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316話 大事の前の大事 4

いつもありがとうございます。なかなかストーリーは決まっているのですが表現が難しいです。

 胃痛に悩まされていたマコトだが、次の日には出撃する部隊と合流していた。


 「陛下、今回テンダー王国方面戦線に派遣される東部方面軍第7師団の第1、第2連隊、空中巡洋艦2隻、空中駆逐艦1隻となります」


 この派遣部隊を編成した軍事省の職員が歩きながら説明をする。マコトは随伴する親衛隊員や武装侍女隊員を引き連れてその説明をする。


 「艦が次々と建造されて艦名が定まっていないのだな」


 「便宜上、巡洋艦6番艦、8番艦、駆逐艦11番艦と呼称しております。艦名につきましては追々ということで・・・」


 「乗組員にとっては艦は家で有り、家族の様なものだ。名前があれば愛着も湧く、出来るだけ早急に考えよう。しかし、良く1日でやってくれた」


 「ゲシュタルト王国の周辺国がキナ臭いのは以前から判明しておりましたので軍はほぼ全軍準戦闘態勢に入っており、余程の理由が無ければ兵の長距離外出も認められておりませんでした」


 「将兵には苦労をかけたな。何か報いなければならん」


 「陛下、お気に為さらず。将兵は皆この程度覚悟しています。寧ろ他国に比べれば雲泥の差です。下手をすれば何週間も兵舎から出れないこともあるのです。まあ、そうしなければ戦闘前に脱走する、という士気の低さも有りますが」


 話しているうちに一行は地上数mに浮遊している公国軍空中巡洋艦の1隻の側に到着していた。


 「陛下、こちらが今回乗艦されます空中巡洋艦6番艦になります」


 「・・・・、やはり全ての艦に今すぐ命名するのは無理があるが、この乗艦だけは今、命名しよう。巡洋艦『摩耶(まや)』だ」


 「マヤ、ですか」


 案内をしていた軍事省の職員が頷く。見るとこちらを出迎えに来ていたのか巡洋艦の乗組員の将兵がざわめいている。どうやら耳の良い者が居るようだ。1人の将兵が進み出る。階級章から大佐のようだ。


 「空中巡洋艦6番艦艦長、アサ大佐です。いや巡洋艦『摩耶(まや)』艦長アサ大佐で、よろしいでしょうか?」


 大佐は念押しするように訊ねる。


 「ああ、摩耶(まや)の艦長、今回は宜しく頼む」


 マコトが右手を出すとアサ大佐は両天秤で嬉しそうに握手する。マコトの少し他者よりも聴こえる耳が他の艦の乗組員の慟哭をとらえた。将校達はこの戦闘の機会にマコトから艦名を貰えるように、と部下達に発破をかけているようだ。 


 整列した集団はもう一団有った。そこからも陸軍の制服の大佐2人が進み出る。


 「東部方面軍第7師団第1連隊連隊長フロンティア大佐です。陛下の元で久々に戦えることを誇りに思います」


 マコトは誰だっけ?と思いながらも顔には出さずに握手をする。


 「宜しく、大佐。ゲシュタルト王国への援軍は今回で2度目だが今回も圧勝する。敵を最後には追いつめるのは必ず歩兵だ。期待している」


 「同じく第2連隊連隊長ユートピア大佐です。陛下と共に戦えて光栄です」


 「ありがとう大佐。君達陸軍には本当に期待している。侵略者達を一刻も早く叩きだそう」


 マコトはユートピア大佐にも右手を出したが彼女は情熱家らしく豪快にハグをしてきたのでマコトも軽くし返す。一部の者が羨ましそうな目で見ているがこれ以上顔合わせをしていると何時までも出発出来なかった。


 「アサ大佐、早速だが出発しよう。戦場へはいつ頃到着出来そうだ?」


 「可能性は低いですが敵の妨害が無ければ、最新の位置情報通りならば明日の明朝には戦場上空にたどり着けます」


 「そうか、悪いが第7師団の2人は参謀達を連れてで良いから1時間後に摩耶まやに来てくれ、最終的な打ち合わせをしよう。アサ大佐申し訳ない、直ぐと言ったが1時間待って欲しい」


 「「「了解しました」」」






 2時間後 公国領内上空 空中巡洋艦摩耶(まや)艦内 会議室


 「これから向かうゲシュタルト王国の都市はマクドナルド。国境に程近く、近くに大河が有るために周辺地域の物流の要かなめとなっている。人口は約3万で守備隊は一千ほど。対するテンダー王国は約五千ということです。テンダー王国側に中規模な都市が有り其処から補給を受けており物資は程ほどに潤沢なようですが付近のゲシュタルト王国側の村々が略奪を受けています」


 軍事省の職員が情報を今回の援軍に参加している将校達で共有している。


 「武器は、事前情報と変わらずに剣や槍、弓といった我が軍とは比べ物になりません。しかし、未確認情報ですが今回侵攻してきた3か国の中に砲らしき物を牽引している部隊があるという偵察報告が有ります。戦場では未だ使用の報告はありません」


 「また、守備隊には我が国からの銃器の提供で200挺程のライフル銃が有り敵に損害を与えていますが敵は塹壕らしきものを掘り、隠れ始めているということです。守備隊からはその後連絡が無いそうです。もしかすると貸与した無線機が破壊されたかもしれないとゲシュタルト王国からは連絡がありました」


 職員の説明が終わる。


 「気になることが幾つもあるな」


 フロンティア大佐が発言する。


 「確かに。砲らしき物の目撃、銃器への対策、通信の途絶、不可解だ陛下は以前他国が砲を使用しているのを体験されていると聞いておりますが」


 ユートピア大佐がマコトに問う。


 「正確には擬きだ。火薬を使用せずに貴重な魔法を使って砲を再現しようとしたのだ。一応それなりの威力はあったが数も無く、早々に破壊して製造拠点も完全に吹き飛ばした。同じ物であれば技術者が生き残って居たのかもしれんな」


 マコトはそう意見する。




 

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