334話 地球(テラ)へ 5
う~ん。無理無くファンタジー要素を持っていきたい。悩む
ヤマト公国軍地球派遣艦隊 魔導動甲冑 ゴーレム小隊 ゴーレム21・22・23
『ゴーレム21より22、23。目標まで6kmだ。スクリューを破壊して推進機関を使用出来なくして浮上させる』
『22、了解』
『23、了解』
3機の機体が地球の空を駆ける。
『しかし、小隊長、地球の空もあちらの世界と変わりませんな?』
『ワイバーンや魔物が飛んでは居ないが変わりに地球の飛行機が絶えず飛び交っているそうだ。今はこの空域は準戦時態勢に有るから飛行禁止区域になっているんだろう』
『代わりに覗き屋が多いですな。宙からの眼やレーダー波をビンビン感じますな』
『23、そのような表現は卑猥な誤解を招く。控えろ』
『小隊長は潔癖でいらっしゃる。流石、陛下に全てを捧げられた戦乙女の一員ですな』
『・・・・23、死にたいようだな?』
『ゴーレム小隊、無駄話はそこまでにしろ。目標まで500』
艦隊のオペレーターからの指摘が入る。
『聞いたな?各員、潜水体勢。22がスクリューを破壊しろ。23と自分は目標を強制浮上させる為に適度に損傷を与えるぞ』
『『了』』
バシャン!!!
3つの水柱が海面に立つ。
海中に潜った魔導動甲冑の操縦席に周囲の様子が透けたように映し出される。映像の補正がされているのか深い底の方まで明るく見えた。
そこにはまるで空中に浮いているようにキロ級潜水艦が見えており、回りを魚が泳いでいた。
キロ級潜水艦は魔導動甲冑が海中に潜ったことに気付いたのか、囮や音響魚雷を手当たり次第に撒き散らして逃走に入った。しかし、ソナー等の観測装置では無く、目視で潜水艦を捉えている小隊には無駄な足掻きに見えた。
『22、攻撃を開始する』
『了解。援護する』
ゴーレム22が潜水艦の艦尾側に回り込み、21、23が艦首側に回り込む。
潜水艦が戸惑ったように動きを止める。そこにゴーレム22が中型の接近戦用の刀をキロ級潜水艦のスクリューに叩き込む。
ただでさえ動きが止まっていた潜水艦がスクリューが破壊されたことで完全に動きを止める。艦内の空気が残っているからかいきなり沈むことはないがこのままでは千日手となる。
『23、適当に艦の外壁部分に損傷を与えるぞ。少し酸素が漏れ出るくらいで良いだろう』
『了解』
キロ級潜水艦 艦内
「同志艦長、先程の着水音は魚雷ではなかった模様です。爆発はせずに艦の周囲を動いているようです」
「魚雷ではなかったのなら何なのだ!?実際にスクリューは破壊されて身動きがとれん。囮類も役に立たなかった。空中投下式の小型潜水艇だとでも言うのか?」
「・・・・、何にせよ、スクリューのみを的確に破壊されました。当艦は自沈するか、浮上するしかありません」
「浮上など論外だ!しかし、自沈も・・・・」
「そんな命令をすれば、現代ならば反乱が起きかねませんな」
ゴゴン!!
潜水艦艦内に鈍い音が響く。同時に浸水を告げるアラームの変わりに警告灯が灯る。
「何事だ!報告しろ!」
「外壁2箇所で破損、両方から浸水しています!また、酸素もどちらかから漏れ出ています!」
「・・・・・!時間稼ぎすらできんか。浮上して全艦退艦の後に艦を自沈させる。乗組員の一部に爆薬の設置の指示を。回収されんように粉々に吹き飛ばす量だ」
「了解です」
ヤマト公国軍地球派遣艦隊 魔導動甲冑小隊
『小隊長、魔法の応用で艦内の様子を伺っていましたが少し不味いですね』
『そういえば22、お前は低出力とはいえ魔法が使えたな。諜報畑にでも行けば良かったのに戦闘部隊に来た変わり種と人事評価に有ったが・・・・』
『それよりも!!奴ら艦を浮上させて乗組員を逃がして艦を爆破するつもりのようです。地球の・・・日本国?への手土産に証拠が必要なのでは?』
『う~ん。捕虜で十分だと思うが、一応浮上して艦隊司令部に報告しろ』
『了解』
ヤマト公国軍地球派遣艦隊 艦隊旗艦 戦艦《黄泉》
「陛下、ゴーレム小隊より報告です」
オペレーターがメモをマコトに渡すようにと近くの親衛隊隊員に渡す。
「ふむ、証拠隠滅か。面白く無いな。参謀長、艦内戦闘に特化した部隊が有ったな?異文化の艦だが行けるか?」
「星が違えども、人種が運用するならば大きな違いはありますまい。それに我が軍の運用する艦艇は陛下の知識によるものが多く、構造に大きな違いは無いと思慮されます」
「よし、直ぐに部隊を派遣しろ。潜水艦のハッチが開かれる前に突入、制圧する。味方がまだ艦内に居れば自爆も出来ないだろうしな」
「ご下命請け賜りました。数分以内に出撃させます」
「高度な特殊戦が出来るということを地球の国家らに示してやろう」
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