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323話 地球(テラ)へ 4

今回は会議回ということもあり、あまり目立った動きはありません。

 ヤマト公国公都ノースガルド 公城内大会議室


 「さて、別世界への(ゲート)の拡張実験も無事に終了した。第一次派遣艦隊を送り込む前に国内及び周辺国との情勢を整理しておきたい。まずは国内から」


 「はい。本来であれば各省の代表が個別にご説明するところなのですが、本日は本職が要点を押さえて行いたいと思います。詳細、ご不明点がありましたら改めまして担当省の者が説明します」


 何処かの職員が立ち上がり、出席した面々よりもマコトを意識した様子で発言する。


 「では、そのように頼む」


 「はい。まずは経済ですが国内消費、生産の全ての数値が右肩上がりです。(のち)に説明しますが軍の増強により物資、人手が多く必要になり多くの物、人が国内を流動しております。それに関係して工業製品だけでなく生活用品、食糧、嗜好品等の生産、消費も活発化しており好循環となっております」


 職員は一区切りし、


 「また、一時期問題となっておりました他国からの流民も国境警備隊をはじめとした関係各省の取り組みの結果、効率的な受け入れ体制が整い速やかな国内への順応が出来ております。一部には他国の工作員や犯罪集団の構成員もおりますが今のところ問題なく排除しておりますが国内の衛兵隊等と協力して取り締まっていく予定であります」


 「一部重複致しますが、今年の収穫も他国と比較して豊作です。改革で取り入れました大規模農場での一括した管理により以前までの農民個々人での収量よりも効率的に作業が行えております。そして、機械化などで余剰となった人員が軍やその他の分野に流れて人手不足を防止しております」


 「また、治安面ですが先程も申しました通り人手が余るといった状況も起こらず、他国からの流民や犯罪者集団が犯罪を犯すことも予防出来ていることからも建国当初からも変わらずの安定した治安を維持出来ております。また、国内に公王様以外の貴族を置かないという政策も、最初は戸惑っていた民衆も受け入れて安定した統治による忠誠も公王様へと向けられています」


 そこまで説明すると職員は置かれていたコップから水を飲み、一息付くと説明の終了を宣言する。


 「質問があります」


 一人の職員が挙手する。


 「許可する」


 マコトが許す。


 「肩書きは敢えて省略させていただく。国内における魔物の発生状況、被害に関してはどうなっているだろうか」


 「軍事省から説明させていただきます」


 そう言って職員がまた立ち上がる。


 「国内において現在のところ目立った魔物の(コロニー)、被害は確認されておりません。また現在の対応状況ですが、軍、衛兵隊の活動は人口密集地、主要な街道を重点的に行っております。街道から外れた場所、住民が50人程度以下の集落につきましては不定期巡回を実施しております。勿論、正規の集落であれば通信手段が設置されており見捨てるといったことはありません。しかし、住民への危険度の低い、魔物の間引き討伐などは一部冒険者ギルドへと委託しております。また我々の活動範囲外となる遺跡や未登録のダンジョンの異常の発見には引き続き懸賞金をかけております。以上です」


 「ありがとう。では国外の情勢をお願いする」


 「はい。国外情勢に付きましては私が説明します。ヤマト公国周辺国は現在のところ友好的な政策をとっております。我が国の医薬品、簡単な工業製品、食料品、珍しい物では肥料等の輸出品が無ければ国政が傾きかねない国が多いのが実情です。しかし、どのような国にも過激な愛国者を自称する(やから)が存在し、我が国の脅威論、交易制限を訴えておりますが、甘い蜜を覚えた貴族、王族、我が国の軍事力を理解している者達がそれらを抑制しています」


 この職員も一息付くと、


 「それと比して過激な活動が見られるのが、我が国と比較的距離の有る国々です。以前、同盟国であるゲシュタルト王国と我が国が短期に数ヵ国を占領したことに脅威を覚えて軍備の増強に走っています。距離があり我が国との国交が少ないということもあり疑心暗鬼に陥っているのでしょうが、我が国との間には他国が存在していることから脅威度は低いですが、間接的な裏工作、諜報活動には注意が必要かと思います」


 「最後に同盟国であるゲシュタルト王国ですが、皇太子殿下に婚約の動きがある模様です。現在のところは他国の姫君では無いかということで、我が国にも詳細な情報は入って来ておりません。以上です」


 「皇太子が婚約か。確か15~6歳だったか。名前は・・・・」


 「ケーニッヒ殿下です、陛下」


 何処からか、援護の手が差し出される。


 「そうだったな。婚約が本決まりになれば祝いの品が必要となるな、考慮しておこう。そして、国内、周辺国に我が国の邪魔となる存在は今のところ存在しない訳だ。これで心置きなく『地球』に専念出来るわけだな!」


 マコトの少しだけ楽しそうな声が会議室に響く。







 

 

何時もありがとうございます。段々と自分の住む地域も暖かいというよりも暑くなってきました。

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