい!埒があかん。もしかしたら上の方はヤマト公国人について現場の私達よりも知っているもかも知れんな。潜水艦の艦体はどうするんだ?」
「既に民間のサルベージ等の専門家に依頼する方針なので護衛艦と巡視船で監視しろとのことです」
「・・・・かえすがえすもやたらと上の手筈が良い。こうなることを予想していた?まあいい、副長、艦の乗組員から潜水艦の乗組員を逮捕する海上保安官を支援する要員を選抜、勿論武装してな」
「了解しました」
「私も早くヤマト公国人と会ってみたくなった」
ヤマト公国軍地球派遣艦隊 旗艦戦艦《黄泉》
「敵潜水艦に日本国の捜査員達が乗り込んで行きます。抵抗は皆無」
「突入したウチの部隊はどうだ?」
「慣れない艦内で打ち身をして痣になった者は居ますが死者、重傷者はいません。詳しい報告書は後程ですが、地球人の反応速度はいささか我々よりも遅かったようです」
「ふむ」
「陛下、日本国護衛艦よりこのまま進む、との発光信号です」
「彼ら、我々の意図に気付きましたかな?」
「気付いているだろう。だから態々(わざわざ)再びモールス信号にしているんだ」
「なるほど、航海士の予想ではH島県の宮島まであと4時間といったところのようです」
日本国 H島県 宮島付近の漁船群
『豊○漁丸、何か今日はあがった方が良いって陸地が言ってるぞ?』
『そりゃあ無いぜ、あきのとっさん。まだ目標量まで獲れてねえんだ』
『何かキナくせえ感じがする。さっき無線で潜水艦がどうとか言ってるのを聞いたヤツが居るらしい。おりゃH海道からこっちに来た変わり者だがロシアの警備隊がドンパチした時に雰囲気が似てる』
『脅かすなよ、とっさん。分かった、今日は切り上げるわ』
『そうしな・・・・、何だありゃ!?』
『とっさん、次郎、見えてるか?何だありゃ?』
『トメさんか?ああ、見えてる。何だこりゃ?』
『トメさん、次郎、G協や海保がここらの立ち入り禁止の告知を出した。移動すんぞ!』
『巡視船や護衛艦は見たことあんけど、あの空を飛んでる物騒な船は何だ~?しかも沢山居やがる』
『次郎、関わっちゃなんねえ。さっさと行くぞ!』
日本国 海上自衛隊 護衛艦くらま
「宮島、視界内に入りました」
「民間船の退避が始まりました」
「此処まで来てしまえばモールス信号でやり取りする意味も無いでしょう。ヤマト公国側へ無線での交信に切り換えるように提案しましょう」
「そうだな。うん?もうマ○ゴミのヘリコプターが飛び始めたな。飛行禁止区域にされている筈だが」
「報道の自由と言って何でもする者達ですからね。民間船の退避勧告を聞き付けて集まって来たのでしょう。ヤマト公国側で撃ち落としてくれませんかね?」
「気持ちは分かるが、少し不謹慎だぞ」
「先程の艦長もですよ」
「しかし、ただの警戒勤務の筈が、異世界との一次接触、領海内での戦闘。忙しい1日だった」
「艦長、何か終わったように言っていますけど、報告書の作成やら、明日からも宮島周辺の警戒等の会議も残っています」
「・・・・暫く忙しくなるな」
ヤマト公国軍地球派遣艦隊 旗艦戦艦《黄泉》観測用個室
有視界戦闘に備えて頑丈な防弾ガラスで見通しの良いその小部屋にはマコトの他に数名の幹部が居た。
「宮島か。中学生の修学旅行で一度訪れたな。今回の件で学生達の修学旅行に影響が出ねば良いが。思い出は大切だ」
マコトは久し振りに見る日本の陸地の灯りに目頭を熱くしていた。
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