326話 地球(テラ)へ 7
ハイペースで書きましたので少しテンションがおかしいです。
「甥っ子さんは死んだ筈では?」
「私も初めは目を疑いました。しかし、身内でしか知らないような話をし、確かに彼のあの顔付きは、妹譲りの私の親族の特徴が見えるあの顔は確かに甥に間違いありませんでした」
「・・・・それで甥っ子さんは失踪の理由は言ったのかね、何故今になって突然現れたのだ?」
「・・・・・私も最初は信じれませんでしたが『別の世界』へと行っていたと」
「別の?」
斎藤元陸佐 は、真の語った事、不可思議な薬で身体の不調が治った事までを寺門に話した。
「にわかには信じがたいな。別の世界、建国、異なる世界を行き来する技術、そして瞬時に身体損傷を治療する薬か。その薬で私も治療したんだな」
斎藤叔父は頷く。
「では信じる他あるまいな。しかし、分からんな。何故その世界で成功しており国を成長させる要素も残っている、なのに何故世界を渡ってまで日本に帰りたがるのだ?日本人として帰国したい気持ちは分からんでも無いが話を聞く限りは日本に未練があるようにも感じられない」
寺門は日本の社会で傷付いた真がわざわざ日本へと帰還のために労力を割くのを疑問視した。
「・・・・確信はありませんが彼の再会したときのあの目、彼はこの世界に意趣返しをしたいのではないのかと思います」
「!!!自分を排除した社会に復讐しようとしているのか!?」
「いえ、そのように感じただけかもしれません」
「何にせよ。甥っ子さん、彼はこの後にどう動く気なのだ?先日の空飛ぶ軍艦の話題で世間には公開されていないが各国の軍事部門関係者は大騒ぎだ」
「彼は『大規模な部隊』の出現と『国との交渉』ということを言っています。おそらく、そう遠くないうちに次の動きがあります」
「先日の件では、うちの『勉強会』の伝を使って現場にはある程度の心の余裕を持たせる事が出来た。次があるにしても事前に情報が欲しい。それと警務隊をはじめとした捜査機関が『勉強会』を嗅ぎ回っている。その彼と何らかの事前の打ち合わせもしたいな」
「実は、今日この会合に来る前に連絡を持ちたいと家で合図を出して来ました。おそらく今もこちらの情勢を見ている筈です」
「ここが監視されているのか?」
寺門は思わず、といった様子で室内を見渡す。
『あまり連絡手段があるということを第三者に伝えていただくのは困ります。陛下の叔父上様』
突如として室内に黒い作業着にキャップ帽を被った斎藤家に現れた女性が出現する。
「外には護衛がいた筈では?」
寺門が落ち着いた様子を装い、問う。
「我々には関係ありません。それで叔父上様、今回の呼び出しはこの男性と顔繋ぎをさせたかったのですか」
女性は斎藤叔父を『様』付けで呼んでいるが敬っている様子は無い。
「真の、彼の言っていた部隊はいつこちらの世界に来るのかは教えてもらえないのだろうか?」
「・・・・・・」
女性は暫し考え込む。
「まあ、大丈夫でしょう。陛下は各国が余計なことを考える前に計画を進めるつもりです。5日後、前回とは比べ物にならない規模で艦隊が出現する予定です。今回は公海と言わずに領海内にも進路を取るでしょう」
「「5日後!!」」
「絶対ではありませんが、そちらの兵器ではこちらの艦を沈めることはできないでしょう。陛下としてはあなた方には下手に自衛隊がこちらを攻撃して世論が炎上しないように自衛隊と政府を抑えてもらいたい、といったところでしょう」
「黒尽くめの君。やけにいろいろと教えてくれるがそれは君の主君の意向に合っているのか?」
寺門が少しでも情報を聞き出そうと話しかける。
「陛下としては異常事態に対応するための予行演習はさせたのだから十分だと考えているみたいだけど、私達は陛下が少し急いているようにも感じられる。だから、あなた達が余計なことをしないように情報を与えているだけ」
ヤマト公国の女性はイライラとしておるのか口調が荒くなる。
「どの海域に現れるのか、程度は教えてもらえないか?」
「陛下はあなた方がどんな行動をするかをも見ている。あまりにも無様だと陛下の失望を買いますよ」
2人の初老と高齢の男は黙り込む。
「え、ちょっと何よ、今取り込み中よ」
突然女性が独り言を始める。
「彼に何かあったのか?」
斎藤叔父が聞く。女性は2人に静かに、のジェスチャーをして動きを止めている。どうやら端末を使用せずに誰かと連絡をとっているようだ。
「ちょっと困ったことになりました」
会話が終わったのか女性が2人に話しかける。仕事モードなのかしゃべり方が戻っている。
「私達がこちらでの拠点の1つにしていた廃墟に不良グループが侵入して好き放題に騒いで建物が崩壊しました。我々が使用していた階とは違い、大したものはないのですが建物が崩壊した影響で侵入者警戒装置が攻撃と誤作動しレスキュー隊員が1人がショックで気絶したようです。我々の居た証拠は既に自壊したのですが警察官が包囲する事態になっているようです」
「それで、私達にどうにかしろと?」
「いいえ。私達が居た証拠は完全に自壊しているので証拠はありません。しかし、私達の拠点が崩壊したのは事実なので我々の意思ではないという点を理解していただきたいです」
「言わなければ、我々には分からなかったのに律儀ですな」
「この拠点は、その所在する県の公安が目を付けていたようなので念のためです」
そう言うと女性の姿は現れた時と同様に消えた。
「やれやれ、5日後とはまた急だな。急いで会のメンバーと連絡をつけなければ」
「寺門さん私にすることはありますか」
「先程の女性から少しでも情報を得て教えて下さい。また何かありましたら連絡しますので」
そう言うと寺門も部屋から出ていく。
「真君は一体何をするつもりなんだ?」
斎藤叔父の独り言は誰に聞かれることもなくかき消える。
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